鳥学の橘川次郎、小西正一氏に山階賞

山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)は6月27日、鳥類の研究や保護で功績にあった人々を顕彰する山階芳麿賞の特別賞を、橘川次郎(きっかわ じろう)オーストラリア・クイーンズランド大学名誉教授(84)と小西正一(こにし まさかず)米カリフォルニア工科大学名誉教授(81)に贈ると発表した。

山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)は6月27日、鳥類の研究や保護で功績にあった人々を顕彰する山階芳麿賞の特別賞を、橘川次郎(きっかわ じろう)オーストラリア・クイーンズランド大学名誉教授(84)と小西正一(こにし まさかず)米カリフォルニア工科大学名誉教授(81)に贈ると発表した。両博士はともに半世紀以上にわたって外国で研究し、鳥類の行動学や生態学などで新分野を開拓するなど世界的に偉大な足跡を残した。

橘川次郎博士は横浜市生まれ。約30年間、オーストラリアのグレート・バリア・リーフのヘロン島で、ハイムネメジロ約200つがいとそのひなを個体識別し、行動学や生態学、進化学の多岐にわたって解明した。熱帯雨林で鳥類群集も研究して、コンピューターで分析する手法を開発した。1993年にはオーストラリア熱帯雨林共同研究センターの初代センター長になった。

小西正一博士は京都市生まれ。鳥類の歌の学習と音源に関する情報処理を研究し、神経行動学と呼ばれる新分野を確立した。鳥が正常なさえずりをするには、幼鳥のときに同種の成鳥のさえずりを記憶し、それを「鋳型」とすることなどを発見した。フクロウの聴覚と行動の神経解剖学的な研究でも数々の業績を挙げた。1985年に米科学アカデミー会員に選ばれた。

両博士は長く外国で生活しながら、日本人の多くの後進を育て、日本と外国との学術交流に貢献した。さらに日本語の著書で、日本の研究者と一般市民を啓発した。その国境を越えた活動で、日本の鳥類研究は大きな刺激を受け続けた。

山階芳麿賞は、日本の鳥学の発展に寄与した故山階芳麿博士(1900~1989年)を記念して、1992年に創設され、今回で18回目。日本の鳥類の研究などが対象で、外国での研究は本来対象外だが、両博士の功績の大きさを考慮して、特別賞としての贈呈が決まった。両博士は高齢のため、来日が難しく、贈呈式はないが、代わりに、受賞を記念するシンポジウムが9月23日午後、東京都千代田区の有楽町朝日ホールで開かれる。

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