NHKは11月13日、大晦日恒例の「第74回紅白歌合戦」で出演者の人権を尊重するためのガイドラインを発表し、「出演者に対する性的搾取、性的虐待を排除」し、「児童労働や児童虐待を認めない」とする方針を示した。
NHKは2023年12月31日夜に放送される同番組の出演者の発表にあわせてガイドラインを公表。「人権、人格を尊重し、コンテンツ制作のあらゆる段階で、誰もが十分に能力を発揮できる規律ある制作現場を目指す」と強調し、差別の禁止や出演者の安全確保などを徹底する姿勢を示した。
その上で、「芸能事務所など出演者に関係するすべての取引先に対しても、本ガイドラインへの賛同を求める」と念押しした。
同番組には例年、旧ジャニーズ事務所の所属タレントが数多く出場していたが、2023年の出演者リストに名前はなかった。スポーツ報知によると、旧ジャニーズのタレントが紅白に出場しないのは1979年以来、44年ぶり。故ジャニー喜多川氏による性加害問題を受けた対応とみられる。
第74回となる今回は、司会を有吉弘行さん、橋本環奈さん、浜辺美波さん、NHKの高瀬耕造アナウンサーが務める。
過去には14年連続で旧ジャニーズタレントが紅白の司会を務めたこともあったが、発表された2023年の司会者の中に名前はなかった。
NHKが発表した「第74回NHK紅白歌合戦の出演者に対する人権尊重のガイドライン」に挙げられた項目は以下の通り（全文）。
人権、人格を尊重し、コンテンツ制作のあらゆる段階で、誰もが十分に能力を発揮できる規律ある制作現場を目指します。出演者に対する性的搾取、性的虐待を排除し、悪質な嫌がらせや差別的または攻撃的な行動を認めません。
制作現場において、人種、民族、国籍、宗教、障害、政治的思想、性別、年齢、ジェンダーなどいかなる理由による差別も認めません。
強制労働など人権を侵害する労働慣行は認めません。
子どもの人権を尊重し、児童労働や児童虐待を認めません。未成年の出演者については、労働基準法など関係法令・法規を順守します。
出演者１人ひとりの心身の健康に配慮し、安心・安全な環境の確保に努めます。
NHKのすべての役職員は、出演者の人権を尊重します。芸能事務所など出演者に関係するすべての取引先に対しても、本ガイドラインへの賛同を求めます。
〈取材・文＝金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉