パトカーにひかれて死んだ大学院生に「彼女に大した価値はなかった」。嘲笑うような米警官の音声に批判殺到

公開されたボディカメラの映像には、死亡事故について笑いながら話すオーデラー巡査の声が記録されていた。巡査は誤解だと主張している。
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Piccell via Getty Images

アメリカ・シアトル警察の警官が、パトカーにはねられ死亡した女性について冗談をまじえて笑っているように見える映像が公開され、調査が進められている。

BBCThe Seattle Timesによると、死亡事故があったのは1月23日。

被害者の大学院生ジャーナビ・カンドゥラさんが、時速74マイル(約119km)で走行中だったパトカーにはねられ、ダニエル・オーデラー巡査が現場に駆け付けた。その後、オーデラー巡査が同僚の警官に電話をかけた際の会話の内容が、ボディカメラの映像に残されていた。

9月12日にシアトル警察が公開した動画には、オーデラー巡査が「彼女は死んだんだ」と言った直後に笑い声をあげる様子が記録されている。電話相手のシアトル警察労組トップのマイク・ソラン氏の声は動画に入っておらず、どんなやり取りをしていたのかまでは確認できない。

「いや、一般人だ」と続けた巡査は、さらに笑いながら「そう、小切手を渡せばいい。1万1000ドル(約162万円)だ。どうせ26歳だったのだから。彼女に大した価値はなかった」と発言している。死亡したカンドゥラさんは実際には23歳だった。

KTTH-AMラジオが独自に入手したというオーデラー巡査の意見書によると、自身の発言の意図が誤解されていると巡査は訴えているという。巡査は、シアトル市の法務官がカンドゥラさんの死に対する責任を最小限におさえようとするかもしれないことに対して「嘲笑していた」に過ぎないと主張。「悪意があったわけでも、心が荒んでいたわけでもない。むしろ真逆だ」と述べている

CBSによると、インド系のカンドゥラさんはノースイースタン大学のシアトル校で情報システムの修士号を取得し、12月の卒業を目指していた。叔父のアショク・マンデュラさんは「家族は何も言うことはありません。この男たちの娘や孫娘に価値があるのだろうかと思う以外にはね。命は命です」と怒りをあらわにしている。

シアトル地域警察委員会は、ボディカメラの映像を「胸が張り裂けるような、衝撃的なほど無神経だ」と非難している。また、アフリカ系アメリカ人コミュニティ諮問委員会のビクトリア・ビーチ委員長は、地元メディアに対し「ショックを受け、多くの感情を抱いた」とし、「気分が悪くなった」と語った

「亡くなった人のことを笑うことができるなんて、本当に不愉快です」

事故を所管するキング郡検察局は、カンドゥラさんの事故の捜査の見直しをしているという。

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