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2016年10月13日 15時23分 JST | 更新 2018年03月12日 16時15分 JST

欲ばりかもきれいごとかもと恐れずに語って、等身大で理想をカタチにしよう。

今だからこそ、恥ずかしがらずにきれいごとを語ろう。

d3sign via Getty Images

日本の首相がもはやITをイットと読まず、IoTやAIで第4次産業革命を語る今。テクノロジーを紐とき、その根幹にあるエレクトロニクスについて語ろうというイベント、「いまだからエレクトロニクス、変わるエレクトロニクス!

「テクノロジー・ネットワーク」キックオフセッション」を2016年10月31日(月)19:00 ~銀座にて開催します。その背中を押したのが、「マーケティングを通じて企業が世界平和に貢献できるか?」をテーマにした次世代マーケティングプラットフォーム研究会第9回総会でした。

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マーケティングで社会問題を解決できるのか、という議論につながる「ソーシャル・マーケティング」を最初に提唱したのは1971年、現代マーケティングの父、フィリップ・コトラー氏でした。

1931年生まれで米寿はまだまだと世界を飛び回るコトラー氏は、今月来日し、10月11日~12日のWorld Marketing Summit Japan 2016 および 10月14日~15日の広島県主催「国際平和のための世界経済人会議」に参加します。

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これがひとつのヒントとなり、9月7日、筆者が運営委員を務める次世代マーケティングプラットフォーム研究会では、2014年発足のキーワードとなったコトラー氏が定義する次世代マーケティング4.0の核「自己実現」からテーマを「国際平和」に絞り、「マーケティングで世界平和が実現できるか?」と題した第9回総会を行いました。

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キーノートでは広島県主催「国際平和のための世界経済人会議」の運営委員であるマカイラ代表 藤井宏一郎 氏が登壇し「マーケティングを通じて企業が世界平和に貢献できるか?」を講演しました。そして同運営委員長のアクセンチュア株式会社 チーフ・マーケティング・イノベーター 加治慶光 氏が登壇し、広島県知事 湯崎 英彦 氏からのビデオメッセージを紹介しました。

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藤井氏は政治政府の専権事項である「平和」に企業が関わる難しさ、マーケティングで"誰のどのような行動変容が平和をもたらすか"を定義することの難しさを解説しました。

そして、世界平和に貢献するための具体的や視点、論点として、企業の非営利マーケティング、NGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)との連携、PR・広告・クリエイティブなどを伴うキャンペーン、メディア・コンテンツ・教育・観光産業ビジネスなど、World Marketing Summit Japan 2016 で実際に取り上げる切口を示しました。

続くパネルディスカッションでは、同研究会発起人の株式会社アイ・エム・ジェイ CMO / 事業構想大学院大学 教授 江端浩人 氏がモデレーターとなり、パネリストにシンフォニーマーケティング株式会社 代表取締役  庭山一郎 氏、ブルーカレント・ジャパン株式会社 代表取締役 本田哲也 氏、アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 CMO 徳力基彦 氏、日本アドバタイザーズ協会 理事 / 国際委員会 委員長  山口有希子 氏、マカイラ株式会社 代表取締役 藤井宏一郎 氏が加わり、むずかしい話を軽妙に、ときに大胆にときに繊細に語る熱いトークが繰り広げられました。

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2時間半にわたってFresh by Abema TV で中継動画配信されたこの会で、登壇者それぞれの言葉を聞きながら、共鳴しつながる点を探しました。ここからは個人的な考察です。

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  • 正義のメッセンジャー

まず再認識した点は、マーケティグのなかではマーコムともよばれる、コミュニケーション部門が社会にもたらす力です。

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マーケティングにおける要素カットで登壇者をみると、本田氏は(筆者も同じく)情報伝達を戦略化するPR(パブリックリレーションズ)、藤井氏はPRのなかでも公共性・社会性の高い領域に焦点をあてるパブリックアフェアーズ、徳力氏はソーシャルメディアを駆使するアンバサダー、山口氏はこれらを包括しコンテンツ、ブランド、広告、社会貢献、社内を含むマーケティングコミュニケーション全体を率います。一方、庭山氏は売上、利益といった日々の原資を稼ぐデマンドジェネレーションを担います。

企業は、マーケティングの各要素を機能化するニーズの有無やその規模に応じて、誰が担当するか、外注するか、などそれぞれの形で運用しています。用語定義と対応する活動は厳密に体系化したものがないので、マーケティング要素・ツールに関連する分野をそれらしく単純化するために、まったくアテになりませんがコトラー氏が提唱したマーケティングの手順 5つのステップをもとにマッピングしました。

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マーケターおよび広告主の協会を代表する山口氏は、"コンテンツをどうやってわかりやすく、魅力的に伝えるかに頭を使い、増える手段をどう使うかを考えることで、社会が抱える問題にひそむギャップを埋めるための気づきを与えられる" "それが世界平和につながるきっかけになる" と述べました。

そして本総会直後に開催されたパラリンピックを例に、"企業がスポンサーシップを通じて、世の中が一体になりチャレンジすることを支える、啓蒙することができるのでは"、と問いかけました。

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今年のCANNES LIONS SCHOOLのYoung Lions Creative Academy講師をつとめた本田氏は、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルPR 部門で金賞を受賞したオーストラリア・ニュージーランド銀行「Equal Future-Pocket Money(お小遣い)」の国際女性デー向けキャンペーンビデオを紹介し、同じお手伝いをしたのにお駄賃が男の子と女の子で違う、という経験をさせられた子どもたちが可愛くも憤慨して「違法でしょう!」「そんなやり方、僕が変える!覚えてたらだけど...」とガチに怒る姿が世界 15 億人以上に響いた例を通して、"誰が言うか、誰に言わせるかという観点が大事" とコミュニケーション戦略の重要性を指摘しました。

山口氏や本田氏がふれたとおり、マーケティングコミュニケーションでは、ビジネスの根幹、商品と社会課題を結びつけ、売上も利益も上げながら社会貢献に資するという考え方が発達しています。そこにふれるのは今さらというか口幅ったい気がするのですが、庭山氏がけん引してきた営業機会の創出を担うデマンドジェネレーション、そして筆者自身がPRエージェンシーで担う営業そのものという日々の原資を生む役割を鑑みると、正義を語りやすいのはマーケティングコミュニケーションの立場ならでは、といえます。

マーケターよ正義を語れ、と初心に帰るよう登壇者に励まされたように思いました。

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  • 欲ばりになろう

日々の糧を稼ぐ、というとマズローの欲求段階説の物理的欲求説の生理的レベルにあたり、マーケティング1.0(カタログなど)に分類され、利益の追求が社会性・公共性と相反することもありえます。実際、営業やデマンドジェネレーションの領域で、社会性や公共性を議論することはあまりなく、あるとすればコンプライアンス違反やリスク管理などネガティブ要素を避ける場合などでしょう。一方で所属レベルに該当するマーケティング2.0(ブランディング)、承認レベルにあたるマーケティング3.0(CSR)と上にいくほど社会への貢献度が高くなるように見えます。

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しかし、庭山氏が「売上はすべてを癒す」というダイエー創業者・中内功氏の言葉を例に出したように、現実としてメッセージだけではなく売上や利益をもってはじめて、会社は潤います。

マーケティング概念の体系化より数百年も前に近江商人が実践した "売り手よし、買い手よし、世間よし"の「三方よし」が本総会でも度々ふれられたように、会社単体ではなく社会全体が潤ってはじめて平和な日々を過ごすことができます。

藤井氏は基調講演で、国連の PRI(責任投資原則)報告書を抜粋して、ビジネスがもつ "国境や文化の境界を超えて、共通のアイデンティティと目標に基づく人間関係を作り、違いを乗り越える" 力についてふれました。

それを金銭的投資ではなくコンテンツ創出という形で実践するように、パネリストたちはマーケターというアイデンティティと、公に議題するのが難しい「自己実現」「世界平和」を考えるという目標に視点を合わせることで、およそ2時間半にわたってみずから笑いや柔らかい空気を生み出し、Fresh by Abema TV のライブ中継で参加者200名超、視聴者4,900名に届けました。

つまり、目先の利益や個人の利潤だけでなく、社会全体をみて志を同じくする人と一緒になれば、難しいことも乗り越えられる。職務、所属といった違いを超えてつながれる。恥ずかしがらずに欲ばりになろう、と力づけられる思いでした。

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  • きれいごとを語ろう

「世界平和」という難題に挑むスピーカーたちと同感した点は、本田氏や徳力氏がふれた "世界の平和も家庭、会社、身近な平和も(個人の感情としては)全部つながっている" という点でした。

キーノートで藤井氏が "平和実現というのは「どうすれば景気がよくなるか?」と同じような複雑系の問題" と指摘したとおり、個人や家庭から、会社や組織、国家や国際社会まで、幅広い階層でそれぞれが包含する課題や問題は異なり、複雑な相関関係にあります。が、結果としてわく喜怒哀楽の感情は普遍的なもので、個人の中ではつながっています。

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徳力氏は、「誤解がループしてスパイラルになって悪いほうに行く時に、ちょっとクスッとお互い笑えたり、共同で体験できたりすることによってループが止まり、逆のほうに回ることができる」と述べ、ユニリーバのDoveのリアルビューティースケッチ動画プロモーションを「心が洗われて "今日は、ちょっと奥さんに優しくしようかな" といった積み重ねにつながる」例としてあげました。

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スマートフォンやSNSの普及により、感情の拡散、増幅が生じやすくなっていると同時に、それをリセットしてバランスを取ろうとする自浄作用も働きやすくなっています。ヘイトスピーチや残虐な映像が世の中に怒りの渦を巻き起こす一方で、ちょっとした心温まる話が負に向かう緊張が緩ませ、和ませてくれます。

わたし自身、普段ひと前に出る役回りでもないのですが、自分の殻を破ってこの総会の運営、司会をボランティアで引き受けることで、視野が開け、やる気をチャージできます。

大切なのは、自己実現を要とするマーケティング4.0の定義づけをすることだけでなく、自分が担う職業人や消費者といった様々な立場で自己実現とはなにかを考え実践していくことだろうと思います。

よりよい社会、よりよい未来に向かうには、今だからこそ、恥ずかしがらずにきれいごとを語ろう、と勇気づけられた気がしました。

本総会への布石となった今年初旬の来場者アンケートで、「戦争を終わらせ世界平和になるマーケティングはありえるか?」とコトラー教授への質問を書いたひとりのデジタルマーケターは、「これだけテクノロジーが発展してきたのをみて、マーケティングで世界平和が実現できるんじゃないかと思ったから」とその理由を聞かせてくれました。

本総会を受け、自身がテクノロジー市場を中心にPRを担うものとして、正義のメッセンジャーたるものとして、公共性・社会性にてらしたテクノロジーの事実を伝え、欲ばりかも、きれいごとかもしれないことを恐がらずに語って、等身大で理想をカタチにしていこう。

そう思い、半年かけて準備したイベントを立ち上げました。「いまだからエレクトロニクス、変わるエレクトロニクス!「テクノロジー・ネットワーク」キックオフセッション」を10月31日(月)19:00 ~銀座にて開催します。ご興味あればぜひお越しください。お待ちしております!

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(2016年10月8日「コウタキ考」より転載)