アップリンク代表のパワハラ訴訟で和解。元従業員の原告側「被害が消えることはない」

原告側は「被告らの行為を許したわけでもなければ、水に流したわけでもない」とのコメントを出している
アップリンク渋谷の外観(2020年7月、東京・渋谷区)
アップリンク渋谷の外観(2020年7月、東京・渋谷区)
撮影:生田綾

映画配給会社「アップリンク」(東京都)や関連会社に勤務していた元従業員が、浅井隆代表からパワハラを受けたとして、損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしていた問題で、同社は30日、双方で和解が成立したことを公式サイトで発表した

謝罪や第三者委の設置などで合意

原告側の代理人弁護士によると、被告側が原告に対し、ハラスメント行為によって精神的苦痛を与え、尊厳を傷つけたことへの謝罪▽賠償金の支払い▽コンプライアンスを調査する第三者委員会の設置ーーなどの内容で合意したという。

原告側の代理人弁護士は、合意が成立したことについて、「謝罪という言葉が記され、賠償が支払われたとしても、原告らの被った被害が消えることになるわけではない。また、和解といっても、被告らの行為を許したわけでもなければ、水に流したわけでもない。あくまでも一定の条件で合意が交わされたというものである」とコメントを出した。

一方で、第三者委員会の設置などが合意内容に含まれたことに触れ、「全体として相互抑制と均衡を図ることを目的として社内体制を改善させるもので、ハラスメントを契機とした社内体制の刷新という意味では、これほど多様な改善策の導入を約束させたのは前例がないと思われる」としている。

「決してアップリンクだけの問題ではない」として、「今回、原告らが勇気をもって声をあげたことが、被害を受けながら声をあげられない人々を勇気づけるものとなることを願っている」と結んだ。

浅井氏は公式サイトで和解を報告し、次のようにコメントを出している。

<今回の件で、アップリンクを応援してくださった皆様に残念な思いをさせてしまったこと、申し訳ありませんでした。
アップリンクは、自社の配給作品、また多様な作品を上映する映画館の運営に共感や、関心を寄せてくださったすべての方に育てていただきました。
そのご期待に反することがないよう、これからも応援していただける組織に変わります。
これからのアップリンクを、厳しい目で育て、見守っていただけるよう、お願いいたします。>

原告側の訴えは?

提訴した元従業員は約10カ月〜4年間勤務の男女5人。浅井氏からは、利用者や他社従業員の前で叱責されたり、怒鳴られたりといったことが日常的にあったという。

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