電気自動車(EV)メーカー テスラ の CEO イーロン・マスクが、アップルへの技術者流出の話題について「アップルはテスラを解雇された社員を雇っている」とコメントしました。独経済紙ハンデルスブラットのインタビューに答えたもの。
アップルは2020年を目処に自動運転車の発売を目指していると言われ、主に自動車業界から有能な人材の引抜きを加速しています。
この夏、アップルがテスラの実績ある技術者に対し、25万ドル(約3000万円)もの移籍金を提示してテスラの社員を引き抜いているとするニュースが流れました。
ハンデルスブラットのインタビューに応じたイーロン・マスクは、引き抜きに困っていないかと聞かれたところ「アップルはテスラが解雇した技術者を雇っている。あそこはまるでテスラ技術者の墓場だね」と揶揄しつつ「技術者はテスラでダメだったらどんどんアップルに行けばいい」と自信満々に答えました。
さらに「Apple Watch ではいい仕事をしているけど、自動車の場合は Foxconn が組み立ててくれるわけではないからね」と手厳しい意見も付け加えています。
テスラとアップルの技術者引き抜き合戦は今に始まったことではなく、数年前から何度も話題になっています。もっとも、テスラが引きぬいた元アップル社員は数百名とも言われ、イーロン・マスクもこの春、「アップルからテスラに来た技術者はアップルへ出て行った人数の5倍」と豪語するほどでした。
ただイーロン・マスクは別にアップルをこき下ろすためにドイツへでかけていたわけではありません。欧州ではこれまでクリーンディーゼル技術の革新に伴い燃費の良いディーゼルに人気が集まっていました。しかしフォルクスワーゲンの排ガス偽装問題が発覚して以降、ユーザーの認識が大きく変わりつつあります。
電気自動車メーカー、テスラの CEO はこの機会にドイツ政府関係者と接触、内燃機関にしがみつこうとする自動車メーカーの限界を説き、さらに次世代の自動車である EV へ政策と金融両面での優遇措置を求めています。
テスラの新車「Model X」
ちなみに、アップルに対し辛辣なコメントをしたイーロン・マスクですが、先ほど Twitter にそのことをほぼ謝罪するツイートを投稿しました。ツイートでは「アップルのことが嫌いなわけじゃない。アップルは才能あふれる人が大勢いる偉大な会社。アップルの製品は大好きだし、EV への参入も大歓迎だよ」と持ち上げる一方 Apple Watch には「ジョニー・アイブとそのチームは素晴らしいデザインを作り上げた。機能的にはまだまだだけど、3世代目に期待だね」と、褒めたのかけなしたのかわからない感想を綴っています。
( 2015年10月10日Engadget日本版「『アップルは元テスラ社員の墓場』イーロン・マスク、EV参入狙うアップルへの技術者流出にコメント」より転載)
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