東武鉄道(以下、東武)では、100系スペーシアの特別塗装列車「日光詣スペーシア」の報道公開が、南栗橋車両管区春日部支所で行なわれた。2015年4月18日、"5色目のスペーシア"がデビューした。
■四半世紀を迎えた100系スペーシア
100系スペーシアは、日光・鬼怒川方面特急の次世代車両として、1990年6月1日にデビュー。客室のカラーコーディネートを、ロバート・マーチャン氏(インテリアコーディネイター)が手がけ、「豪華絢爛」という言葉が当てはまるほど、完成度の高い特急形電車に仕上げた。"ずっと乗っていたい"と思うほど居心地がいい。
高級感あふれるデザインなどが高い評価を受け、同年10月1日にグッドデザイン賞、1991年6月に鉄道友の会ブルーリボン賞をそれぞれ受賞した。
その後、関東の私鉄では初の最高速度120km/h運転、春日部停車による利便性の向上、JR東日本との相互直通運転がそれぞれ実施され、2011年秋から1年間、車両のリニューアルが行なわれた。
リニューアル車、粋基調。
リニューアル車、サニーコーラルオレンジ基調。
エクステリアは、東京スカイツリーのライティングに合わせ、粋基調と雅基調、日光・鬼怒川方面観光列車の象徴色とされる、サニーコーラルオレンジ基調の3種類に塗装変更。ロゴマークも一新した。インテリアは座席の表皮、カーペットを更新。デッキ、ビュッフェ、コンパートメントも壁紙を張り替えた。トイレ、洗面所などは従来のままで、特に手を加えていない。
2014年に入ると、車体側面の行先表示器を幕式から、フルカラーLED式に更新された。
■「日光詣」とは
東武では、2015年5月17日から19日まで行なわれる「日光東照宮四百年式年大祭」、2016年の「日光山開山1250年」を記念して、100系スペーシアのサニーコーラルオレンジ基調103編成を特別塗装列車「日光詣スペーシア」に塗り替えた。日光の社寺や地元と連携して、浅草、東京スカイツリータウンから日光へと誘客を図り、交流人口の増加、沿線活性化を目的としている。
「日光詣」は東武の造語で、「浅草、とうきょうスカイツリーから、スペーシアに乗って、日光の社寺を参拝していただく」という意味が込められている。「日光詣スペーシア」を登場させたのも、"日光詣を推奨する象徴的な政策"という位置づけなのだ。
この政策によって、浅草、とうきょうスカイツリー、日光といった観光拠点を「点」から「線」にするのが東武の狙いである。
なお、おトクなきっぷとして、「まるごと日光・鬼怒川 東武フリーパス」、「まるごと日光 東武フリーパス」、「まるごと鬼怒川 東武フリーパス」をそれぞれ用意している。
■渋い色調のエクステリア
100系スペーシアは、ジャスミンホワイトをベースとした、明るい色調に対し、「日光詣スペーシア」は渋い。世界遺産である日光二社一寺(日光東照宮、日光二荒山神社、日光山輪王寺〔堂、塔、15支院の総称〕)のシンボリックな色彩を採り入れ、乗客の日光旅行に対する期待感を高めている。
ベースカラーは荘厳(そうごん)な金色で、場所や天気によって"映え具合"が変わる。今回の報道公開は、午前(テレビ局、新聞社)と午後(鉄道雑誌関係者)の2回に分かれており、私が参加した午後は、時より"カメラマン泣かせ"の空模様。百戦錬磨のベテランカメラマンが、リーダーシップをとっていた。さいわい取材中、雨粒が1滴も落ちなかった。
アクセントカラーとして、重厚な黒色、艶(あで)やかな朱色を配している。車体側面の車両番号(各号車)、東武グループロゴ(1・6号車)は白で、「フューチャーホワイト」と称してもいいほど、明るさが際立つ。
1・6号車の車体側面には、日光東照宮の眠り猫、三猿(聞かざる、言わざる、見ざる)などをデザインした「日光詣エンブレム」を掲出した。
■金色のヘッドカバーが目立つインテリア
一般席のヘッドカバー。向かい合わせにすると、エンブレムが見られない。
「日光詣スペーシア」のインテリアで変わったのは、座席のヘッドカバーだ。車体のベースカラーと同じ金色に変えており、一般席は座席背面、コンパートメントは座席正面に、「日光詣エンブレム」を添え、楽しい雰囲気を演出している。
「日光詣スペーシア」は、2015年4月18日に東武トップツアーズの団体列車としてデビュー。定期列車の運行は、4月20日から始まる予定だ。
(Yahoo!ニュース個人より転載)