ヨーロッパでは、よりクリーンなクルマを作ろうと欧州委員会が2025年までにさらに厳しいCO2排出基準を設けようとしており、欧州自動車メーカーとのせめぎ合いが続いている。ドイツ連邦環境庁(UBA)の新たな報告書は、ドイツの自動車人気が環境にダメージを与える可能性があることを明らかにした。ドイツの国際放送事業体であるドイチェ・ヴェレが伝えるところによると、今回の調査で、交通セグメントは1990年以降ドイツで温室効果ガスが削減されていない唯一の部門であることが分かったという。実際、その排出量はどんどん増大している。
この調査によれば、自動車等の交通は、ドイツにおいて環境に悪影響を及ぼす排出ガスの原因の18%を占めている。しかし、微粒子と窒素のレベルは減少しているという。エンジンがクリーンになってきているのは明らかだが、問題の1つは、温室効果ガスを排出するクルマ自体の総数が増えているということだ。さらに、ドイツ人は大型でパワフルなクルマを好む傾向があると言われており、このことが排出量を減少させる可能性をさらに奪っている。ドイチェ・ヴェレによると、UBAのマリア・クラウツベルガー長官は「多くの技術的進歩や、燃費のよいクルマを志向するトレンドによって起こった変化は、微々たるものであることに我々は気がついた」と語り、さらに「交通量は増えている」と述べているという。
2000年から2013年にかけて3分の1も増加した貨物運送は特に問題となっている。クラウツベルガー長官はこれに対応するため、トラックの排出ガス制限を設け、3.5トン以上のトラックは通行料の徴収を行い、船や列車での運送を増やしたいと考えている。
「我々は間違った方向へ進んでいる」と語るクラウツベルガー長官だが、このように感じているのは、同長官だけではない。スウェーデンのストックホルムでは9月19日に市内中心部と旧市街道路などでクルマの乗り入れを一日禁止する予定で、フランスでもさらに厳しい活動を行っている。ヨーロッパではますます真剣に排出ガス削減に対する取り組みが行われていくだろう。
(2015年8月15日 Autoblog日本版「【レポート】ドイツ政府、排出ガスに関して「間違った方向へ進んでいる」と発言」より転載)
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