「食べ物の範疇を越えてる」職人も思わず自嘲したトイプードルの和菓子。ふわふわな毛並みまでそっくり

「遊びで作ってみました」ってレベルじゃない🐶
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「遊びでビションフリーゼとトイプードルを作ってみました🐶」

そんな一言とともにTwitter上に投稿された写真が「クオリティ高い」「かわいすぎて無理」「愛犬家にはたまらない」と注目を集めている。

写真に収められたのは、2匹の小型犬。毛並みのふわふわ感まで表現され、つぶらな瞳がたまらないビションフリーゼとトイプードル……の和菓子だ。職人の三宅正晃さんが作ったという。

再現度の高い「2匹」を紹介した8月9日の投稿には約3000件のリツートと約1万9000件の「いいね」が寄せられ、「かわいすぎて食べられにゃい」「一瞬、本物に見えた」と絶賛する声も上がった。

ハフポスト日本版は、和菓子を作った「御菓子司 紅谷三宅」(栃木県真岡市)の店主、三宅正晃さん(@beniyamiyake)に詳しい話を聞いた。

「食べ物の範疇を超えてる」

三宅さんによると、ビションフリーゼとトイプードルの和菓子は「きんとん製」と呼ばれる上生菓子の一種。餡玉に、そぼろ状にした餡子を箸で少しずつ植え付けていくことで、ふわふわな毛並みを再現した。

つぶらな瞳は、丸く絞り出した羊羹。鼻は、竹炭で染めた練り切りでできているという。

1つ作るのに10分かかるといい、三宅さんは「食べ物の範疇を越えてる」と自嘲する。

「餡子は時間とともに乾燥してしまう『生きている』材料なので、本来は数秒で包み込むといった技術が求められます。なので、今回は和菓子としては時間がかかり過ぎてしまいました」

それぞれの犬の写真を見ながら、時間をかけて作った和菓子。店頭には並ばせず、直接見せたのは家族だけだという。

「妻が『かわいい』と言ってくれました。そして、『食べるのがかわいそう』と、なんと『2匹』は冷凍庫行きに。凍らせられちゃうのもかわいそうな気がしましたが…。いつか解凍して食べることになるでしょう」

ネコ好きで、ネコの和菓子を多く作ってきた。ただ、少し飽きもあり、犬にチャレンジした。今後はシュナイザーなどを和菓子で作ってみたいという。

「犬の和菓子は手間と時間がかかり、数をこなせません。ですが、販売してほしいというリクエストは多いので、数量限定で検討しようかと思っています」

和菓子職人歴13年の三宅さん。キャリアの前半は、和菓子をコンテストに出品することに熱中していたものの、あるとき、ふとモチベーションを失ってしまったという。

「どうしたら仕事が楽しくなるか」と模索していたところ、SNS上で和菓子の写真を投稿している職人のアカウントに出会った。たくさんの人の目に触れるSNSは「緊張感がある」と感じ、自らも和菓子を投稿するようになった。

「和菓子づくりのバリエーションが広がるきっかけになりました。今では季節ごとに、動物などをモチーフにした和菓子を考案して作っています。秋にはフクロウやカボチャ、オバケなどを店頭に並べる予定です」

三宅さんが大切にするのは季節感だ。

「いま31歳なので、現役で和菓子を作れるのは、あと30〜40年程度。同じ季節は30〜40回しか巡ってこないということ。それだけの回数、同じことを繰り返すのではなく、その季節に合った新しいものを次々に生み出していきたいと考えています」

〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉