NFL初、現役選手がゲイを公表。「可視化するのが大切だと思った」

NFLのカール・ナッシブ選手がゲイをカミングアウト。プライド月間にスポーツの歴史を作りました
カール・ナッシブ選手(2020年11月15日)
カール・ナッシブ選手(2020年11月15日)
Ethan Miller via Getty Images

NFL(アメリカンフットボールリーグ)のラスベガス・レイダースでプレーするカール・ナッシブ選手が6月21日、Instagramでゲイであることを公表した。

NFL公式戦でプレーする現役選手が、同性愛者であることをカミングアウトするのは初めてで、NFLそしてスポーツの歴史を作った。

自分のできる限りのことをしたい

Instagramに投稿した動画で、ナッシブ選手は次のように語っている。

「今日はみなさんに、私がゲイだということをお伝えします。前から伝えたいと思っていたのですが、ようやく安心して打ち明けられると感じられました」

「私はあまり自分のことを話すタイプでありません。だから注目して欲しくて公表しているわけではありません。同性愛の当事者がいるということを伝え、可視化するのがとても大切だと思い、公表しました」

「いつか、このような動画やカミングアウトが必要なくなる日がきて欲しいと思います。しかしそれまでは、誰もが受け入れられ温かく迎え入れる文化を作るために、自分ができることをしたいと思います」

カミングアウトに加えて、ナッシブ選手はNPO団体「トレバー・プロジェクト」に10万ドルを寄付すると明かした。

トレバー・プロジェクトはLGBTQの若者の自死を防ぐ活動をしている団体だ。

ナッシブ選手は彼らの活動を知ってすぐに心を動かされたという。

「LGBTQの若者が非常に高い自死のリスクにさらされていることは非常に悲しいことであり、自分のように恵まれている立場にいるものとして、できる限りのことをすべきだと責任を感じた」とコメントしている。

タンパベイ・バッカニアーズ時代のナッシブ選手(2019年12月15日)
タンパベイ・バッカニアーズ時代のナッシブ選手(2019年12月15日)
Rey Del Rio via Getty Images

現役NFL選手で初めてのカミングアウト

ナッシブ選手はディフェンシブエンド。2016年のドラフトでクリーブランド・ブランズに指名されて2シーズンプレーした後、タンパベイ・バッカニアーズに移籍。その後2020年に、現在所属しているレイダーズに移籍した。

NFLでは、ゲイを公表していたマイケル・サム選手が2014年ドラフトでロサンゼルス・ラムズに入団したが、プレシーズン試合でのプレーにとどまり、公式戦での選手登録はなかった

また、これまで引退後にゲイやバイセクシュアルであることを公表した選手はいたものの、公式戦でプレーしている現役選手が同性愛を公表したのはナッシブ選手が初めてになる。

NFL現役選手初となるカミングアウトに、同リーグやチームは温かなサポートを表明。SNSでナッシブ選手の投稿をシェアし「あなたを誇りに思う」とコメントした。

NFL:カール・ナッシブ選手が今日、同性愛者であることを発表しました。また、LGBTQ若者の自死を防ぐための団体トレバー・プロジェクトに10万ドルを寄付することも明らかにしています。NFLファミリーはあなたのことを誇りに思います

ラスベガス・レイダース:「カール、あなたを誇らしく思います」

また、NFLコミッショナーのロジャー・グッドウェル氏も「NFLファミリーは、勇気を持って真実をシェアしてくれたカールのことを誇りに思います」とコメントしている。

ナッシブ選手自身も投稿で、家族や友人、NFL、コーチ、仲間の選手たちのサポートがなければカミングアウトできなかったと明かし、「彼らは最初から、私に最高の尊敬を払い、温かく受け入れてくれた」とつづっている。

さらにサポートを得られたのは「これまでにカミングアウトしてきた人たち、そして今もカミングアウトしていないたくさんの人たちがいるからです」と、ここまでの道を作ってきたすべてのLGBTQ当事者への感謝も伝えた。

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