乳がん啓発イベントのはずが「芸能人が酒を楽しむパーティー」に。批判殺到で韓国ファッション誌「W Korea」謝罪

早期検診の重要性を知らせることなどを目的にした乳がん啓発イベント。しかしその内容に「セレブが酒を飲んで社交するイベントが啓発と言える?」などの批判が相次いだ。

韓国の有名ファッション雑誌「W Korea」が10月15日に開催した、乳がん啓発のためのチャリティーイベント「LOVE YOUR W」が物議を醸している。

公式SNSには韓国の芸能人が酒を飲んでショーを楽しむ動画が多数投稿され、「乳がん啓発」という本来のイベントの趣旨に不適切だとして批判が相次いだ。

開催から4日後の19日にW Koreaは謝罪文を発表。公式SNSからも動画は削除されている。

「セレブが酒を飲んで社交するイベントが啓発と言える?」

同雑誌は20年ほどにわたり早期検診の重要性を知らせるなど乳がん啓発のためのイベント「乳がん認識向上キャンペーン LOVE YOUR W」を開催してきた。

今年も韓国の人気アイドルや俳優らが多数出席。公式SNSには、派手な音楽や演出のもと、着飾った芸能人らがシャンパンで乾杯し、談笑したり踊ったりする動画が数多く投稿された。

これに対しネット上では「誰のための乳がんキャンペーン?」「セレブが酒を飲んで社交するイベントが啓発活動と言えるのか」といった批判が相次いだ。乳がんで亡くなった家族を名乗る人物は「憤りを禁じ得ない」とコメント。イベント参加者が乳がん啓発を象徴する「ピンクリボン」を付けていないとの指摘もあった。

また、イベントでは歌手のパク・ジェボムさんが自身の曲「MOMMAE」を歌唱したが、胸などの女性の身体を性的に表現する歌詞が含まれており、その後パクさんは謝罪した

乳がん啓発の商業化「ピンクウォッシング」

現地日刊全国紙の京郷新聞は、イベントへの批判を報じる際に、企業による乳がん啓発活動の過剰な商業化や、マーケティング手段としてのみ活用する「ピンクウォッシング」の事例をあげ、「患者ら当事者が疎外されてきた」問題を指摘している。

乳がん患者のコミュニティからも「お金稼ぎに利用されたと感じた」という反応があったといい、同紙の取材にある患者は「企業のイメージ改善マーケティングに過ぎず、乳がんに対する認識が何が変わったのかわからない。患者の立場では、治療のための休暇と、薬の支給などがより緊急だ」と話している。

こうした事態を受け、W Koreaは19日になって謝罪文を発表。「構成と進行が適切でなかったという指摘があり、私たちはこれを重く受け止めています。何より、乳がん患者およびご家族の方々の立場を慎重に考慮できておらず、不快感や傷を負うことになった点について、深くお詫び申し上げます」と述べた。

「イベントの企画と実行の全過程を慎重に見直していきます」ともコメントしているが、その具体的な内容は言及されていない。

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