あなたの顔の皮膚には、とても小さな生き物が生息している。とはいえ、安心してほしい。その生き物は完全に無害であり、もう4万年あまりも人間の顔に寄生し続けているという。
ウソみたいな話だが、その生き物は「すべての人間」に寄生していると見られることが判明した、と英紙「デイリーメール」が伝えている。
その正体は、ニキビダニと呼ばれる、極めて小さなダニの一種だ。皮膚の毛包（毛穴）内に生息し、人間が分泌する皮脂を食べているのだという。
正確には、2種類が存在する。毛包の入り口付近に住むニキビダニ（Demodex folliculorum）と、奥のほうに住むコニキビダニ（Demodex brevis）だ。
そんなことを聞くとぞっとするかもしれないが、実際に見てみれば、その姿は思ったほど不気味ではないだろう。
ニキビダニは、毛包の入り口（皮脂線導管部が開いている部分）付近に6～8個体の群れで住む。コニキビダニは、皮脂腺内部に単独で住む。産卵から死ぬまでの寿命は約14日ほどと推定されている。哺乳類の皮膚の様々な分泌腺に寄生するが、ヒトでは特に顔面で皮脂腺が発達しており、顔における寄生密度が高いので「顔ダニ」と俗称される。
ほとんどすべての人間に寄生していることを発見したのは、米ノースカロライナ州立大学で研究を行なう大学院生のミーガン・ソメス氏と、その同僚の昆虫学者たちだ（正確には、DNA検査を行なった18歳以上の被験者29名全員がニキビダニのDNAを持っていたことに加え、他のテストでも被験者全員にニキビダニが寄生していたことがわかった）。
ソメス氏は、ニキビダニを「かわいい」と表現したうえで、こう続けた。「（ニキビダニは）小さな8本の足を使って皮脂の中を泳ぎ回っているように見えます。私たち人間には、ずっと以前から、一緒に住む友だちがいたのだ、と発見したような感じです。（ニキビダニが寄生していても）問題は一切なく、心配する必要はありません」
ニキビダニに関する発見は、人類の進化過程や、アフリカで誕生したとされる人類の移動経路を解明するうえで手がかりになるのではないか期待されている。「アジアで見つかるニキビダニ」と「イギリスで見つかるニキビダニ」はまったく別種であることから、人類と同様、ダニも進化したと考えられるからだ。
[Thomas Tamblyn(English) 日本語版：遠藤康子/ガリレオ]
Mind-Blowing Electron Microscopy
オサムシの顔(01 of15)
Open Image Modal触覚を取り除かれたオサムシの正面写真。
アタマジラミ(02 of15)
Open Image Modalヒトの2本の毛髪にしがみつくアタマジラミ。 (credit:Louwrens Tiedt/FEI)
デンタルフロス(03 of15)
Open Image Modalノーブランドのデンタルフロスの縁の部分。 (credit:William Mitchell/FEI)
イエグモ(04 of15)
Open Image Modalにわか雨の中で見つかったイエグモ。クモの大きさは約5ミリメートル。 (credit:Marcos Rosado/FEI)
精子(05 of15)
Open Image Modal「マウスの精子」の頭部と中間部。 (credit:Gunther Wennemuth/FEI)
ワラジムシ(06 of15)
Open Image Modal仰向けに置かれたワラジムシの立体画像。赤色と青色のレンズを持つ3D眼鏡を通して見ると、立体に見える。 (credit:Marcos Rosado/FEI)
食べ物を汚染する細菌(07 of15)
Open Image Modal七面鳥ジャーキーの表面に形成されている細菌「リステリア・モノサイトゲネス」のバイオフィルム（菌膜）（緑色の部分）。\n[リステリア・モノサイトゲネスは、生乳、サラダ、ナチュラルチーズなどの食品経由で、髄膜炎や敗血症を起こすリステリア症の原因となっている] (credit:Daniel Boyle/FEI)
昆虫の触覚(08 of15)
Open Image Modal昆虫の触覚。多数の感覚器官が並び、感覚情報を集めるための独特の構造を持っている。 (credit:Amanda Schrand/FEI)
木材(09 of15)
Open Image Modal木材の細胞。上下に穴と細胞が並ぶ。 (credit:Sharon Lackie/FEI)
魚の鱗（うろこ）(10 of15)
Open Image Modalヒガシスナヤウオ（Ammocrypta pellucida）の鱗。 (credit:Sharon Lackie/FEI)
アブラツノザメの皮膚(11 of15)
Open Image Modalアブラツノザメの皮膚の表面。 (credit:Daniel Boyle/FEI)
金属の粉末(12 of15)
Open Image Modalチタン、アルミニウム、バナジウム合金の粉末。通常は義肢やインプラントの製造に用いられる。 (credit:Maria Carbajo/FEI)
花(13 of15)
Open Image Modal開花間近のフサアカシア（イエローミモザ）の花。 (credit:Marcos Rosado/FEI)
デザートローズ(14 of15)
Open Image Modal水素化銅が分解したあとに形成された、銅のデザートローズ\n\n[デザートローズは、オーストラリア、チュニジア、メキシコなどの砂漠から発見される、バラの花の形をした石。鉱物の種類による名称ではなく、産出される場所によって色合い等が違う。地底から染み出した水が周囲のミネラル分を溶かして形成されたもの] (credit:Nadezda Tarakina/FEI)
磁鉄鉱結晶(15 of15)
Open Image Modal70度傾いた標本に付いた磁鉄鉱の汚染粒子。粒子の各部分はすべて、個々の磁鉄鉱結晶。 (credit:Rene de Kloe/FEI)
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