PRESENTED BY 朝日放送グループホールディングス株式会社

「何時にコンビニに行っても食材が豊富」はおかしかった。便利すぎる日本で見過ごされがちな社会課題とは?

社会起業家を支援。朝日放送グループが新ファンド立ち上げで目指す未来とは?
KAORI NISHIDA

社会課題の解決のために、具体的なアクションを。そんな思いから、2022年10月、ABC ドリームベンチャーズ株式会社(朝日放送グループ)が社会起業家を支援するためファンドの立ち上げを発表しました。

朝日放送グループ社長の沖中進さん、そして「のーぷら No Plastic Japan」での活動などで使い捨てゴミの削減に取り組むノイハウス萌菜さんにお話を聞きながら、現代の企業のあるべき姿をひもときます。

短期的な利益を得ることに注力してしまいがちな日本企業が、今考えるべきこととは?

日本で社会課題が解決されづらい本当の理由

沖中進さん(朝日放送グループHD株式会社 代表取締役社⻑):ABC朝日放送入社後、ディレクター、プロデューサー等を経て、現職
沖中進さん(朝日放送グループHD株式会社 代表取締役社⻑):ABC朝日放送入社後、ディレクター、プロデューサー等を経て、現職
KAORI NISHIDA

──今、お二人が特に気になっている日本の社会課題について教えてください。

沖中進さん(以下、沖中):社会課題がたくさんあっても “見えづらい” ことが日本の大きな課題ですかね。以前、あるメディアが特集したアメリカと日本の「ベスト5スタートアップ」が面白かったんです。

アメリカのベスト5にランクインしていたのは、貧困層向けのクレジットカードや健康保険、退役軍人のメンタルヘルスをサポートする医療機関と社会福祉施設のマッチングなどでした。

一方、日本のベスト5は、BtoBの業務効率化、仕入れの効率化……といった企業が多く、どんどん便利にしていく、という方向性が目立っていたように思います。

この国では電車は時間通りに来るし、コンビニは24時間あいているし、治安はいい。便利なのが当たり前になっているため、社会課題がたくさんあっても “見えづらい” ことも大きな課題かもしれない、と感じました。

ノイハウス萌菜さん(株式会社斗々屋広報 / No Plastic Japan代表 / サステナビリティ・コンサルタント): 2018年、プラスチックストローの代替品となるステンレスストローブランド「のーぷら No Plastic Japan」を設立。使い捨て容器を使用しない量り売りスーパー「斗々屋」広報担当。ラジオ、ポッドキャストでも積極的に情報を発信している
ノイハウス萌菜さん(株式会社斗々屋広報 / No Plastic Japan代表 / サステナビリティ・コンサルタント): 2018年、プラスチックストローの代替品となるステンレスストローブランド「のーぷら No Plastic Japan」を設立。使い捨て容器を使用しない量り売りスーパー「斗々屋」広報担当。ラジオ、ポッドキャストでも積極的に情報を発信している
KAORI NISHIDA

ノイハウス萌菜さん(以下、ノイハウス):日本の便利さは素晴らしい反面、おっしゃる通り、便利すぎることも問題なのかもしれない、と思います。

生産性が向上して前に進んでいるように見えても、反面失われるものもあって、心身に負担を抱える人も多い。それでも、メンタルヘルスの問題は他国ほど表立ったトピックとして上がってきません。社会問題を気軽に話しにくい風土がまだまだある、と感じます。

沖中:そういえば、たまたま昨日の夜10時半くらいにコンビニに行ったんです。次の日の朝食でも買おうと思ったんですが、棚のパンもおにぎりも全部売り切れでびっくりしまして……。

ノイハウス:見事にフードロスをコントロールしていますね!(笑)

沖中:不便ではあるわけですが、何時にコンビニに行っても食材が豊富にあると思っていたことが、そもそもおかしかったのだと考え直しました。

ノイハウス:日本の今までのサービスを当たり前だと思っている私たちにも問題がある、ということですね。でも人は慣れる生き物なので、サービスの変化で消費者も行動を変えますし、企業側も常識を覆す際には「人が離れるかもしれない」と感じても、消費者は慣れと共に別のより良いメリットがあることに気づくと思います。

フードロス削減を消費者だけに負わせない

──朝日放送グループは、ベンチャー企業を支援する「ソーシャルインタラクションデザインファンド」を立ち上げましたが、どんなファンドなのでしょうか?

沖中: 志のある社会起業家を支援しようというファンドです。7、8年前、若い起業家たちに経営者がメンターとなってアドバイスをするという集まりに私が参加した頃から構想がありました。起業家の方たちはとても熱心ですが、いろんな側面で苦労されている。「なんとかして応援してあげたい」と。

最初はドネーション(寄付)というのもあるか、とは思いましたが、出資という形で長期的な関係性を築きながら当社もリターンを得る、という方向へ落ち着きました。

KAORI NISHIDA

──出資の第1号案件は、さまざまな取り組みによりフードロス削減を目指す「株式会社ロスゼロ」でした。この選定にはどんな想いがあったのでしょうか。

沖中:最終的な選定は社員に大部分を任せましたけれども、私個人としては、起業家の文美月さんへの共感も大きかったです。彼女は50代で、この会社が二度目の起業です。総合職で入社した会社を結婚で退職し、出産して子育てをして……という、昭和の当たり前のレールに乗っていた中で、「本当にこのままでいいんだろうか」と疑問に思ったことが起業家としての始まりだったとか。既存の価値観を疑ってチャレンジをされている姿にはインパクトがありました。

もちろん、フードロスを解消するという事業内容も素晴らしいものです。日本は食料自給率が低い一方、フードロスでは世界の上位にランクインしており、解決されるべき大きな問題です。

ソーシャルインタラクションデザインファンドの出資第1号は、株式会社ロスゼロに決まった。さまざまな食品ロス削減事業を手がけている
ソーシャルインタラクションデザインファンドの出資第1号は、株式会社ロスゼロに決まった。さまざまな食品ロス削減事業を手がけている
株式会社ロスゼロ提供

ノイハウス:ロスの事情の裏側を知れば知るほど、気が遠くなってしまいますよね。例えば農家さんが規格外で納品できないから捨ててしまったり、賞味期限の問題でスーパーが捨てざるを得なかったり…。消費者のフェーズでは何ともしがたい段階で多くのロスが出ているという現状があります。消費者だけが「気をつけないと」とプレッシャーを感じるのではなく、規制や仕組みそのものが変わっていく必要があると感じます。

その点、ロスゼロさんは、規格外野菜や在庫余剰など、消費者に届く以前の段階で商品を回収してサブスクで届ける、というビジネスモデルです。今まで、個人レベルでは届かなかったところにアクセスを広げてくれるのはありがたいと思います。

KAORI NISHIDA

短期の利益ではなく、未来への期待で起業を見る

沖中:今後は、ノイハウスさんが尽力されているような環境問題の他にも、さまざまな領域にも目を向けていきたいと考えています。例えば、雇用の現場でもっと多様な人材が活躍できる仕組みづくりをしている企業などです。

また、このファンドを通じて数々のベンチャー企業と繋がりができることで、朝日放送グループにも新しい発見があるんです。今まで以上に、あそこは面白いことをやっているな、と人が集まってくるような企業を目指していきたいですね。

KAORI NISHIDA

ノイハウス:次回の募集はいつなんですか?

沖中:ファンドの運営期間は15年なので、その間にいつでも応募していただけますよ。大手の銀行には融資を渋られてしまう、という企業も多いと思いますから、ぜひご検討いただきたいです。

KAORI NISHIDA

ノイハウス:まさに、私が広報を担当している量り売りスーパー「斗々屋」がそうでした。斗々屋のアイディアが出たのは2017年ごろでしたが、その時銀行に相談してもなかなかご理解いただくことができなかったんです。食品ロスを出さないとか、パッケージがないとか、「言うのは簡単でも、できないから誰もやってないのでは?」と。

それが、徐々に社会の変化とともに反応が変わり、パートナー企業も見つかって、希望が見えてきています。

沖中:自戒を込めて言うと、企業の物差しは「短期の利益」になってしまいがちです。でも、斗々屋さんのように「社会のためにやるべきだ」という想いと、未来への期待値で判断すべき企業がたくさんあります。

ノイハウス:10年後には「SDGs」とわざわざ言わなくても、ビジネスを立ち上げるならそれは何かの社会課題の解決のため、という考え方が日本でも当たり前になっていて欲しいですね。

※「ソーシャルインタラクションデザインファンド」について詳しくはこちら


(撮影:西田香織、取材&文:清藤千秋、編集:磯本美穂)

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