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2015年10月03日 01時25分 JST | 更新 2016年09月30日 18時12分 JST

携帯料金の引き下げを小手先の検討で終わらせてはならない

料金プランの多様化」や「端末代の透明化」など、行政指導を議論するとはどういうわけだろう。

朝日新聞の9月30日一面に「携帯料金引き下げへ3テーマ 来月から有識者会議」という記事が出ていた。「料金プランの多様化」「端末代の透明化」「格安スマホの普及」を軸に検討するそうだ。MVNOのいっそうの促進に関わる「格安スマホの普及」もテーマにはなっているが、「料金プランの多様化」や「端末代の透明化」など、行政指導を議論するとはどういうわけだろう。

すでに書いたように、携帯料金引き下げの王道は市場競争の促進であって、MVNOは次善の、設備を持つ移動通信事業者を新たに育てるのが最善の手である。前回の記事では、ホワイトスペースの活用について説明したが、地上波テレビ帯域を移動通信事業で利用するには、全部で五つの方法がある。

第一は、地上波をすべてBS(衛星放送)に移行して、地上波テレビ帯域を空にする方法。地上波では電波が届きにくい地域に対して、BS経由の放送を提供していた時期があり、技術的には容易である。各世帯がBS受信設備を備えるのに費用がかかる点と、地方ローカル局が存立できなくなるのが課題で、政治的な抵抗は強いだろう。

第二は、全国ネットの単位でチャンネルを与える、要するに地上波テレビは7チャンネル分だけにするという方法。技術的にはSFN(単一周波数ネットワーク)形式を採用する。こうすれば、今、地上波が占拠している40チャンネル分のうち、33チャンネル分が空く。しかし、地方ローカル局の県域免許を奪うことになるので、第一の方法と同様に政治的には大反発されるだろう。

第三は、SFNにすることは同様だが、各全国ネットに4チャンネルずつ与え、数学の四色問題のようにチャンネルを配置する方法。テレビにより多くの28チャンネル分を与え、それだけ、移動通信向けが減るのが問題であるが、県域免許は維持されるので地方ローカル局は反発できない。家庭のテレビは電波を用いてチャンネル変更に自動的に対応できるので、テレビ局の設備だけを変更すれば完了する。

第四が、前の記事に書いた、ホワイトスペースで移動通信事業を営む方法。この場合、地域ごとにホワイトスペースが異なるので、自分がどこにいるかを検出して使用するチャンネルを調整する仕組みを移動端末に入れておく必要があり、これが技術的にむずかしいという見方もある。テレビに影響を与えないことを免許条件にするので、テレビは政治的に反対することはできない。

第五が、首都圏・関西圏というように地域限定で、ホワイトスペースを活用して移動通信事業を営む方法。地上波テレビが利用しているチャンネルはあらかじめわかっているので、空きチャンネルを検出する仕組みは不要になる。移動端末がサービス地域を超えたら通信できなくなるという問題はあるが、IoT(モノのインターネット)用などを対象に、あまり移動しない、あるいは移動せず固定された、端末用の通信サービスを主とすれば、事業化の可能がある。ただし、既存の移動通信事業者と全面的に競争するということにはならない。

技術的に困難か容易か、政治的に困難か容易か、などはまちまちだが、いずれの方法でも市場競争は促進され、携帯料金が下がる可能性が高い。総務省には、小手先ではなく、こんな本格的な検討をして欲しいものだ。