F1マシンに「窓」をつけることを検討。ドライバーの安全性向上のため

フォーミュラ1はドライバーの安全を向上させるべく、クローズド・コックピットを2017年より導入することを計画している。デザイン案を見てみよう。

フォーミュラ1は、より長期的な視点でドライバーの安全を向上させるべく、"Halo(暈)"型のクローズド・コックピットを2017年より導入することを計画しており、さらにクリアパネルを採用する防護策も検討中だ。

F1のテクニカルイラストを多数手がけてきたジャーナリスト兼イラストレーターのジョルジョ・ピオラが描いたコンセプト図(上の画像)では、破損したパーツや破片からドライバーを守るため、アクリル樹脂か防弾ガラスと思われる透明な素材でできたパーツがコックピットの周囲に取り付けられている。

ピオラが考案したこのバージョンではパネルがドライバーの周囲にぐるりとめぐらされているが、パネルを両サイドだけに設置したもう1つの案も出されており、こちらは全面パネルで発生する視野の問題を避けられるようになっている。

クローズド・コックピットについては、すでに各チームが検討を始めているが、ドライバーにとって本当にプラスになるという確証を得るためには、多くの試行を重ねることが必要だ。つまりHaloコンセプトは、承認後に使用されて初めて、その真価が問われることになるのだ。

Haloの実現へ

F1のHalo型コックピット防護システムのデザインは、2月11日に行われるテクニカル・レギュレーション・ミーティング(TRM)でさらに改良される可能性もある。だが、2017年最初のレースについてはすでに合意に達しており、コックピットに何かしらのスクリーンが取り付けられることはない。

1月29日に行われた前回のTRMの前に『Motorsport.com』が報じたところによると、国際自動車連盟(FIA)は、Halo型システムのテストが成功した場合、コックピット防護の問題への取り組みを先延ばしすることなく推進するという決意を固めたようだ。

その会議で11チームのテクニカル・ディレクターと話し合ったFIAレース・ディレクターのチャーリー・ホワイティング氏は、この防護策を2017年シーズンから導入することはFIAの指示だと明言した。つまり、問題となるのはHaloを導入するか否かではなく、どのように導入するかということになる。

クリアパネル

これまでテストを行ってきたコックピット防護策の中で、Haloが最良の着地点であることはFIAと各チーム共通の認識だ。しかし、長期的に考えると、今後は何らかの形でキャノピー型に仕上げるという動きが出てくるだろう。

現在のところは、上記の画像にある透明な素材を取り入れたHaloについて議論がなされているが、それに適した素材はまだ定まっていない。そのため、当面はコンセプトの段階にとどまっており、このままでは2017年までに準備を整えるのは難しい状態となっている。

これについては来週の会議でFIAとテクニカルディレクターとの間でより突っ込んだ議論が行われると見られ、その構造や重量についても意見が交わされることになるだろう。

会議参加者が『Motorsport.com』に語った話では、Haloを設置するとマシンの重量が10~15kg重くなることが想定されており、FIAはすでに軽量化する方策を模索しているという。2017年の新たなレギュレーションではホイール幅が拡大されるため、たたでさえマシンはこれまでより重量を増すからだ。

注:この記事は、モータースポーツの最新情報や写真、ビデオをお届けする『Motorsport.com』に掲載されたAdam Cooper記者による記事を転載したもの。

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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