政治
2020年10月13日 19時28分 JST

杉田和博・官房副長官はどんな人?日本学術会議の「6人排除」に関与と報道

警察庁出身で危機管理のプロ。副長官としての在職日数は歴代2位

時事通信社
杉田和博官房副長官(2017年撮影)

科学者の代表機関「日本学術会議」が推薦した会員候補105人のうち6人を菅義偉首相が任命しなかった問題に、杉田和博官房副長官が関与したという報道が相次いでいる。杉田氏はどんな人物なのか調べてみた。

 

■「6人を選別」「首相に報告」と報道される

菅首相は10月9日の報道各社インタビューで、会議側が提出した105人の推薦リストを「見ていない」と発言。6人を除外した99人のリストを見ただけだと説明した。6人の排除に関与しなかったかのような言い回しだった。

しかし、時事通信社は12日、関係者からの情報として「政府の事務方トップである杉田副長官が首相の決裁前に推薦リストから外す6人を選別。報告を受けた首相も名前を確認した」と報じた。

続けて共同通信社も同日、政府関係者からの情報として「杉田和博官房副長官が内閣府の提案に基づき、任命できない人が複数いると、菅義偉首相に口頭で報告していた」と報じた。

これを受けて13日、立憲民主党の枝野幸男代表は「誰が6人を推薦リストから外したのか。報道では、官房副長官の名前が出てきている。周囲がサポートするところまではわかるが、菅総理大臣が判断しないで、ほかの人が判断したということであれば、そのこと自体の適法性が疑われる」と述べた。野党ヒアリングなどの場で、政府に説明を求める構えだ。

 

■杉田和博氏とは?警察庁出身で危機管理のプロ。副長官としての在職日数は歴代2位

官邸公式サイトによると、杉田氏は1941年4月生まれの79歳。埼玉県出身で、1966年に東京大学法学部を卒業後、警察庁に入庁した。1982年の中曽根内閣では、同じく警察庁出身の後藤田正晴官房長官を「秘書官事務取扱」として出向して支えた。

その後は警察庁で出世し、鳥取県警察本部長、神奈川県警察本部長、警察庁警備局長を歴任。1997年の橋本内閣で、情報機関「内閣情報調査室」の室長に就任。2001年に小泉内閣では「内閣危機管理監」となり、2004年に退官するまで内閣の危機管理を担っていた。

退官後は、シンクタンク「世界政経調査会」の会長を務めていたが、2012年12月の第2次安倍内閣発足に伴い内閣官房副長官に就任。菅内閣でも続投したことで、約8年間にわたって務めている。副長官としての在職日数は歴代2位。2017年からは中央省庁の幹部人事を一元管理する内閣人事局長も兼ねている

安倍内閣時の2017年7月13日、朝日新聞デジタルは杉田氏について次のように報じていた。

<杉田氏の執務室は官邸内で首相と同じフロアにあり、各省庁幹部が政策の説明や人事案の相談で頻繁に出入りする。歴代の事務副長官は旧自治省、旧厚生省の出身者が少なくないが、杉田氏は警察庁出身。情報収集を得意とする「警備畑」を長年歩んできた。その経験を生かして霞が関ににらみを利かせ、首相や菅氏の意向を踏まえて差配する。>

 杉田氏はこれまでも、学術界の人事に介入しようとしてきたという報道もある。AERA dot. が10月4日に掲載したインタビュー記事で、元文部科学省事務次官の前川喜平氏は、学術会議の問題について「菅政権で起こるべくして起こった」と指摘。次のように語っていた。

<私が事務次官だったとき、文化審議会の文化功労者選考分科会の委員の候補者リストを官邸の杉田和博官房副長官のところにもっていきました。候補者は文化人や芸術家、学者などで、政治的な意見は関係なしに彼らの実績や専門性に着目して選びます。それにもかかわらず杉田さんは「安倍政権を批判したから」として、二人の候補者を変えろと言ってきました。これは異例の事態でした。>