今回、米国ブラウン大学の岡﨑啓史とG Hirthは、冷たい沈み込み帯におけるやや深発地震の原因を説明できる可能性がある不安定断層すべりが、ケイ酸塩鉱物であるローソン石の脱水反応によって生じるかを調べることを目的とした、ローソン石の変形と音響放射の測定結果を報告している。
その結果は、脱水反応しているローソン石で不安定断層すべり(すなわち固着すべり)が実際に起こることを示している。音響放射信号は連続的に観測され、天然のローソン石層内で不安定摩擦すべりが起こる可能性があることを示唆している。
こうしたふるまいは、蛇紋岩鉱物であるアンチゴライトに対する同様な実験での結果とは全く対照的で、アンチゴライトでは、同様な条件下での脱水反応の際に、安定したすべり、すなわちゆっくりしたすべりが見られ、音響放射は観測されていない。
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今回の結果は、ローソン石は、不安定断層すべりを生じさせる脆性変形を高温高圧下で示す数少ない鉱物の1つであることを立証している。
Nature530, 7588
2016年2月4日
原著論文:
doi:10.1038/nature16501
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