
米連邦判事は11月12日、イリノイ州シカゴで移民当局に逮捕された数百人を釈放するよう命じた。判事は、連邦当局が令状なしの移民の逮捕を禁じる和解合意に違反したと述べた。
一連の逮捕は、トランプ政権による「ミッドウェー・ブリッツ作戦」の一環として全米で報じられた。この作戦では、移民当局の職員が大量にシカゴに投入され、市内各地で数百人を逮捕している。
「法を破ったことの責任を負わせている」
米連邦地裁のジェフリー・カミングス判事は、連邦当局が2022年の和解合意に違反したと述べた。この和解合意では、米国内に不法に滞在し、かつ逃亡の恐れがあるとする「相当な理由」なしに逮捕することを禁止している。
今回の命令は、同作戦で移民当局に逮捕された600人以上に適用される可能性がある。逮捕をめぐっては、全米移民正義センターと米国自由人権協会(ACLU)イリノイ支部が提訴しており、訴訟は現在も続いている。
原告側によると、逮捕された人のうち大多数は犯罪歴がない。これまでに逮捕された人は数千人規模に上る可能性があり、判事の命令の影響を受ける人はさらに多くなるとみられる。
カミングス判事は政府に対し、シカゴで6月11日以降に移民関税執行局(ICE)と税関・国境警備局(CBP)によって逮捕された人のリストを原告側に提出するよう命じた。
ACLUイリノイ支部の副法務ディレクター、ミシェル・ガルシア氏は、「最も重要なのは、裁判所が私たちと連邦政府の合意の履行を約束したことです。裁判所は、ICEとCBPが法を破ったことに対して責任を負わせているのです」と、司法の判断を歓迎した。
一方で、国土安全保障省(DHS)の報道官トリシア・マクラフリン氏は声明で「“活動家判事”は、615人の不法滞在者を地域社会へ釈放するよう命じることで、アメリカ国民の命を危険にさらしている」と批判した。
現地メディアのChicago Tribuneによると、司法省の代理人ウィリアム・ワイラント氏は、判事が審査した人々のうち少なくとも12人が「重大な治安上の脅威」とみなされていると述べた。カミングス判事は、公共の安全に対する脅威と判断された者は釈放されないと説明している。
全米移民正義センターのマーク・フレミング弁護士は、12日の記者会見で、釈放の対象となる人々は全米各地にいるとみられ、所在を特定する必要があると指摘している。
和解合意は5月に失効する予定だったが、全米移民正義センターとACLUイリノイ支部が2025年初めに延長を求める申立てを行っており、カミングス判事は6月の公聴会でも合意が依然として有効だと述べていた。
それにもかかわらず、ICE当局は6月、現地オフィスに対して「和解合意はすでに無効」と通達していた。カミングス判事はICEに対し、全国のすべてのICE職員に和解合意が今なお有効であることを周知するよう命じている。
(この記事は、ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しています)
