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2013年07月01日 16時57分 JST | 更新 2013年08月30日 18時12分 JST

急成長するIT企業のリーダーが語る、これからの成長戦略

今回の集まりは馴れ合いではない。ビジネスのフィールドに出ればお互いがライバルであり、そこで繰り広げられるのは本当の真剣勝負だ。答えは企業の中にではなく、いつでも利用者、ユーザー側にある。

去る6月19日、グリー社内にあるセミナールームに、珍しい顔ぶれが集まった。

6月14日に株式会社DeNAを退職したばかりの起業家、Cheermentの金井路子。LINE株式会社でゲーム事業を率い、偶然にも同じ6月14日に同社を退職した鎌田誠。株式会社サイバーエージェント、アドマンこと渡邊大介。最後にハフィントンポスト日本版編集長の松浦茂樹。そんな日本を代表する急成長IT企業のリーダー達を取り囲むグリー社員が約70名。

社内勉強会と呼ぶにはあまりにも贅沢な、これからのITビジネスを考えるディスカッションイベントだ。テーマは「IT業界の展望」、「これからIT業界で働くビジネスパーソンに求められるスキルとマインドセット」、「変化の速い業界で勝ち残るための組織論」の3つ。本日はその模様を、少しだけ紹介してみたいと思う。

■作る人、育てる人、守る人

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口火を切ったのは Cheerment 金井氏。彼女は2003年からDeNAに在籍し、モバオクやモバイル版ビッダーズ(現DeNAショッピングモバイル版)、Skygate といった事業の立ち上げに携わった。

「会社には事業を "作る人"、"育てる人"、"守る人"の3種類がいて、どれも大切な役割。私は常に"作る人"でありたい」

そう語る彼女の次なるステージはアジア、ミャンマーだ。会場のグリー社員からは市場の成長性や現地のインフラ、実現可能性について質問が浴びせられる。彼女の答えはシンプルだった。

「確かに困難はある。可能性を論じたらきりがないが、もっともシンプルで大切なのは"需要がある"という事実だ。インターネットで商習慣を変える、これは本当におもしろいんです。可能性を"今"の延長線上で単純に捉えてはダメ。きっかけがあればドラスティックに消費行動は変わる。私は実際にそれを経験してきている。」

これまで数多くの事業立ち上げにかかわってきている彼女の言葉には迫力があった。その揺るがない自信はどこから来るのだろうか。

「組織が大きくなったり、前例のないことをやろうとすると、いろんなことを言う人が出てくる。でも、私が学んだのは"行動しない人は信用ならない"ということだ。口だけではなく、少しでも自分のリソースを割くという、リスクを取ってくれる人の言葉だけが、耳を傾けるに値する。」

この発言には、会場でも大きく頷く参加者の姿が見られた。

■業界リーダーの未来像

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金井氏の講演に続いて、鎌田氏、渡辺氏、そしてグリーのマーケティング事業本部で事業開発部長と新規事業企画室長を兼任する足立和久が参戦。グリー社員4名を加えた計8名でのパネルディスカッションが行われた。

テーマは先に述べた3つ。「IT業界の展望」、「求められるスキルとマインドセット」、「組織論」。最新のトレンドにいち早くキャッチアップし、ものにするために多くの企業がしのぎを削る中、勝敗を分ける要因とはいったいはなんだろうか。

どのテーマでも活発な議論が行われたが、マネージャー・ディレクターが中心だったにも関わらず、特定のテクノロジーやサービスに関する話が非常に少ないことが印象的だった。裏返すと、各ビジネスリーダーの関心は「参入・成長・撤退」という各事業プロセスのスピードアップと、判断の精度をいかに上げるかに集まっていた。

現在の主力ビジネスが順調なうちに、新しいビジネスの種をまく。ポートフォリオは各社さまざまだが、そのあたりの目利きと参入タイミングの見極めに、最初の戦略がある。システムを利用する顧客行動をつぶさに観察するもの、ブームの兆候を察知し、仮設を元に素早くプロダクト化して市場の反応から成長事業を見極めていくもの、海外の市場動向にアンテナを張るもの。それらの手法は各社が行ってきたビジネスの成功体験・失敗体験から生まれたものに違いない。

ただし、そのようにして新しいビジネスの波に乗ることができたとしてもそれで終わりではない。SNSでもコマースでもアプリでも、可能性が明らかになればすぐに大小さまざまな参入者が現れるのがITのビジネスだ。当然のことながら、ユーザーのニーズにフォーカスし、キャッチアップし続けることが大切だ。多くの類似サービスが乱立する中、表面だけを模倣するような底の浅いビジネスはすぐにユーザーに見放され、廃れてしまう。プロダクト改善サイクルの中では、常にユーザーニーズにフォーカスし続ける。サービスとして表に見えているのは氷山の一角にすぎず、見えないところにこそ強みがあると、パネラーの一人は語った。

とはいえ、言うは易く行うは難しである。その「見えないところにある強み」を鍛え、磨きあげるためにどのリーダーも、チームも、日夜腐心しているのだということが感じられた。

■人は石垣、人は城

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WEBやモバイルのビジネスは、製造や小売りといった他業種に比べると設備投資は少なく、事業衰勢のライフサイクルも短い。そしてその分、異業種からは想像もできないスピードが要求される。競争力の源泉としても、おのずと「意思決定」や「制作チーム」といった「人」や「組織」の重要性が高まってくる。

今回参加してくれたメンバーはそのことを理解しているのだろう。機密事項や自社サービスに触れない範囲で、自身の考えをかなり率直に語っていただけた。意見をぶつけあい、自らのアイデンティティをくっきりと際立たせることで注力すべきフィールドやボトルネックが見えてくる。勉強会後に実施された懇親会では、「ディスカッションを通して新たな気づきが得られた」という嬉しい意見も寄せられた。

加えて強く感じるのは、パネルディスカッションに参加したメンバーは、だれもが自分が所属する組織に強い自負を持っているということだ。全体を通してグリー社員たちは冷静だったが、きっと胸に秘めた闘志の炎をたぎらせたことと思う。

インターネットのおかげで、世の中のたくさんの情報へアクセスが可能になり、素晴らしく優秀な人々とも以前よりずっと簡単にコミュニケーションが取れるようになってきた。こうしたたくさんの情報から、自分たちにフィットしたよいものを取り入れ、そうでないものも他山の石とする。成長する中で、少しでも慢心し、改善を怠ればユーザーは目敏くそれを察知するだろう。

今回の集まりは馴れ合いではない。ビジネスのフィールドに出ればお互いがライバルであり、そこで繰り広げられるのは本当の真剣勝負だ。答えは企業の中にではなく、いつでも利用者、ユーザー側にある。私たちグリーも負けずに切磋琢磨し、ひとりでも多くのお客様に認めていただけるよう、全力を尽くしていきたい。

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最後に、このディスカッションに参加し、短い時間ながら活発な議論を尽くしてくれた各業界のリーダーに、この場を借りて御礼申し上げます。お互い競いながらよりよいサービスを提供し、改善し続け、日本の、世界のIT業界を盛り上げていきましょう!

それでは、よろしくお願いいたします。