
毎年恒例となっている日本最大級のLGBTQ+の関連イベント「Tokyo Pride(東京プライド)」がスタートした。
今年からは、「東京レインボープライド」から「Tokyo Pride」に名称を改め、世界的にLGBTQ+の権利を啓発する「プライド月間」に合わせて、6月の1カ月間を通してイベントを開催する。
6月7、8日には東京・代々木公園でフェスティバルを開催し、8日には渋谷や原宿の街を行進するプライドパレードが行われる。当事者やその家族、アライが1年に1度、集う場所となっている。
参加者はどのような思いを持ち東京プライドに足を運んでいるのか。フェスティバル初日の7日、会場を訪れた人たちに話を聞いた。

プライドフェスティバルは「自分でいていいと感じる場所」「サポートの思いを感じる場所」
代々木公園を中心にしたプライドフェスティバルやパレートは、2012年から開催されてきた。
2012年に4500人だった参加者は、年々増加し、2024年4月には過去最多の27万人が参加した。
兵庫県から参加したトランスジェンダー男性(35)は、東京プライドは「自分らしくいていいと感じられる場所」だと話す。
昨年に引き続き、東京在住の友人と来場。1年ぶりにクィアコミュニティやアライの友人らとも再会できた。
関西のプライドパレードなどには学生の頃から参加してきたが、東京プライドは昨年初めて参加。その規模感に驚いたという。
クィアの友人の中には、「会場での視線などが怖く、プライドに行くことを躊躇する人もまだまだいる」というが、東京プライドの会場内はありのままでいられる“セーフスペース”のようで「心地がいい場所」だと話した。

インドネシア出身で現在は仕事のために東京に住むレズビアンの女性(34)は、人生で初めてプライドフェスティバルを訪れた。
国民の87%がイスラム教徒である出身国のインドネシアでは、プライドフェスティバルは開催されない。
女性は「これだけ多くの人が集まる様子に感動していますし、当事者へのサポートの思いを感じます。インドネシアではプライドを開催できないので今回参加できて嬉しい」と語った。
今年のテーマは「Same Life, Same Rights」。同性婚やトランスジェンダーの権利などを発信
今年の東京プライドでは、「Same Life, Same Rights」のテーマを掲げ、同性婚やトランスジェンダーの権利、若者の権利、職場環境などの社会課題に焦点を当て、社会へ向けて発信していく。
今年は、「結婚の平等」(同性婚の法制化)の実現に向けて、公益社団法人「Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」と連携し、プライド月間を通して様々な取り組みを展開。
8日のパレードでは、コラボフロートを出し、50組100人の法律上同性同士のカップル、150人の同性婚の法制化を応援する当事者や支援者が参加し、結婚の平等の実現を訴える。
クィアの同僚と会場を訪れたというアライの女性(33)は「同性婚は全面的に賛成。一人の声は小さいかもしれないけど声をあげたいし、自分に応援できる形で応援したい」と話した。

フェスティバルの会場には年々、家族で訪れる人たちも増えている。
小さな子どもと共に来場する人たちに向け、会場内にはおむつ替えや授乳に対応でき、子どもが遊べるキッズスペースも設置している。
8日のプライドパレードは正午に代々木公園を出発する予定で、60のグループが渋谷と原宿の街を練り歩く。
「Same Life, Same Rights」のテーマのもと、トランスジェンダーの権利を可視化するフロートや、Youth Prideチームによるフロートも出展する。
プライドパレードは日本では1994年に初開催され、年々規模が拡大し、2024年には約1万5000人が参加した。

プライド月間を通し、多様なイベントの開催も
6月14、15日にはWITH HARAJUKU HALL(東京都渋谷区)で、ユース向けのイベント「Youth Pride」が開催される。
子育てをするレズビアンカップル、ゲイカップルが登壇し「LGBTQ+の人生設計ー暮らし・家庭・子育て」について話すトークイベントなどが実施される。
東急プラザ原宿「ハラカド」では6月18日まで、「Queer Art Exhibition(クィアアートエキシビジョン)」を開催中。LGBTQ+アーティストによる作品の展示や原画販売などが行われる。
6月22日には資生堂花椿ホールにて「Human Rights Conference(ヒューマンライツカンファレンス)」を開催。LGBTQ+コミュニティの人権課題について、当事者・専門家・活動家と共に考える。
