豪華客船ダイヤモンド・プリンセスとは? 16日間の「東南アジア大航海」で新型コロナウイルスに集団感染

2004年に三菱重工業長崎造船所で建造。乗客定員は2706人。日本人リピーターが多いことで知られている。
2月5日、横浜沖に停泊中のダイヤモンド・プリンセス号
2月5日、横浜沖に停泊中のダイヤモンド・プリンセス号
Kim Kyung Hoon / Reuters

横浜港沖に停泊中の豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗員乗客のうち10人に2月5日、新型コロナウイルスの感染が確認され、神奈川県内の医療機関へ搬送されたと厚労省が発表した

国内で新型コロナウイルスの集団感染が確認されたのは初めて。残りの乗客乗員についても健康状態を確認するため、厚労省はウイルスの潜伏期間が過ぎる14日間程度、船内に待機してもらう方針だ

ダイヤモンド・プリンセスは、どんな船なのかを調べてみた。

■日本人リピーターが多い理由とは?

ダイヤモンド・プリンセス号(カーニバル・ジャパン社の公式サイトより)
ダイヤモンド・プリンセス号(カーニバル・ジャパン社の公式サイトより)
princesscruises.jp

ダイヤモンド・プリンセスは、2004年に三菱重工業長崎造船所で建造された。造船当時は姉妹船の「サファイア・プリンセス」と並んで、日本で建造された客船としては史上最大だったという。

全長は290メートル、総トン数は11万5875トンの威容を誇り、乗客定員は2706人、乗組員数は1100人。巡航速度は22ノット(時速約41キロ)だ。

半世紀以上の歴史があるアメリカのクルーズ会社「プリンセス・クルーズ」が運航しており、2014年からは日本発着クルーズを開始した。

日本人リピーターが多いことでも知られており、2014年の大規模改装で大浴場「泉の湯」、寿司レストラン「海(Kai)寿司」などが登場。日本発着の際には日本語ができるクルーが約100人乗船するなど、日本語サービスも充実していることが背景にあると言われている。

さまざまなイベントが開かれる三層吹き抜けのアトリウムがあるほか、夜間には映画を上映する屋外プールもある。劇場、カジノ、屋外シアター、フィットネスセンターなど豪華な設備が盛りだくさんだ。

■16日間の「東南アジア大航海」中に集団感染

「初春の東南アジア大航海16日間」2019年 日本発着クルーズ<Vol.3>のデジタルパンフレットより
「初春の東南アジア大航海16日間」
2019年 日本発着クルーズ<Vol.3>のデジタルパンフレットより
princesscruises.jp

今回、ダイヤモンド・プリンセスは「初春の東南アジア大航海16日間」に出航中だった。1月20日に横浜を出港、22日鹿児島、25日香港、27日ベトナム・チャンメイ(ダナン/フエ)、28日ベトナム・カイラン、31日台湾・基隆、2月1日那覇、4日午前に横浜に帰港するスケジュールだった。

1人あたりの旅行代金は25万円~138万2000円だという。

1月20日に横浜から乗り、25日に香港で下船した80歳の男性乗客が、新型コロナウイルスによる肺炎と確認された。これを受けて、2月3日から検疫官が乗り込んで乗員・乗客計約3700人の健康状態などの聞き取りを続けていた

朝日新聞デジタルの2月5日の報道によると、乗客乗員3711人のうち、発熱やせきなどの症状がある人とその濃厚接触者など273人の検体をとり、感染の有無を確認した。2月5日朝までに31人の検査結果が出て、うち日本人3人を含む10人の感染が確認された。

検査はまだ途中で、今後さらに感染者が増える可能性もあるという。

ダイヤモンド・プリンセスに乗船中だというTwitterユーザーの「だぁ」さんが、船内の検疫の状況を画像付きでツイートしている。

■参考図書

・るるぶクルーズのすべて(JTBパブリッシング)

・るるぶクルーズのすべて2019~2020(JTBパブリッシング)

・初めてのクルーズGuide 日本から行く絶景&世界遺産(KADOKAWA)

・「CRUISE」2019年12月号(海事プレス社 )

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