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2021年01月26日 11時29分 JST | 更新 2021年01月26日 16時50分 JST

男女比「50:50プロジェクト」をはじめます。ジェンダーギャップ指数121位の国で、メディアにできること

日本メディアで初めて、BBCの「50:50」のパートナーになりました。ハフライブは1年を通じて、毎月「SDGs」をテーマに番組を作ります。その中で、「SDGs 目標5」のジェンダー平等を番組制作で考えます。

ハフライブ「50:50プロジェクト」

ハフポスト日本版は、インターネットの生配信番組「ハフライブ」において、番組出演者の女性比率などを上げて、ジェンダー平等を目指す「50:50」プロジェクトを始めます。

2021年の1年間を通して、出演者の合計の男女比を同等にします。また、メディアに登場する専門家やコメンテーターに男性が多いという現状を踏まえ、特に女性の割合を高めていくことに努めます。

スポンサーとなるパートナー企業と一緒につくる「広告番組」においても同じルールを適用し、ハフポスト日本版の広告チーム「Partner Studio」が積極的に企業に働きかけ、一緒に実現を目指します。

テレビをはじめとしたメディア業界では、コメンテーターや解説者が男性に偏ることが指摘されてきました。そんな中、イギリスの公共放送「BBC」は番組などに出る男女比を等しくする「50:50(フィフティー フィフティー)プロジェクト」を開始。ハフポストは趣旨に賛同し、日本メディアで初めてパートナー参画することになりました。

BBC提供
BBC「50:50プロジェクト」

1年間、SDGsに向き合います。私たちもできることから…

ハフライブはその時々の社会問題やニュースを深掘りするネット番組で、TwitterやYouTubeから見ることができます。

2021年のハフライブは、1月から12月まで、季節ごとの「日常会話」に出てくる身近なテーマをもとに、SDGsについて考えます。

例えば、2月に取り上げる「チョコレート」。原料を生産する国の児童労働、過剰包装やプラスチックゴミの問題、あるいは「女性が職場の上司や同僚にチョコレートを贈る」などのジェンダーに関する固定観念…複雑にからみ合う色んな問題を、身近なものをきっかけに話し合います。

ハフライブ「SDGsカレンダー」

番組の内容だけでなく番組づくりにおいても、私たちが取り組めるSDGsを考え、実践します。

例えば、番組では新型コロナの感染予防などを最優先しながら、出演者用のペットボトルやプラスチックストローを廃止します。SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」では海のプラスチックごみが問題となっているからです。

出演者のジェンダーバランスを考えるのは、日本が特に遅れているSDGs目標5の「ジェンダー平等」にそったもの。

政治やビジネスの場で男性優位が続く責任の一端は、メディアにあると考えているためです。

テレビや新聞の中で、政治を語るのも、ビジネスを語るのも、気候危機などサイエンスを語るのも…、まだまだ男性が多い現状があります。一度出ていた人を、また別のメディアが起用し、「負のスパイラル」が起きている側面もあります。

BBC視聴者「女性の登場で番組をより楽しめるように」

それを「変えたい」と動き出したのがBBCの「50:50プロジェクト」です。この試みは同局看板キャスターのロス・アトキンスさんが2017年1月、自身が司会を務める番組の出演者が全員男性だったことに気づいたところから始まりました。「専門家など出演者の男女比を半々にする」という目標を掲げ、それが局全体に広がりました。

2020年4月に発表されたBBC視聴者アンケートでは、回答した39%が「女性が多く登場するようになった」ことに気づき、16-34歳の視聴者の40%が「女性の登場が増えたことで番組をより楽しめるようになった」と回答したそうです。

BBC提供
BBCで「50:50プロジェクト」を始めたロス・アトキンスさん(左)。ニュース番組「アウトサイド・ソース」の司会者を務める。

ハフポストは社員の7割以上が女性の職場です。日本のジェンダー不平等の課題について普段から感じており、ハフライブでも、まず女性ゲストから選ぼうと心がけてきました。それでも、昨年(2020年)配信した全ライブ番組で、私が判断できる範囲で、女性の出演者は4割強でした。

「政治やビジネスの場で活躍している女性が少ない」「男女比ではなく、実力で選ぶべきだ」。

イベントの主催者やメディア関係者からそんな声が聞こえてくることもあります。

しかしそれは、リサーチしきれていない面もあるのではないでしょうか。今回私たちが、数値目標を掲げるのは、言い訳や妥協をせずに、着実に、女性の発言の場を増やしたいと考えたからです。

SiberianArt via Getty Images
メディアやメディアが主催するイベントなどで、専門家やコメンテーターに男性が多いという現状がまだまだある。

もちろん、男性・女性どちらでもない性自認の人もいます。

性的マイノリティの当事者や、障がい者、多様な人種、年齢。あらゆる人にフェアな社会を目指し、公平性の象徴としてBBCは「50:50」という言葉を使っているのだと思います。私たちも、あらゆる面での多様性に意識を向け、出演者を決めていきます。

なお、出演者一人一人に性別を聞くことはしません。厳密なカウントではなく意識改革を目指し、公開情報などからわかる範囲で数えるという、BBCの手法に準ずるつもりです。

「数字あわせ」ではなく「意識改革」

BBCの方針は「コンテンツの質は妥協しない」。ハフライブでも、ごまかしの「数字あわせ」に躍起になるのではなく、この方針に賛同します。

さらにいうと、ジェンダーギャップ指数が21位のイギリス(BBCの本拠地)と比べて、日本は121位。低迷から脱することが出来ていません。50%では社会に変化を起こせないと改めて感じており、女性比率55%、60%…と、5割超をできる限り目指します。

時事通信社
記念撮影に臨む菅義偉首相(前列中央)と新閣僚ら=2020年9月16日、首相官邸

BBCも試行錯誤しながらやっています。例えば、首相など、制作者の意志とは別に、出てくる人の性別が決まってしまう場合は集計にいれません。ニュースやテーマの当事者が特定の人であり、その人に直接聞くことが番組の趣旨であった場合も同様といいます。

「自分がコントロールできることは何かを定め、まずはそこから変えていく」と担当者は話していました。

私たちは何をコントロールできるのか。変えられるものは何なのか。そもそも既に女性の首相が誕生しているイギリスと日本は違いますし、これからも、BBCの担当者とも会話しながら、一歩ずつ変えていきたいと思います。

企業と会話し、変化の「輪」を広げたい

周りを見渡せば、すでにジェンダー平等を考えた番組作りをしている方もいます。

ただ、あえて「50:50」という明確な数字を掲げることで、社内やパートナー(スポンサー)に働きかける基準になる。会話が生まれ、変化の「輪」を広げることと考えています。

BBCで50:50プロジェクトをすすめるNina Goswamiさんは「50:50は、番組の作り手だけでなく、出演者が所属する組織のマインドの変化をも生み出しています」と語り、次のように変化のプロセスを解説してくれました。

「私たちメディアが番組出演者のジェンダーバランスに配慮するようになると、依頼を受けた企業や団体が積極的に社内で新たな専門家や多様な才能を探すことにつながるようです。そういう例をよく聞くようになりました」(Goswamiさん)

ハフポスト日本版のパートナー(スポンサー)企業のある幹部も、私たちの決定について、このように話しました。

「企業だけでは、なかなか変われないことがある。役員の比率や、これまでの取り組みなど、少しでも自信が持てない部分があると、取り掛かりにくいこともある。そんな中、メディアから『50:50にしましょう』と言ってもらえると、社内外で会話もしやすくなるし、私たち自身も変わるきっかけになる」

ハフライブの試みは小さいですが、メディアが起点となって少しでも「良いスパイラル」に貢献できることを願います。

SDGsはジェンダー平等だけでなく、気候危機や貧困などたくさんの課題があります。しかもタイムリミットは2030年。10年もありません。

できることからスピーディに。

自らが変わるとともに、番組を通して「ポジティブな変化」のきっかけを作りたい。

そんな風に1年間を走っていきたいと思います。

 

《SDGs、特に関心がある項目は?【アンケート】》

ハフポスト日本版は、SDGに関する皆さんのご関心やアクションについて聞くアンケートを実施中です。いただいたご意見は、今後のコンテンツ制作・発信に生かします。(回答時間目安:2分)

 回答はこちらから⇒ https://forms.gle/j6fPhxL4rBXU8FYB8

huffpost

ハフポストは、新企画「SDGsで世界をリ・デザインする」をはじめました。

貧困、環境問題、ジェンダー不平等…。さまざまな社会課題は、お互い複雑に絡みあってます。ビジネスの力で解決を望んでも、何かにチャレンジすると、短期的に別の問題を引き起こすことも…。”あっちを立てれば、こっちが立たず”です。こうした「ジレンマ」について知り、社会を前に進めていくために。企業や、働く私たちができること・やるべきことについて考えます。

■ネット配信番組「ハフライブ」は、毎月「SDGs」をテーマにします。バレンタインデー、就活、台風など季節のできごとを入り口に、SDGsに関するファクトやオピニオンを展開します。

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