車椅子利用者が使える飛行機トイレ、米で義務付けが拡大「同じアクセスと尊厳を」

障害を持つ人たちの多くが、トイレを理由に飛行機での移動を諦めた経験があることがわかっています。

アメリカで施行される新たな法律が、車椅子ユーザーを長年悩ませてきた飛行機のトイレ問題を解消するための大きな前進となりそうだ。

米運輸省は7月26日、障害を持つ人が飛行機のトイレを安全に利用できるようにするための、航空会社アクセス法(ACAA)の改正に関する最終規則を発表した。

新しい規制では、最低125席の単通路機(通路1本の旅客機)に対して、手すりや利用しやすい蛇口、コントロールパネル、呼び出しボタン、ドアロックなどが備わった車椅子対応の広いトイレの設置が義務付けられる。

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ピート・ブティジェッジ運輸長官は、「飛行機のトイレをより広く、利用しやすくすることで、車椅子の旅行者が他の人たちと同じアクセスと尊厳を得られるようになる」と声明で述べている。

これまで、国際線などで使われる通路2本の航空機では、車いす利用者がアクセスできるトイレの設置が義務付けられていた。しかし、ナローボディー機とも呼ばれる単通路機には義務付けられていなかった。

運輸省は、ほとんどの単通路機のトイレが、車椅子利用者や介助者が利用するには狭すぎ、サポートのための機能が不足していると指摘。

航空会社は、障害を持つ人が利用しやすい広いトイレの設置よりも、多くの座席の設置を優先する傾向があるとしている。

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大きな進展

支援団体による調査から、障害を持つ人たちの多くが、トイレを理由に飛行機での移動を諦めた経験があることがわかっている。

運輸省は「現在、障害を持つ旅行者の多くが飛行中にトイレを使用できないために、水分を取らないようにしたりトイレの使用を我慢したりしています。こういった行動は、尿路感染症を含む健康への悪影響を及ぼす可能性があります」と述べている。

運輸省はオバマ政権下の2016年から、障害のある人たちの飛行機や空港のアクセシビリティの問題に取り組んできた。今回の法改正は改善のための大きな一歩となると見られている。

新ルールはすでに使用されている飛行機には適用されないものの、施行から10年以降に発注または12年以降に納入される航空機から義務付けられる。

そのため、広いトイレが設置された単通路機の普及には時間がかかると見られているものの、これは2016年の計画よりも早いスケジュールだ。

脊髄連合協会のヴィンチェンツォ・ピスコポ会長は「ピート・ブティジェッジ運輸長官は言葉を実行に移し、航空業界のアクセシビリティを数年早く進めました。まだやるべきことはありますが、これは素晴らしい進歩です」と、声明で述べている。

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。

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