「UNICORN(ユニコーン)」と呼ばれる企業 

以下は、米国の「Unicorn(ユニコーン)」と呼ばれる、企業価値が$1 billion(10億ドル以上)以上の未上場のプライベート企業のトップ10リストである。

以下は、米国の「Unicorn(ユニコーン)」と呼ばれる、企業価値が$1 billion(10億ドル以上)以上の未上場のプライベート企業のトップ10リストである(出典: CB Insights)。

私が驚いたのは、このユニコーントップ10社のうち6社の製品やサービスを、私たちがすでに日常生活で当たり前のように頻繁に利用しているという事実である。かつては、その名が示すとおり「伝説のユニコーン(一角獣)」として、非常に稀な存在であった「ユニコーン」企業が、最近はどんどん増えて「群れ」がつくれるぐらいの状態となっているという。CB Insightsのリアルタイムのトラッキングデータによれば、「ユニコーン」企業は、2015年7月現在、全世界に116社あり、その Cumulative Valuation(累積の企業価値)は、合計4410億ドルにも上るという。2014年には38社がユニコーン化したが、2015年は76社が新たにユニコーン企業になるとCB Insights は予測しており、かつての「珍獣」は、動物園で見かける、身近な動物となりつつある。

企業名 価値 ユニコーンになった日時国業界

Xiaomi 460億ドル2011/12/21 中国 ハードウエア

Uber 410億ドル 2013/8/23 米国 オンデマンド

Airbnb 255億ドル 2011/7/26米国Eコマース/マーケットプレース

Snapchat 160億ドル 2013/12/11米国ソーシャル

Palantir Technologies 150億ドル2011/5/5米国ビッグデータ

Flipkart 150億ドル2012/8/6インドEコマース/マーケットプレース

Didi Kuaidi 150億ドル2014/12/31中国オンデマンド

SpaceX 120億ドル2012/12/1米国その他のトランスポーテーション

Pinterest 110億ドル2012/5/19米国ソーシャル

Dropbox 100億ドル2011/10/5米国インターネットソフトウエア&サービス

SF Chronicleがこのユニコーンという未上場の私企業の価値評価基準について説明しているけど、「伝説の一角獣であるユニコーン企業」には、上場企業と異なり、この企業の成長を信じたいという投資家の「Fantasy」に近い欲求もかなり含まれており、これらの価値金額を鵜呑みにできないのは、誰でも理解できると思う。

ユーザーレベルで話すと、上述のユニコーン企業のうち、Uber、Dropboxの2社のサービスは公私ともども必要不可欠なサービスなので、このまま成長を続けて安定した企業となって欲しいと切に願う。以前は自分で車を運転してミーティングや会食に出かけたけど、年々悪化するベイエリアのトラフィックを考えると、Uberに乗って車の中で仕事をするというのが習慣化してきている。またファイルの容量の増大や共同作業の多さを考えるとDropboxなしでは、もう仕事ができない。またソーシャルネットワーキングのツールとして、SnapchatやPinterestは一般の人たちの生活でごく日常的に使われており、さらにこれらをマーケティングのツールやプラットフォームとして利用する企業も非常に多く、突然こうしたサービスが停止された場合、ユーザーだけでなく、多くの企業に与える影響は大きい。

私はマーケターとしての興味から、Uberに乗ると必ず「Uberのビジネス状況、ドライバーの家族、Uberingするメリット&デメリット、Uber利用の客の質etc.」を質問するが、ドライバーが口をそろえていうのは「自分で時間管理ができる自由さ」という点である。おととい乗ったUberドライバーは著名人のボディガードをやっていて、彼らから仕事のアポが入るのは稀なので、普段はUberでお金を稼ぎ、3人の子供たちの面倒を見る時間もつくっているという。ユーザーサイドでは支払いのトランザクションもなく、アプリで呼び出せば大体5分以内でくるし、タクシーよりは格安な料金というメリットは非常に大きい。こうやって考えていくと、ユニコーン企業の1つの特徴は、「Game Changer」としての役割で、ユーザレベルにくすぶっていた既存企業や業界・市場への不満を見つけ出し、それを解決するサービスをもたらした企業が「ユニコーン化」しているように思う。

既存の市場のしがらみを壊すことによって、自社のユニークなビジネスモデルを市場に浸透させていく、「ユニコーン企業」たちが増加するのは悪いことではないと思う。むしろ、市場性を確定しない前に、投資家の思惑によって、無理やり上場して、ビジネスモデルごとつぶれていった企業は多々あり、上場の意味は十分かみ締めるべきだとだと思う。ただ巨大化し続ける私企業に対する、ユーザーとしての不安は、ビジネスでもプライベートでも生活の必須要件となった製品やサービスが、突然消失してしまう、あるいはセキュリティ問題が発生するといった点にある。また、新たなビジネスやサービスは、従来の法的規制外のエクササイズになる場合が多いので、企業とユーザーは、お互いのPro & Conを考えて、その折り合いをつけていく必要がある。

個人的にはすべて「利用者の自己責任」という立場で、しっかり企業や業界をWatchし続けて、後で自分が泣きべそをかかないように、事前の策を考えつつ、Proactiveに新しい製品やサービスを利用するしかないと思っている。

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