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2019年10月07日 12時02分 JST | 更新 2019年10月07日 13時47分 JST

渋谷区で、職員も同性パートナー対象の福利厚生が使えるように。「民間に求めるなら区もやらなければ」

職員の福利厚生は23区で初めてです。

住民だけでなく職員も。パートナーシップ制度導入第1号の渋谷区で、同性パートナーがいる職員もパートナーを対象にした福利厚生が使えるようになった。 

パートナーシップ制度とは、自治体が同性カップルに結婚に相当するパートナー関係を認める制度だ(利用者を同性カップルに限定しない自治体もある)。

渋谷区によると、同性パートナーを対象にした福利厚生を使えるようにした自治体は、東京23区では同区が初めて。   

2015年10月に、世田谷区とともに全国初のパートナーシップ制度を導入した同区が、職員への福利厚生でも大きなステップを踏み出したことになる

NurPhoto via Getty Images
渋谷区で毎年開かれている、東京レインボープライドのパレード

■どう変わるの?

今回の改定で利用できるようになるのは、慶弔休暇と介護休暇だ。

同性パートナーのいる職員は、パートナーシップ関係を結んだ時(法律婚では結婚に相当)、パートナーが死亡した時、さらにパートナーの介護が必要になった時に特別休暇が取得できるようになった。

パートナーシップ関係にある職員の特別休暇について説明した資料

これらの福利厚生はこれまで、法律婚だけでなく事実婚の職員も利用できたが、同性カップルは対象外だった。

同性パートナーの福利厚生を導入した理由について、同区の杉浦 小枝人事課長は次のように話す。

「同性カップルの方たちの人権に配慮するために、渋谷区では2015年3月に『男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例』を制定し、パートナーシップ証明をスタートしました」

「そういった流れの中で、『民間の企業に法律婚と同等の扱いを求めているのであれば、渋谷区自らもやらなければいけない』と考えました」

satoko yasuda / huffpost japan
杉浦 小枝 人事課長

■何を定義にパートナーと認めるかがポイントに

今回、同性パートナー関係にある職員の福利厚生取得にあたって、渋谷区と東京23区の人事制度を司る「特別区人事委員会」が重要視したポイントは「何を定義にパートナーであると認めるか」ということだったという。

決め手になったのは、渋谷区がパートナーシップ証明を発行する際に求めている「公正証書」だった。

公正証書は、発行に手間とお金がかかる。しかし、高い証明力を持ち信頼性の高い公正証書を制度に組み入れたことで、渋谷区法務担当からも特別区人事委員会からも理解を得やすかったと杉浦さんは説明する。

「区民と同等に、公正証書と戸籍謄本というきちんとした文書でパートナー関係を確認することで、渋谷区にも特別区人事委員会にも、同性パートナーへの福利厚生適用を納得してもらえました」

■パートナーシップ制度の社会的認知が広がった

また、パートナーシップ制度の社会的認知が広がったことも、今回の改正につながったと杉浦さんは話す。

2015年にはほとんど認知されていないパートナーシップ制度は、4年経って北海道から沖縄まで全国20を超える自治体に広がった。同性パートナーの福利厚生利用を認める企業も増えつつある。

特別区人事委員会も「世間の認識も上がってきたので、職員に適用するかどうか各区の判断で」と、渋谷区の申請を承認した。

Tomohiro Ohsumi via Getty Images
東京レインボープライドのパレードは、年々参加者が増えている

■今後の課題は?

慶弔休暇が使えるようになった一方で、パートナーシップ関係にある同性カップルが使えない福利厚生もある。

一つは、パートナーの子どもを対象とした育児関係の休暇だ。パートナーシップ制度はパートナーとの関係は証明できても、子どもとの法律的な関係が証明できない。そのため、パートナーの子どもにまで対象を広げるのは難しいという。

さらに、慶弔休暇や介護休暇も対象はパートナーのみで、相手の親や祖父母、きょうだいには適用されない。

こういった部分の改善が今後の課題だ、と杉浦さんは話す。

「福利厚生が使えなくて一番困る相手は、パートナーです。ですから、今回はまずパートナーを対象にした特別休暇に着手しました」

「それ以上の適用範囲を自治体の裁量で広げていくことには、慎重にやっていかなければいけないと考えており、今後の課題だと考えています。今回の改正は、最初の一歩です。社会の変化や認知度にあわせて、今後対応していくことになると思います」

残念ながら、学校の教員は今回の改定の対象にならない。教員は東京都の職員だからだ。教員など東京都の職員の福利厚生利用は都の判断による、と杉浦さんは話す。 

ただ、区立幼稚園の教員に関しては、区の職員と同等の規定を整備することができるので、渋谷区ではその準備を進めているという。