『月刊群雛 (GunSu) 2014年09月号』には、インディーズから商業出版を果たした『アニウッド大通り』の作者で、漫画家のさんの独占インタビューが掲載されています。なぜインディーズだったのか、どんな苦労があったのか、いろいろ突っ込んだお話をお聞かせ頂きました。第3回め。
アニウッド大通り 3 (アニメ監督一家物語) [Kindle版]
今はとにかく描いていることが面白くて仕方がない
── 次に「インディーズ時代」と敢えて言わせて頂きますが、その頃についてお聞きします。『アニウッド大通り』第一話(旧)を2012年10月3日にpixivへ投稿され、加筆版を2013年2月11日にニコニコ静画(マンガ)へ投稿されています。そもそもこういう形での活動をされるようになったきっかけは何だったんですか?
記伊 (当時、出版社の編集者と)打ち合わせをしてるうちに、なんかどんどん......単純にその時、自分の力がなかったというのもあるんですけど、疑問ばかり自分の中に溜まっていって。何か「違うんじゃないか」「違うんじゃないか」という思いがすごくありまして、最後に爆発するように「全部やめた!」って。
── ええっ?
記伊 引っ越しもするし、全部モノも捨てるし。一回「全部放り出してやる!」っていう瞬間がきまして、そこからすごく楽になったんですよ。もう何も考えない、ただ描けばいいや、って。アテもなく描き始めたって感じなんです。
── 打ち合わせ、というのは講談社さん?
記伊 いや、他にもいろいろ回っていて、ですね。
── ネームを片手にいろいろ回られていたわけですか。
記伊 雑誌に合わせるとか、流行りに合わせるとか、そういうのやってたら頭がおかしくなってきちゃって。何をやってるんだか、よく分からなくなっちゃったんですよ。だから、一回そこから逃れないと、自分はもうダメになっちゃうだろうな、って思ったんです。
── 今は(雑誌以外にも)いろいろ表現する場がありますもんね。
記伊 そうですね。ただその頃はまだ、KDPとか存在も知らなかったんで、ほんとに何も考えてなかったんですよ。何とかなるだろうっていう(笑)
── それはそれで凄いですよね。
記伊 ただ、この企画は「面白い」んじゃないかと思ってたんで。何かあるんじゃないか、って。どこかに響いてくれりゃそれでいいかな、って感じでしたね。
── なるほど。
記伊 とにかく、(打ち合わせで)編集者さんと一対一だと、それだけなんですよ。もしかしたら、自分のマンガを「面白い!」と思ってくれる人がいるかもしれないのに、それすらも試せないんで。だから「何やってるんだろう?」って感じだったんですよね。
── 実際、pixivやニコニコ静画(マンガ)に公開されて、ダイレクトにユーザーからの反響が来るようになったわけですよね。そういう中で、他にも手は無いか? という形でKDPも利用し始めたわけですか。
記伊 そうなんです。(公開していれば)どこかから声がかかったりするかな? って考えてて、実際いろいろお話は頂いてたんです。でも、実現に繋がるものはなくて。
── そうだったんですね。
記伊 とにかく描いていることが面白くて。描いてりゃ何とかなるんじゃないか? っていう感じがしてたんですよ。
── おお!
記伊 で、あとは迷わず突っ走る感じで。そうしたら、その先にKDPがあったんです。
── 凄いですね。「描いていることが面白くて仕方がない」か。そこがストレートに原動力になっていたわけですね。
記伊 それがずっと味わえなかったんですよ。だから今は面白くて仕方がない。
〈続く〉
----------
----------
『アニウッド大通り(1) (星海社COMICS)』
記伊孝さんにはこのインタビュー以外に、特別読み切り漫画を寄稿頂いてます。他にもインディーズ作品が多数掲載された『月刊群雛 (GunSu) 2014年09月号』は、下記リンク先からお求め下さい。
月刊群雛 (GunSu) 2014年09月号の詳細はこちら