マイクロソフトKinect for Azure発表。次世代ホロレンズ用センサを「インテリジェント・エッジ」向け提供

Xbox 360から数えて第四世代
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開発者カンファレンス Build 2018で、マイクロソフトが「インテリジェント・エッジ」向けセンサ Project Kinect for Azureを発表しました。

新 Kinect は高精度なToF式奥行きセンサや4K RGBカメラ、360度マイクアレイなどを小型・低消費電力のパッケージに収めたデバイス。

マイクロソフトのAzure AIサービスと併用することで、ドローンやロボット、スマート家電などが周辺環境の認識、人の存在や顔・表情・動きの認識、音声会話といった機能を手軽に使えるようにすることを目指したプロジェクトです。

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マイクロソフトのKinectといえば、かつてゲーム機のXbox 360用周辺機器として発売された奥行き・RGBカメラ・マイクアレイの複合センサ。

Xbox 360向けにはスター・ウォーズやディズニーランドといった人気コンテンツとともに投入されたこともあり、最初の二か月で800万台を販売し「一般コンシューマー向け電子機器として最速の売れ行き」なるギネス記録をアピールするスマッシュヒットとなりました。マイクロソフトによれば、v2含めて累計販売台数は3500万台以上。

Xbox Oneと同時に登場した第二世代Kinectは奥行きセンサの方式を改善し、複数人の同時骨格トラッキング、画像ベースの顔認識、視線や脈拍認識など大幅に強化しました。

まさに未来を先取りするインターフェース機器でしたが、周辺機器ではなく標準セットにして一気に普及を狙ったことからコスト的に肝心のゲーム性能や価格で足を引っ張り、何よりもKinectを生かす魅力的なゲームコンテンツがほとんどないまま発売したことで、ゲーム業界的にはXbox One大敗のきっかけのひとつになった黒歴史扱いのデバイスです。

(当時のXbox部門は開発責任者が発売前に辞任するなど、マイクロソフトらしい「本社意向とトップ入れ替えでリセット」効果が働いていたため、仮にKinect v2なしで売ったとしても順調だったかは怪しいところですが)

しかし一方、奥行きセンサやカメラなどが扱いやすくパッケージされゲーム周辺機器の価格で買えることは画期的で、ゲーム開発者以外からはPC向けの Kinect for Windows を利用したさまざまなプロジェクトが誕生しました。

マイクロソフトでも、ゴーグル型の Mixed Realityコンピュータ HoloLensに第三世代にあたるKinect技術を導入しています。

今回発表された Project Kinect for Azure は、このホロレンズ向けをさらに進化させた第四世代のKinect。

1024 x 1024 解像度のToF式奥行きセンサ、4K RGBカメラ、日光下での性能を向上させるグローバルシャッター、360度マイクアレイなどを備え、さまざまな用途に使いやすい小型と低消費電力が特徴です。

マイクロソフトではこの Project Kinect for Azure を、ドローンやロボット、スマート家電、テレプレゼンス(「ホロポーテーション」)、物体のキャプチャと再構成、VRやMixed Reality、監視や医療など業務用アプリケーション向け「インテリジェント・エッジ」を開発するデベロッパーに提供する予定。

マイクロソフトが「インテリジェント・クラウド」と対で提唱する「インテリジェント・エッジ」は、いわゆるユビキタスコンピューティング的な概念。

賢いクラウドが主、考えないIoT端末が従という中央集権的、クライアントサーバ的な構成ではなく、現実世界のデータに触れるあらゆる辺縁(エッジ)がそれ自体でAIを走らせるインテリジェンスを備え、クラウドとエッジの総体を「コンピュータ」と捉える的な考え方です。

現在開発中の次世代ホロレンズには、このProject Kinect for Azureと同じ第四世代のKinect技術が導入される見込み。

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