自転車の国際レース参加車両から隠しモーターを仕込む「メカニカルドーピング」がみつかった件で、自転車競技(UCI)は改造自転車を使用した選手に対し6年間の公式戦出場停止処分と罰金約230万円を言い渡したと発表しました。
問題となっていたのは、2016年1月30日にベルギーで開催されたシクロクロス世界選手権において、女子U-23クラスに参戦していたFemke Van den Driesscheの自転車。UCIは競技終了後に新開発の高周波・磁気共鳴センサーで参戦車両の検査をしていたところ、問題の自転車にモーターが仕込まれているのを発見しました。
Van den Driesscheは自分が仕込んだものではなく、モーターがあることにも気づかなかったと主張したもののその場で失格となり、自転車競技における初の「メカニカルドーピング」発覚事例として報じられました。
自転車に仕込まれていたのは、サドル下部のフレーム内部にVivax Assistモーターとバッテリー。さらにハンドルグリップに巻かれた格好でBluetoothで接続するモーター起動ボタンも見つかり、もはや故意であることは疑いようもなかったようです。
今回発表された処分は非常に重いもので、Van den Driesscheには2021年10月10日まで6年間にもおよぶ出場停止処分、2万ユーロ(約230万円)の罰金、さらに過去にさかのぼってU-23欧州チャンピオン、U-23ベルギーチャンピオンのタイトルも剥奪される結果となりました。UCIは近年トップ選手に相次いだドーピング問題とともに、メカニカルドーピングに対しても厳正な対応をしていく構えであることがうかがえます。
UCI会長のBrian Cooksonは、「我々は検査機器の開発に多大な投資をしてきました。今回のケースはUCI、ファン、公正な競技を求める選手たちにとっての大きな勝利です」と自賛しています。
ちなみに今回の違反発覚以前にも、ツール・ド・フランスをはじめとする自転車競技において車両にモーターを仕込んでいるのではないかという疑惑はたびたびわき起こっていました。また競技中に転倒した自転車の車輪が回転し続けるといった「奇妙な現象」も確認されてはいたものの、これまでの通常の車検では発見には至っていませんでした。
(2016年04月27日 Engadget日本版「『メカニカルドーピング』発覚の自転車選手に6年の出場停止処分。ベルギー・欧州チャンピオンの肩書も剥奪」より転載)
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