突然ですが、「おてて絵本」って知ってますか?
NHKのEテレで放送している幼児向け番組「みいつけた!」のコーナーにもなっている、こどもとのコミュニケーション(遊び)の手法で、簡単に説明すると、両手を絵本に見立てて、空想のお話を創作して聞かせるというもの。
番組では、これをこどもがチャレンジして、なんともファニーなお話が繰り広げられる。ほのぼのと笑える良コンテンツなのだ。
注:「おてて絵本」は、絵本作家サトシン(本名:佐藤 伸)の提唱している親子あそびです。
幼稚園児がふたりいるうちの家庭では寝る前に絵本を読むのが日課。絵本の家庭内ストックには限界があるし、ときどきは図書館で借りてくる絵本で補うも、いずれはネタが枯渇してしまう...。
というワケで、週末は、この「おてて絵本」をパパであるボクがやるのが、いつの間にかミッションになっていた。
※ちなみに、おてて絵本を披露するのは、自分だけでなく、子どももいつもユーモラスな話を創って聞かせてくれる
絵本を創った経験はないが、いちおう元編集者だし、コミュニケーションを生業としているから、我が子を必ずやWOWさせたいし、しなければならないというプレッシャー。。。「つまらないよ...」と反応をされるのは、耐えがたい屈辱だ。
そのためにボクが実践する瞬時に物語を創るためのフレームワークがある。恥ずかしながら公開しよう。
1. メッセージを決める
・嘘はつかないほうがいい
・ズルをすれば必ず自分に返ってくるぞ
・仲間を大切にしなさい
・困った人がいたら助けなさい
といった子どもに学ばせたいことや考えさせたいことを、まず設定する
2. ベースになる物語を記憶の中からリサーチ&チョイス
ゼロから物語を創作するのは困難だから、日本の昔話や海外の童話など、記憶にある古典的名作からどれをベースにするかをチョイスする。
3. アレンジと演出を考える
当然ながらこの最終パートが肝心要(かんじんかなめ)で、登場キャラクター、舞台の設定、構成順序、会話の内容etc.
現代風にしたりファンタジックにしたりと試行錯誤している。また実践してみての学びとしては、内容はもちろんだが、声のトーンや、オノマトペ、つまりは話し方も重要で、演出ひとつで爆笑を誘ったりもできる。
では、制作事例。はじめに結果を言うと、ややウケだった話だ(苦笑)。
====================================================
パンパン! おててえほん。
むかしむかしあるところに、くいしんぼうのサルさんとクマさんがいました。
ふたりが住んでいるところには、大きな山があり、てっぺんには大きな木がたっていました。
ある日、サルさんとクマさんのふたりは、木の下でお餅つきをすることにしました。
どんなお餅にする?
せ〜の。ふたりは揃って「あんこを入れたお餅!」と言いました。
ぺったんぺったんお餅をついた後、た〜っぷりとあんこを入れて、美味しそうなあんこのお餅が10個もできました。
とってもキレイに、美味しそうに出来たので、ふたりは「しばらく飾っておこうよ」「夕方になったらまたここに集まって一緒にたべようね!」と約束しました
じゃ〜ね〜。ふたりは一回お家に帰りました。
(間を置いて)
夕方になりました。
最初にクマさんが大きな木の下にやってきました。
でも、あれ...? お餅がありません。
クマさんは、「あれ!? お餅がないよ。誰か盗んだのかなぁ」とまわりをきょろきょろ。そこへ、少し遅れてサルさんがやってきました。
「うぷ...。ゲプっ...。どうしたの? ク・マ・さん」
(このゲップの演技で、子どもはゲラゲラ)
なんだかおサルさんの様子が変です。あれ〜? 良く見ると口の周りには、黒い粒がベットリついています。
それを見たクマさん、「あ〜〜〜〜〜」と叫んで泣いてしまいました。「なんで約束やぶったの〜」
悲しむクマさんを見て、サルさんは二度と約束を破ることはしないことにしましたとさ。
おしまい!
====================================================
こうしてテキストに起こして見返すと、稚拙なストーリーだなと赤面してしまうが、大まかな骨子だけを描いた後に、話ながら肉付け、展開していくのは、なかなか難易度の高いプロセスだ。
ある日には、イソップ寓話「金の斧」をベースにした話しをしている途中に、「このお話知ってるよ。幼稚園の紙芝居で聞いた!」とネタばらしをされてしまったこともあった。
話しは横道にそれるが、絵本の読み聞かせにまつわる家庭の課題は結構ある。
例えば
・絵本は結構高い買い物
1,000円〜2,000円の価格帯が基本
・セレクトが難しい
どの絵本が面白いのか。面白がってくれるのか。子どものキャラや興味関心事にも大きく左右される
・家庭にバリエーション豊富かつ膨大にストックが難しい
これはコストと収納スペースが主な問題
だから、料理のレシピ本に変わるクックパッドみたいに、絵本や創作物語の共有サービスがあれば便利だし、需要もあるように思う。クラウドソーシング的にイラストを加えて、デジタル絵本として販売なんてこともできるのでは。
ターゲットが限定されるために、クックパッド級の規模は困難だけど...。
最後に。
「おてて絵本」は、子どもとのふれあいはもちろん、ストーリーテリングの鍛錬にもなる、パパにとっては両得なトレーニングだ。ボクはせっかく創作しているコンテンツだし、いつもiPhoneにメモでストックしている程度なので、
アカウントだけ取得しているnoteのコンテンツとして公開していこうと考えている。