2021年の時刻は9時42分ーー。
地球環境の現状認識を世界の有識者に尋ねて時刻で表す「環境危機時計」が、最も深刻だった20年の9時47分から5分戻った。危機感が少し和らいだ形で、前年より時計の針が4分以上戻るのは8年ぶり。旭硝子財団(東京)が9月8日、発表した。
財団は、アメリカが地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰したことなどが影響した可能性があると分析している。財団が日本を含む210の国・地域の大学や研究機関などに調査票を送り、1893人から回答を得た。
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時計は12時間制で、人類存続に対する認識について、0時1分から3時が「ほとんど不安はない」、3時1分から6時が「少し不安」、6時1分から9時が「かなり不安」、9時1分から12時が「極めて不安」を示す。
地域別では、日本が20年から10分戻って9時36分。北米は、アメリカのパリ協定復帰が影響したとみられ、30分戻って10時3分。最も危機感が高かったのは西欧で、20年より8分進んで10時7分だった。
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環境危機時刻を選ぶ際に重視した項目は「気候変動」が31%と最多で、「生物多様性」「社会、経済と環境、政策、施策」が続いた。
また、SDGsに関してみると、世界で2030年に達成度が高いと思う目標は「産業と技術革新の基盤をつくろう」が最多だった。一方、達成度が低いと思う目標は「貧困をなくそう」が最多となった。
財団は「(5分戻ったことが)パリ協定の目標達成へ向けての第一歩を意味していると期待したい」としている。