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2020年07月27日 15時30分 JST | 更新 2020年07月28日 09時09分 JST

ビキニ姿の写真、医師たちが一斉に投稿。「医師として不適切」とする論文に“体を張って”抗議

「ビキニを着ていても私はあなたの命を救えます」

ビキニ写真など“医師としてふさわしくない行為”のSNSへの投稿は、医師本人や病院の評判を傷つけると警告したアメリカの論文に対し、「性差別や偏見だ」と医師たちから批判が起きた。  

SNS上では、論文に抗議するための#MedBikini(医師たちのビキニ)というハッシュタグが生まれ、医療従事者によるビキニや水着の自撮り写真が多数投稿された。  

どんな論文だったのか

批判を受けたのは「ジャーナル・オブ・バスキュラー・サージェリー(血管手術の専門学術誌)」に掲載された論文だ。

研究者たちは若い医師たちのSNS投稿内容を調べるため、2016年~18年に卒業した480人の血管手術の研修医たちのFacebookやTwitter、Instagramなどへの投稿を調査した。

その結果、235人が本人だと確認できるSNSアカウントを持っており、そのうちの26%にあたる61人が「明らかに医師としてふさわしくない行為」もしくは「ふさわしくない可能性がある行為」を投稿していた、と論文は述べる。

研究者たちが定義する「医師としてふさわしくない行為」の具体例には、飲酒や物議を醸すような言葉遣い、露出の多いハロウィン仮装や刺激的なビキニ・水着などが含まれていた。

ビキニ着用を恥ずべきことと批判

論文は元々、2019年12月に掲載されていたが、2020年7月にオンラインに掲載されて多くの人が読めるようになった。

イリノイ州ラッシュ大学医療センター放射線腫瘍学のムディット・チョードリーム氏はこの論文には性差別や偏見が含まれているとして、「声をあげて欲しい」とツイートした。

「もしあなたが HeForShe(国連のジェンダー平等キャンペーン)の支持者であれば、この不快な論文に声をあげてほしい。3人の男性が偽のSNSアカウントを作って、医師を志願する人たちをスパイしている。さらに悪いことに、彼らは女性医師たちのビキニ着用を恥ずべきことだと批判している」

これに賛同した多くの医師たちが、ビキニの自撮り写真を投稿。 #MedBikiniはアメリカのTwitterでトレンド入りもした。

「SNSにビキニやアルコールを飲んでいる姿を投稿するのは、医師としてふさわしくない行為のようなので、両方やっている写真を投稿します」

 

「私のビキニの自撮りです。これが女性の医師としてふさわしくないという28歳の“研究者”さん、私はあなたの祖母でもおかしくないくらい、年齢と経験を重ねています」 

 

「ふさわしくない行為とは何か。それは女性嫌悪と性差別です。ふさわしい行為とは?それは自分を楽しみ、リラックスすること。そして自分の体について自分で決めること。これは冷たい滝にいる写真です。ここで洋服を着るのは不適切」 

 

「投稿されている多くが私とは違う感じの写真だったから迷ったけれど、ビキニ体型で求められるのは、ビキニを着ることだけだと信じているので投稿します」

 

「私は午前4時に病院で働きます。12マイルのハイキングやビール、ビキニが、そんな私を良い医者ではなくするというのはおかしいと思う」

 

「59歳の緊急医です。正確に言えばビキニじゃないけれど、これも水着。私は今でもあなたの命を救えるし、腕相撲では負けません」 

 

「白人の細い体の人たちの写真がたくさん投稿されていたから、参加するのを初めはちょっと迷ったけれど、恣意的な“職業倫理”にはいつもムカつくから、お酒を持ってビキニを着ている写真を投稿します」

 

「論文に心が折れそう。だけどこれは医療界の裏側のほんの一部にすぎないんでしょう。投稿したのは緊急車両におけるトラウマについての論文を書き終えた後の私の写真です。医師だって人間です」

 

男性の医師たちも、水着の写真を投稿してサポートを表明した。

「このお父さんの体を見たい思うひとはあまりいないかもしれませんが、女性の同僚をサポートする写真を投稿します。大学時代そして研修医の時に指導してくれた女性のメンターがいなければ、外科医としての今の自分はありません」 

 

「どうやらこれは職業倫理に違反しているようだ」

 

抗議だけではなく、論文の掲載取り下げを求める訴えも投稿された。

批判に対して、研究者の1人トーマス・チェン氏はTwitterで謝罪した。チェン氏は論文の目的は、SNS投稿で患者や同僚からどう見られるかを気づいてもらうことだったが「結果的に若い医師たちを標的にされたような気持ちにさせ、批判をしてしまい申し訳なかった」とお詫びを綴っている。

ジャーナル・オブ・バスキュラー・サージェリーも、「研究者たちの意図は若い医師にSNSのリスクを伝えることだったと考えている」としつつ「論文は偏見が含まれていることを見落としている」として謝罪するとともに、掲載の取り下げを発表した。