免疫記憶が脳疾患を変化させる

脳内の免疫記憶が神経病理の重要な変更因子であることを示している。
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何らかの形式の記憶を持つ免疫細胞は適応免疫細胞だけではなく、自然免疫細胞も記憶を持っている。ある特定の免疫刺激が、血中の単球を「訓練」し、後の攻撃に対する免疫応答を増強するのに対して、別の刺激は炎症を抑制し、寛容を誘導する。

自然免疫記憶は、エピジェネティックな再プログラム化を介して起こり、血中の単球では数か月持続し得る。今回J Neherたちは、末梢で与えた炎症刺激も、脳内で急性の免疫訓練と免疫寛容を誘導し、長期生存する脳内常在性のマクロファージであるミクログリアで、特異的なエピジェネティック再プログラム化を引き起こすことを明らかにした。

この変化は少なくとも6か月は保持されていた。重要なことに、アルツハイマー病のマウスモデルでは、免疫訓練は脳内のアミロイドーシスを悪化させるが、免疫寛容はそれを軽減した。同様に、末梢の免疫刺激は脳卒中後の病理学的特徴を変化させた。

これらの知見は、脳内の免疫記憶が神経病理の重要な変更因子であることを示している。

Nature556, 7701

原著論文:

:10.1038/s41586-018-0023-4

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