楽屋の電気付けっぱなし、衣装は30着用意。LiLiCoがエコのためにやめた芸能界の慣習

好評連載 第33回 LiLiCoの「もっとホンネで話そう。私たちのこと」
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Yuko Kawashima
タレントのLiLiCoさん

世間を騒がすイシューからプライベートの話題まで、LiLiCoさんがホンネで語り尽くす本連載。今回のテーマは、「買い物とSDGs」です。

環境大国・スウェーデンで生まれ育ち、サステナブルな生活を実践してきたLiLiCoさん。物を買い、そして捨てることに対して、どのような意識を持っているのか。ゴミを減らすために生活をどう見直すことができるのか。LiLiCoさんのエコライフについて聞きました。

 

「買う」も「もらう」も減らす

スウェーデン育ちの私には、もともとエコに対する意識が根付いています。プラスチックは必ずリサイクルするし、着なくなった服は捨てずにまず次の使い手を探す。使わない電気は必ず消します。

そんな私でも、この1、2年の世の中の変化にともなって、サステナビリティへの意識がより高まっています。

とくに、以前にも増して物を買わなくなりました。

例えば、夫(歌謡グループ「純烈」の小田井涼平さん)が長期出張で不在のときは、自炊をせずにお弁当やお惣菜を買って済ませるようになりました。もともと外で仕事をすることも多い私たち夫婦は、そうしないと食材を余らせてしまうからです。

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Yuko Kawashima

商品選びも、より環境のためを考えるようになっています。

例えば、竹は繁殖力が高すぎて近隣の雑木林をどんどん枯らしてしてしまうため、伐採せざるを得ないそうです。それならば、廃棄されるはずだった竹を原料にしたお皿を選ぶことは環境負荷を減らすことにつながるでしょう。

メイク用品やマニキュアも、化学原料でなく植物など自然由来の原料を使った商品を応援したいと考えるようになりました。

洋服を買う頻度も、以前より減っています。新しい1着を買うときは、H&Mのグリーンタグのようにリサイクル繊維を使うなど環境に配慮した商品を選ぶようにしています。

そもそも私は、スタイリストをつけず、メディアに出るときは自前の衣装を洗濯して着回しています。芸能人は、テレビや雑誌に出演するたびにスタイリストに30着も衣装を用意してもらうことも珍しくありませんが、私は自分に似合う服を自分で選びたいし、着ない服を用意するための時間や人件費、交通費がムダだと思っているからです。 

最近は自分の足で歩きたいという気持ちもあって、トランクで衣装を運ぶとき以外は、移動にタクシーを使わないようになりました。

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Yuko Kawashima

旅行の際は、基本的にお土産を買わないようにもしています。旅は私の思い出であって、お土産を買うためのものではないからです。一方で、「これは○○ちゃんが絶対に好きだ!」というものに出合えば、旅先であろうとなかろうと手に取ってレジに向かいます。

「買う」だけでなく「もらう」も減らすようにしています。

番組などで商品紹介をすると、よくメーカーさんからその商品をいただくんです。ただ、私が持って帰るのは必ず自分が使うと思うものだけ。他のものは周りのスタッフがそれぞれのライフスタイルに合うものを持って帰って使うことが多いです。

結婚祝いや出産祝いを贈るときも、「私、スウェーデン人だからお返しはいらないから」と言っています。スウェーデンでは、そういう習慣はありませんから。気持ちは嬉しいけれど、お祝いを贈るのは、その人の幸せを祝うためであって、私が幸せになるためではありませんしね。

 

コミュニケーション不足がムダを生む?

スーパーで買い物をしているだけでも、最近、環境に配慮する企業が増えたのを実感します。

例えば、カップヌードルは2021年にフタ止めシールを廃止して話題になりました。このシールがなくなったことで、年間33トンのプラスチック原料を削減することができるそうです。

シャウエッセンやアルトバイエルンなどのソーセージの巾着型パッケージも変わりましたよね。テープ止めがなくなり、パッケージも小さくなったことで、プラスチック使用量は28%の削減が見込まれています。

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Yuko Kawashima

私自身は、企業や自治体などのSDGsに関するトークショーやイベントに呼ばれる機会が増えています。先日は、日清食品の社員向けに行われたフードロス関連のイベントで、食品ロス問題ジャーナリストの井出留美さんと一緒にトークしました。

そのなかで印象的だったのは、生活のなかのコミュニケーション不足がムダを生むという話。

例えば、家にごはんを作る人がいて、外で働いている家族が急に飲みに行くことになったとします。もし飲みに行くことを知らせるのが遅くなれば、夕食の食材がムダになったり、ごはんを作る側の人によけいな手間がかかったりしますよね。

だから、もし家にごはんを作ってくれる人がいるなら、帰りが遅くなることは早く知らせなければいけない。私も夫にいつも言うんです。「夕食前に家に帰ってくる日は、何か食べたいなら早めに伝えてね」と。

日本には「もったいない」がまだまだあるなと感じています。

スーパーに行けば、だいたいの食品がビニールでパッキングしてある。バナナなんて、そもそも皮で実が包まれているのに、さらにビニールに入っていて、それって本当に必要でしょうか? 食べるときも、野菜や果物の皮を全部むくのが当たり前。でも、野菜は皮や皮の近くの部分にこそ栄養が豊富なんです。

身近なアイテムである化粧品やつけまつげ、CDなどは「本当に聴いてほしいの?」と思うぐらい過剰包装です。クレーム対策として「万が一、商品が傷つかないように」と考えてのことだと思いますが、その「万が一」が無駄を生んでいます。

お弁当屋さんやコンビニでも「万が一、大量に売れて商品が足りなくなったら」という考えが、フードロスに繋がっているのではないでしょうか。

テレビ局では、誰もいない楽屋の電気がつけっぱなしなのは普通で、自分で電気を消して出ると「LiLiCoさんの楽屋、真っ暗なんだけど」と言われてきました。誰もいない部屋が真っ暗なのは当たり前なのに。

環境保護関連のイベントに出演した時に、ストローを刺したペットボトルが出てきて、びっくりしたこともありました。どれだけ本気で環境問題に取り組む意思があるのでしょうか?

環境問題に熱心に取り組んでいるトム・クルーズの取材では、現場で本人にペットボトル飲料を出すのは絶対NGだと言われたものです。「SDGs」と口で言うだけではなく、自分たちの行動ひとつひとつを見直し、変えていく必要があると思います。

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Yuko Kawashima

「買う」「もらう」の前に…ゴミを減らすためにできること

サステナビリティの第一歩は、まずゴミを出さないこと。だから、買い物にしろ、もらいものにしろ、何かを手に入れるときは一度、立ち止まって考えることが大事です。

「安いから」「いつか使うから」「かわいいから」と衝動的に手に入れても、それを使うことはほとんどないはず。

日本では、食品ロスの量は年間522万トンで、1人当たり約41kgだといいます。日々、「あれも食べたい」「これも食べたい」と欲望に任せて買い物をしていたら、食べきれず、冷蔵庫の奥の物を腐らせてしまうでしょう。

最近、大量の食材を安く買えるスーパーが話題ですが、4人家族の人が40個入りのパンをどうやって食べるのだろう?といつも思います。近所に配ったり冷凍したりすると話す人もいるけれど、本当に余らせて捨ててしまうことはないのでしょうか。

とはいえ、ゴミは必ず出るものです。

だから、今日からゴミを一切出さないなんて不可能。無理なエコに挑戦しても、持続可能ではありません。

一人がひとつ、できる範囲で行動を変えることから始めるのはどうでしょうか?

ストローは使わないならもらわない。プラスチックゴミは、風に乗って海に流れ着かないように、ポイ捨てせず、きちんと捨てたりリサイクルしたりする。食品トレーや牛乳パックは、洗ってリサイクルに出す。

私は、仕事で使う台本がすぐ紙ゴミになってしまうのが嫌で、レギュラー出演しているラジオ番組「ALL GOOD FRIDAY」の4時間半分の台本や、イベント出演のときの台本はPDFでもらい、タブレットで見ています。

でも、スケジュール管理をしているのは紙の手帳。私はマネージャーがいないので、万が一スマホの充電がなくなってもスケジュールがわからなくなるのを避けたいからです。

私たちの小さな一歩も、積み重なれば大きなインパクトに変わる。あなたもぜひ、自分にできることを探してみてください。

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Yuko Kawashima

(取材・文=有馬ゆえ、写真=川しまゆうこ、編集=若田悠希

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Maya Nakata/Huffpost Japan
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