女性が発言するのは「生意気」。職場のジェンダーギャップ、6割超が直近3年で実感【5000人調査結果】

Indeedが、男女5000人から得た調査結果を発表。職場でジェンダーギャップを感じた人のうち、3人に1人が「転職したいと感じた」と答えた。
東京都内の駅に掲示された、Indeedの「ハロー、ニュールール!」キャンペーン広告
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「女性が発言すると、生意気だと怒鳴られる」

「育休明けで第一線から外される」

「男性の場合、育休が取りにくい。取れても数日の短期間」

働く人の6割超が、職場でジェンダーギャップ(性別の違いによって生じる格差)を感じている━━。そんな調査結果を、求人検索サイト大手「Indeed」が10月末に発表した

調査では、ジェンダーギャップを感じる体験が社員のモチベーション低下や、会社の将来性への不安感につながる傾向があることも浮き彫りになった。

「結婚の予定聞かれた」20〜30代女性は4割以上

調査は2022年9月にインターネット上で実施し、15歳以上の働く男女5000人(男性2732人、女性2268人)から回答を得た。

就職面接で結婚の予定を聞かれたことがある人は、20〜30代の男性が18.6%だったのに対し、同年代の女性は43.5%に上った。

男女雇用機会均等法は、性別による差別の禁止を定めている。

同法に基づく指針では、面接で結婚の予定や子どもが生まれた場合に就労の継続を希望するかなどを女性に対してのみ質問することは差別に当たると示し違法事例の一つとされる。

格差感じた3人に1人「転職したいと感じた」

Indeedの調査では「直近3年以内に、職場でジェンダーギャップを感じたことがあるか」との質問に66.9%が「ある」と答えた。

このうち、約4割が「働く人の能力を十分に発揮できない職場だと感じた」「労働意欲が低下した」「会社に将来性がないと感じた」と答えた。3人に1人が「転職したいと感じた」と回答した(複数回答)。

性別による格差を感じる体験が、社員の働く意欲を削ぎ、会社に対する失望や不信感を募らせかねないとの傾向が浮かび上がる。

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多くの労働者が職場でジェンダーギャップを感じている一方で、性別による格差を感じる慣習や暗黙のルールについて「指摘や相談などの行動を起こさないことがよくある、またはたまにある」と答えたのは58.9%に上った。

理由別(複数回答可)では、「どうせ変えられないと思った」「波風を立てたくなかった」「自分の立場が弱い」などが多かった。

収入格差、管理職の男女差で低スコア

求人検索エンジンとして、なぜジェンダーギャップの調査に乗り出したのか?IndeedシニアPRマネージャーの吉村咲紀さんは、理由を次のように説明する。

「私たちは『We help people get jobs.』(人々が仕事を得るのを手助けする)をミッションに掲げており、このpeople はall people(全ての人)を指します。あらゆる人が仕事を得る機会に公正にアクセスできる社会を目指す一方で、実際にはその機会が平等になっていない現状がある。日本で特に大きな障壁があるのはジェンダー分野だ、との課題意識がずっとありました」

世界経済フォーラムが7月に発表した「ジェンダーギャップ指数2022」で、日本は146か国中116位となり、主要7か国(G7)のうち最下位だった。

特に経済分野(121位)と政治分野(139位)は順位が低く、経済分野では収入の男女格差や、管理職ポジションに就いている数の男女差などのスコアの低さが目立った。

独自調査の狙いについて、吉村さんは「世界的に見ても日本のジェンダーギャップは問題だと指摘され続けているものの、働く人たちはジェンダーギャップを実際にどう感じているのかを明らかにしたかった」と説明する。

「女性だからお茶くみ」「子どもの発熱も休みづらい」

Indeedの調査には、ジェンダーギャップを感じた具体的な体験も男女問わず寄せられた。

女性からは、

育休明けで第一線から外される」

「妊娠したため課を移された」

「女性が発言すると、生意気だと怒鳴られる」

「専門的な仕事をしているが、お茶くみなどもさせられている。女性だから」

といった声があった。男性の回答者からも、

「男性の場合、育休がとりにくい。取れても数日の短期間」

「残業や休日出勤を指示されるのは(それが直接的ではないにしろ)、男性が多いような気がする」

「子供が熱を出しても、男だから休みづらい」

といった訴えがあった。吉村さんは「男性の場合、育休取得の困難さや、育児と仕事の両立に励む人に対する上司の無理解などにジェンダーギャップを感じて苦しんでいるケースが目立ちました」と話す。

Indeedは調査結果を踏まえ、一人ひとりが力を発揮して働けるための新しいルールや考え方を見つけるキャンペーン「ハロー、ニュールール!」を開始。

第1弾として、職場でのジェンダーに関する違和感を募る「#これでいいのか大調査」を10月28日から実施している。「これでいいのだ」の口癖でお馴染みのバカボンのパパらが登場する漫画『天才バカボン』とのコラボレーション企画だ。

「仕事を実際に始めた後、その職場が全くその人に合っていなかったり、働きにくい会社だったりしたら、仕事探しをサポートしたことにはなりません。採用が決まったらそこで終わりではなくて、その先の労働環境をより良いものにしていきたいと考えて就職支援をしています。

まずはリアルな声を把握した上で、どこに焦点を当てるのかを絞り、仕事探しと職場環境におけるジェンダーギャップをなくすためのアクションを起こしていきたい」(吉村さん)

「#これでいいのか大調査」の回答はTwitterのほか、ネット上の専用応募フォーム、自動音声による無料電話(0120-538-197)で受け付ける。

<取材・執筆=國崎万智@machiruda0702/ハフポスト日本版>

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