デイヴ・スミスさん死去。伝説的なシンセ「Prophet-5」の作者。“MIDIの父”とも呼ばれていた

伝説のシンセ「Prophet-5」は坂本龍一さんも愛用。2020年に復刻されていた

伝説的な電子楽器「Prophet-5」の作者として知られ、電子楽器とコンピューターを繋げる世界共通規格「MIDI」を生み出したアメリカのデイヴ・スミスさんが亡くなった。

スミスさんが経営するシーケンシャル社の公式インスタグラムが、日本時間6月2日に訃報を投稿した。死因は明かされていない。

「デイヴ・スミスが亡くなったというニュースをシェアすることになり、打ちひしがれています。私たちは悲嘆に暮れていますが、彼が家族、友人、芸術家らによる会社で最も好きなことをしていたと知ってもらえるのは、少し慰められます」

■伝説的なシンセ「Prophet-5」は坂本龍一さんも愛用。2020年に復刻されていた

伝説的なシンセ「Prophet-5」の資料写真
伝説的なシンセ「Prophet-5」の資料写真
Gabe Ginsberg via Getty Images

シーケンシャル社の公式サイトによると、スミスさんは1950年生まれ。1974年にカリフォルニア州サンノゼでシーケンシャル・サーキット社を創業した。

当時、広く使われていたミニ・モーグなどのシンセイザーは様々な音を合成できる一方で、音色を保存することはできなかった。しかし、スミスさんが開発して1978年に発表したシンセサイザー「Prophet-5」は内蔵したコンピューターに音色を保存することが可能だった。その便利さと美しい音色から爆発的なヒットを呼んだ。音楽家の坂本龍一さんがYMOでの楽曲や、ライブで愛用している

1970年代までは、シンセイザーやコンピューターを接続するための規格は、メーカーごとにバラバラで不便だった。1981年にスミスさんが書いた論文を元に、世界統一規格の「MIDI」をローランドなどの日本の楽器メーカーともに開発したことで、スミスさんは「MIDIの父」とも呼ばれている。

1982年にスミスさんがリリースしたProphet-600は、MIDIを搭載した初めての楽器となったと公式サイトBBCは報じている。MIDIは電子楽器を繋げる規格として40年以上たった現在も世界的に使われている。

シーケンシャル・サーキット社は1980年代にヤマハに買収されたが、2002年にスミスさんは自身の会社「デイヴ・スミス・インスツルメンツ」を設立。2018年には元々の会社名に近い「シーケンシャル」に改名した。2020年には「Prophet-5」の現代版である「Prophet-5 Rev4」を発売し、再び注目を集めていた。

【UPDATE】坂本龍一さんは6月2日、公式Twitterでスミスさんの訃報をシェアするとともに、以下のような追悼メッセージを投稿した。

「御冥福をお祈りします。本当に有り難うございました。私たちはあなたに多くの恩恵を受けています!!!!!!!」

(2022/6/03 13:50)

参考文献:

見て楽しむ アナログ・シンセ図鑑』(シンコーミュージック・エンタテイメント)

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