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2018年06月11日 13時54分 JST | 更新 2018年06月11日 13時54分 JST

ユーモアと勇気あふれる映画『ワンダー 君は太陽』スティーブン・チョボスキー監督インタビュー

「自分の小説を映画化した経験は大きかった」

© Motion Picture Artwork © 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

 全米のベストセラー小説を映画化した『ワンダー 君は太陽』が6月15日から公開される。

『スターウォーズ』が大好きで、宇宙飛行士になることを夢見る10歳の少年、オギー。彼は遺伝子疾患により、人とは違う顔を持って生まれてきた。そのためいつもヘルメットで顔を隠し、学校に行かず自宅学習をしていたが、両親はオギーを学校に送り出す決意を固める。

 初めて触れる外の社会に戸惑い、時にはいじめにもあうオギーだが、持ち前のユーモアセンスとやさしさと勇気によって、次第に周囲を変えていく存在になってゆく。

 トリーチャーコリンズ症候群を持つ少年、オギーを演じるのは、『ルーム』で一躍注目されたジェイコブ・トレンブレイ。オギーを暖かく見守る母親、イザベルをジュリア・ロバーツ、父親役をオーウェン・ウィルソンが演じている。監督は、自身の小説『ウォールフラワー』を映画化し、高い評価を受けたスティーブン・チョボスキー。

 本作の見どころなどについて、チョボスキー監督に話を聞いた。

自分の小説を映画化した経験は大きかった

――この小説の映画化を引き受けた理由を教えてください。

スティーヴン・チョボスキー(以下チョボスキー):少し前に二人目の子供が生まれて、自分の子どもたちがこれから生きていくこの世の中がより良いものになればいいと思い、この仕事を引き受けました。この映画を自分の子どもたちのためにも作りたかったんです。

 

――前作『ウォールフラワー』は、ご自身の小説の映画化でした。今回は他者の小説の映画化ですが、前回の体験はどう活かされましたか。

チョボスキー:おおいに役立ちました。小説の映画化では、原作があり、それを映画用の脚本に脚色し、映画監督がビジョンを持って映像化します。そこには3つの視点があるわけですよね。

原作者は、作品の最初の創造者ですから細部に渡って全てを知っています。脚本家と映画監督はそれを再解釈して仕事に当たらねばなりません。私の小説家としての経験で学んだことは、原作者を映画製作のパートナーにしなければいけないということでした。原作をリスペクトし、そして映画に関わるクリエイターたちの仕事もリスペクトする必要があるんです。

 

――主人公のオギーだけでなく、家族や周囲のキャラクターも魅力的に掘り下げられています。

チョボスキー:原作もそうなのですが、この物語は多様な視点を持っています。一人の視点が進行せずに他の人物に視点が切り替わることによって、我々が抱く先入観を覆してくれるんです。この視点ではこの人物はこう見えるが、別の人物の視点に切り替えてみると全く違う側面が見えてくるといったように。原作を読んで、そこが素晴らしいと思ったし、共感力の大切さを改めて感じさせてくれました。

© Motion Picture Artwork © 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

シリアスな題材をユーモア交えて描く

――この映画はトリーチャーコリンズ症候群という、遺伝子疾患を題材にしている作品ですが、作品全体は深刻になりすぎずに楽しく観られる作品に仕上がっています。この映画を作るに当たって、そのあたりのバランスをどう考えましたか。

チョボスキー:私はいつも考えているのは、観客に深い感動を持ってもらいたいのであれば、ユーモアとリスペクトを失わないということです。観客を泣かせてやろう、というようないやらしい気持ちは持つべきではないと思います。私は観客に映画の登場人物と一緒に彼らの物語を体験してほしいと思っています。

© Motion Picture Artwork © 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

――トリーチャーコリンズ症候群についてどんなリサーチをしましたか。実際にその症状を持った人々と会ってどのような話を聞いたのでしょうか。

チョボスキー:私は科学者やジャーナリストでありませんので、文字通りのリサーチのようなことはしていません。彼らはその症状について質問責めにあってきて、もううんざりしてるんですよ。どんなユニークな話題で褒められたとしても、その話題ばかりされたら誰だって飽きてしまうでしょう? 彼らはそういう状態です。だから私は、彼らが興味を持っているものについての話、それは友情だったり、学校だったり、あるいはスターウォーズや野球ことだったり・・・。そうしたものについての話を聞いて、映画もそれを反映して、トリーチャーコリンズ症候群についてのエピソードよりも、子どもたちにとってより関心があるものに重きを置いています。

© Motion Picture Artwork © 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

――前作『ウォールフラワー』を観た時も思いましたが、監督は学校という小さなコミュニティの美しさや残酷さを描くのがすごく上手いなと思います。監督は学校という小さな社会について特別な思い入れがあるのでしょうか。

チョボスキー:若い時は、あらゆる経験がすごく重要だと感じます。失恋や友情の終わりのようなつらいことや、楽しいことも、全てが大きな体験です。多くの人は年を重ねるごとに人生の輝きも失わなれていくと思います。だから私は子どもたちの話が好きなのかもしれません。子どもたちの物語を描くことで、大人にも人生の素晴らしさを思い出してもらいたいんです。