今週、僕が『プレミアムゴール』に選んだのは…プレミアリーグ第37節のエヴァートン vs. マンチェスター・シティ戦で決まった、バークリーの先制ゴール!
左サイドでボールを持ったMFレイトン・ベインズ。近い位置にはMFロス・バークリー、中央のペナルティーエリア手前にはFWスティーブン・ネイスミスが待っている。
ベインズが得意の左足で蹴った高速パスは、裏のスペースへの飛び出しをうかがわせたバークリーの横を通り抜け、ネイスミスの足元へ。そのままネイスミスがワンタッチで戻すと、すぐに踵を返したバークリーが、ダイレクトにインカーブシュートをファーサイドネットへ沈めた。
2歩進んで1歩戻って、ドーン!そんなどう考えてもマークし切れないようなワンタッチの組み立てが、ゴール手前でポンポンとつながってフィニッシュへ。まさに『プレミアムゴール』としか言いようがない、素晴らしいクオリティーのゴールだった。このダイナミズムこそ、まさに“バークリーズ”・プレミアリーグ…!
それにしても、この瞬間は、赤も青も含めてマージーサイド方面が一斉に盛り上がったんじゃないだろうか。前節チェルシーに敗れたリヴァプールは、残り2試合で大きく離れたマンチェスター・シティとの得失点差を詰める以外に、自力優勝の可能性がなくなっていた。そんなとき、ライバルチームのエヴァートンが、マンチェスター・シティと引き分け以上に終わってくれれば、優勝に向けた最高のアシストを得ることができる。
試合前、リヴァプールのブレンダン・ロジャース監督も「エヴァートンがリヴァプールの頼みごとを聞くのが嫌なのはわかっている。しかし彼らが今季、素晴らしい戦いぶりを見せている偉大なクラブというのは間違いなく、来季のチャンピオンズリーグ出場圏内を争っている最中なのだ」と、アシストを期待するコメントを出していた。…ところが。
やはりライバルはライバルと言うべきか。エヴァートンは衝撃的な先制を果たした後、ディフェンスの緩みからマンチェスター・シティに3失点。逆転を許し、最終的には2-3で敗れてしまった。地元ライバルであるリヴァプールとの因縁を、一時水に流すアシスト…という美談にはならなかったようだ。
しかも、話はここで終わらない。リヴァプールは、やっぱり他力本願じゃダメだ!と思ったのか、その翌々日に行われた同じ37節のクリスタル・パレス戦で、2点目を決めたスタリッジも、3点目を決めたスアレスも、ゴールを決めた後にすぐにボールを拾いに走り、少しでも多くゴールを挙げてマンチェスター・シティとの得失点差を“自力で”ひっくり返そうと試みた。ところが、事はそううまく運ばず、逆にそれがクリスタル・パレスのプライドを傷つけてしまったのか、終了間際の10分間で怒涛の3失点。なんと3-3の引き分けに終わり、自ら優勝の可能性から大きく遠ざかってしまった。こんなことがあり得るのかと、驚きを禁じ得ない…!
まるでテレビドラマを見ているような、第37節の出来事だった。とはいえ、もしも今のリヴァプールを10話完結のドラマとするなら、今回のドタバタによる失意は、第7話辺りにありそうな展開でもある。まだまだ、どんでん返しが潜んでいるのか。それとも、真のエンディングはチャンピオンズリーグ出場権を獲得した来シーズンに訪れるのか。今、もっとも目が離せないチームだ。
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(2014年5月7日「今週のプレミアムゴール」より転載)