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2020年04月13日 10時15分 JST | 更新 2020年04月17日 13時08分 JST

外出禁止令の発表直後、人々が街に殺到。新型コロナ感染が急増、イスタンブールの今

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、トルコの31都市では週末の外出禁止令が出された。最大都市イスタンブールの様子を取材した。

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普段は人で賑わう世界遺産のアヤ・ソフィア周辺も、外出禁止令により人の姿が見られない

新型コロナウイルスが世界中で感染拡大するなか、トルコでは13日、感染者数が5万6000人を超えた。感染者数は世界で9番目に多い。中東地域では最も多いイランに次いで2番目だ。

政府は感染拡大を食い止めるため、11日・12日の先週末、国内の31都市に外出禁止令を出した。

感染者の約60パーセントが確認されている最大都市イスタンブールの様子を12日、現地の女性に取材した。

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外出禁止令が出された11日のイスタンブール市内

週末の外出禁止令が出された直後、人々が街に殺到

トルコでは3月11日に国内で初の感染者が確認された。その後、海外からの帰国者を通じたとみられる感染が急増した。感染者は4月13日時点で5万6956人、死者も1198人に達している

感染者の増加に歯止めがかからない事態を受け、政府は4月10日、首都アンカラや最大都市イスタンブールなど31都市の市民に対し、11日午前0時から48時間の外出禁止令を出した。

しかし、外出禁止令が開始のわずか2時間前に発表されたため、食料を買い求める人々が食料品店に殺到。Twitter上には、通りや店先に人々があふれる様子が次々に投稿された。

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外出禁止令が発表された直後、食料品を求める市民たち

イスタンブールの日本企業で働くハジェル・セズギンさんはこの様子を見て、「この混乱でさらに感染者が増えたのではないかと心配です。これまで1カ月間、政府も力を尽くし、国民も頑張って外出自粛をしてきたのに、全て台無しという感じです」と嘆く。

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外出禁止令が発表された直後、食料品を求める市民たち

政府はこれまで、65歳以上と20歳以下には外出禁止令を出していたが、全市民を対象に外出を禁止したのは今回が初めてだった。

11日・12日の両日は、薬局やパン屋など一部の食料品店のみが営業し、地下鉄やバスなど市内の全ての公共交通機関が止まった。

イスタンブール市長であるエクレム・イマモール氏はTwitterで12日、静けさに包まれたイスタンブールの動画をシェアし、「あなた方がイスタンブールを恋しいと思うように、イスタンブールもあなた方を恋しく思っています。皆さんの家に“イスタンブール”を届けます」と市民にメッセージを送った。

休校中の子どもにはテレビで授業。信仰への影響も

新型コロナの感染が拡大したこの1ヶ月、イスタンブールの街や人々の生活にはどのような変化があったのだろうか。

ハジェルさんによると、外出禁止令が発令される11日以前から、街は閑散とし、ほとんどの飲食店や商業施設が閉まっていたという。レストランは原則デリバリーのみ、ショッピングセンターなども食料品を販売する店のみ営業している。

市内の地下鉄やバスなど公共交通機関は、一車両ごとに乗客の人数を制限している。また、「ソーシャルディスタンス(他者との一定の距離)」を守るため、座席は隣の人と一席分空けなければならない。車内では、「手の洗い方」や「くしゃみや咳の仕方」などを説明する動画が流されている。イスタンブールにはシリア難民が約55万人暮らすなど外国人も多いため、動画はアラビア語・英語など多言語に対応しているという。 

仕事や教育のオンライン化も浸透した。

ハジェルさんは「感覚的には(オフィスワーカーの)70%以上の人が在宅勤務をしていると思います」と話す。

休校措置のため自宅学習をする小学生から高校生に向けては、テレビ番組で授業が提供されている。「地方ではパソコンの普及率が低い場所もあるため、テレビで授業が受けられるようになっています」とハジェルさんは言う。

新型コロナは、市民の信仰や慣習にも大きな影響を及ぼしている。トルコ国民は90%以上がイスラム教徒だが、現在モスクで集団礼拝をすることは禁じられている。また、4月23日からはイスラム教徒が日が出ている時間の飲食を断つ断食月(ラマダン)が始まるものの、ハジェルさんは「今年は、普段のラマダンとは全く違う様子になりそう」と残念がる。

「トルコではラマダン期間中、家族や友人が互いに訪問し合い、一緒に過ごします。1年で最も賑やかな時期ですが、今年はそういったことも難しいでしょう」 

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外出禁止令が出ていた11日、パン屋がバルコニーの親子にパンを届ける様子

医療従事者に感謝を伝えるムーブメントも

暗いニュースが日々報道される一方で、3月末には、医療従事者に感謝の気持ちを届けようと、午後9時に合わせて、拍手や口笛を送ったり、部屋の照明を点滅させたりするムーブメントが広がった。

アナドル通信によると、この動きは、コジャ保健大臣が議会で医療従事者を賞賛するよう求めたスピーチをきっかけに始まったものだという。

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3月19日の夜9時、夜医療従事者に感謝を伝えるため、人々がバルコニーや窓際に集まり、拍手をしたり、ライトを点滅させた。

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