ニュースに触れることが多くなったソーシャルメディア時代。
その爆発的なニュースとは逆張りするように、丁寧なキュレーションや長文コンテンツを発信しているメディアのニーズも増えており、"スローメディア"という言葉もできるほど。
海外のメディアを見てみると、骨太な長文コンテンツを作成・キュレーションするウェブメディアがあります。この記事では、5つのメディアを紹介したいと思います。
1. Narratively
海外のメディアを見てみると、骨太な長文コンテンツを作成・キュレーションするウェブメディアがあります。この記事では、5つのメディアを紹介したいと思います。
1. Narratively
まず紹介するのは、長文コンテンツのプラットフォーム「Narratively」。ウェブメディアの未来を探るーータイム紙が選ぶ「2013年のベストウェブサイト」から4つを紹介という記事で触れたタイム紙のベストウェブサイトにも選出されています。
毎週テーマを設定し、毎日長文コンテンツを発信。2012年9月のローンチ以降、"ニュースのサイクルをスローダウン"させる戦略で、ファンを獲得しているのです。
これまであまり語られることのなかったヒト・モノ・コトなどに焦点を当て(ヒトに関するストーリーが多いです)、長文記事やアニメーション、フォトエッセイ、短編ドキュメンタリーなど様々な切り口で発信しています。
リリース資金はクラウドファンディングサイト「Kickstarter」を活用し、5万ドル(約500万円)以上集め、リリース前からファン獲得を行っていました。
2. Atavist
スマートフォンやタブレット利用者に良質なコンテンツを届ける「Atavist」も注目のメディアです。ノンフィクションを基軸とした長文記事が多く並んでいます。
The New YorkerのジャーナリストだったEvan Ratliff(エヴァン・ラトリフ)氏が中心となって立ち上げ、アドバイザーを含めると20名体制。基本的には課金メディアとして運用しており、月間2.99ドル、年間19.99ドルといった感じです。
メディアやジャーナリズム関連の投資が多いKnight Foundation(ナイト財団)などからの投資も受けており、引き続き成長が期待されます。
3. Byliner
一流のライターや寄稿家たちが多く記事を書き連ねている「Byliner」。2011年に100万ドルの投資をもとに、立ち上がりました。
ノーベル文学賞候補から、無名のジャーナリストまで、様々な書き手がフィクション、ノンフィクションなど多くの記事/コラム/小説などを発信。書き手によるコンテンツだけでなく、Byliner側でもオリジナルのコンテンツを作成しています。
マネタイズは月額5.99ドルの課金となっています(2週間は無料)。課金メディアは増えていきそうですね。
4. Longform
「Longform」はその名の通り、長文コンテンツを発信するメディアです。13名のメンバーで運営しています。
2010年のローンチ後、長文コンテンツ(テキストや音声)のキュレーションを行っています。2000ワードを超えるものが多く、リンク先に飛ぶと知らなかったサイトに出会うこともあるので色々な発見があります。
当初は、ノンフィクションのみキュレーションしていましたが、いまではフィクションも読むことができ、幅広い読者が楽しめそうです。2013年の人気コンテンツなども読んでみると面白いです。
5. Longreads
「Longreads」も長文キュレーションのプレイヤーとして注目です。2009年にロサンゼルスタイムズやタイム社などで記者やデジタル戦略を担当していたMark Armstrong(マーク・アームストロング)氏らが中心となり、立ち上がったメディア。
1500字以上のコンテンツを長文コンテンツと定義して、キュレーションしています。月額3ドル、年額30ドルの課金を取り入れ、運営費や著者へ還元。さきほど紹介したLongformと合わせて、2013年の人気コンテンツをチェックしておきたいです。
以上、5つの長文系メディアの紹介でした。
ストレートニュースやおもしろ記事、最近のバイラルメディアのように消費の早いコンテンツに飽きた方は、こういうメディアでゆっくりコンテンツを消費していくのもありだと思います。
今回紹介したメディアは、投資を受けたり、クラウドファンディングでの資金調達、定額課金、電子書籍などのコンテンツ販売の売り上げなどをもとに運営しています。
日本の大手メディアもスタートアップもなかなかできない長文ジャーナリズムですが、国内では、荻上チキさんが編集長を務めるアカデミックジャーナリズムの「シノドス」や都知事選で津田大介さんがやられていた「ポリタス」などはとても有意義なメディアだと思います。
今後、日本でもさらに長文ジャーナリズムは増えると思います(ニーズはあるので増えてほしい)。電子書籍や課金、イベントなどマネタイズが大きな課題となりそうですが、非常に期待したいところです。