年収1000万超・全国公募が変える「地方創生と中小企業のミライ」

年収1000万前後の待遇で全国公募から選出された中小企業相談所の相談員の人々が各地で活躍を始めています。

地方創生というキーワードがここのところ大きくクローズアップされています。国による予算措置は各自治体での取り組みを後押ししている一方で、なにに取り組むか?そしてだれが行うのか?という課題は全国各地の担当者の頭を悩ませていることでしょう。

地域活性のカギは、中小企業の売上アップ

地域活性化に求められるのは人口増。そして、定住人口の増加にはその街の魅力が求められます。中でも重要なのは働く場所の存在。

ちょっと前のデータになりますが、僕の住む岐阜県の資料によると、2,000人強へのインターネットアンケートの結果、隣接する大都市・愛知県へ移住した人々の最大の理由は「職業上の理由」が最大の55.2%であり、地元に戻りたくない理由として40%以上があげているのは「希望する職種・職場が少ない」というもの。

つまり、地方創生の実現には地域の魅力ある働く場をいかに発信していくか、がポイントだと言えるでしょう。

富士市産業支援センター・小出宗昭センター長に集まる注目

そうしたなか、広く注目を集めているのが、中小企業の「良いところ」に注目し、強みを活かした売上アップを実現している中小企業相談所 f-Biz・富士市産業支援センターです。

小生も、2年半前より岡崎ビジネスサポートセンターOKa-Biz(愛知県岡崎市)のセンター長として取り組みを重ねてきました。そんな中、昨今強く感じるのは、全国各地のこうした取り組みへの注目度の高さ。

各地に広がるf-Bizモデルと、多彩な人材登用

実際各地では、f-Bizをモデルにした相談所が続々と生まれており、年収1000万前後の待遇で全国公募から選出された中小企業相談所の相談員の人々が各地で活躍を始めています。

熊本県天草市に昨年4月に開設されたAma-biZ(天草市起業創業・中小企業支援センター)は、人口8万人強の島にもかかわらず、売上げアップに繋がるサポートが受けられると評判で、毎月150件を越える相談者が訪れ、1ヶ月近い相談待ちになることもあるのだそう。

野間英樹センター長(写真・右)は、東京大学在学中にITベンチャーを創業し、その後15年以上経営してきた実績の持ち主。公募をきっかけにそれまで特段の縁もなかった家族とともに天草に移住しました。

応募をした動機は:

IT化、グローバル化が進んでいく中、次のイノベーションは様々な資源が眠っている地方から起きていくと確信してました。今のアマビズの仕事はまさに地方の産業活性化のど真ん中。

どんぴしゃりの仕事があったので即応募することに決めました。

キャリアや将来への不安はありませんでしたか:

いつでも次のステップに行けるように仕事自体は身軽にしてましたが、そもそも、今でもキャリアが断絶したというよりキャリアの発展しているので、仕事面の不安はないです。

内山隆プロジェクトマネージャー(写真・左)も、公募をきっかけに天草に移住。大学卒業後、外資系コンサルティング会社や会社経営を経てとのこと。

応募をした動機は:

3.11がきっかけで東京から地方移住。半農半X的なことも念頭に、地方暮らしやNPO活動を体験しながら、改めて、起業や産業振興の必要性が必要だなと思っていたところに公募の話があったので渡りに船と応募した。

取り組んでみての手応え:

アマビズはホームど真ん中に外人選手でお呼ばれしている感じで、プレッシャーも裏腹ながら、歓迎されているヨソモノ。キーマンにも会いやすいし、生きやすい。アマビズに来てくれる人はやはり前向きな方が多いので、可能性を大きく感じる。そういう人たちに出逢えるのが喜びです。もっともっと実際の売上UP~V字回復・変革,アマビズに行ってよかったという感動 をこれからも産んでいきたいと思っています。

7月に開設を予定しているSeki-Biz(セキビス・岐阜県関市)は、全国から150名以上の公募の中で2名が選ばれ、尾関健治・関市長(写真右)らと共に先日記者発表が行われました。

センター長として選ばれたのは杉山正和さん(写真中央右)。食品卸し商社を辞してチャレンジだ。これまでの経験やMBAスクールでの知見を活かしたいと意気込む。

こうしたポジションに飛び込む不安は:

知識はあっても経験のない自分にできるのか不安だった。

しかし、このようなポジションを得られるチャンスは二度とない。

たった一度きりの人生、チャレンジせずに終わる後悔だけはしたくないと考えた。

根拠のない自信だけが頼りだが、自分の志を果たそうと決めた。

現在f-Bizで実地研修しているがどうか:

研修を通じて、実際に経営者の人生を変えることが出来る、中小企業の経営を改善できる場面に出会い、この仕事のやりがいを感じています。また、社会的に価値の高い仕事ができることに喜びを感じています。社会に貢献できる仕事ができることで、胸が高鳴ります

そして、副センター長には松浦俊介さん(写真中央左)。松浦さんは現在33才で、若さが目を引くが経歴も異色だ。直近は信州大学研究員だが、f-Bizでの勤務経験もある。

小さな子どももいると聞くが不安はなかったか?

様々な地域活性の取り組みがありますが、エフビズモデルは一過性でなく、本当に地域を動かしていくモデルであると考えているから飛び込もうと決意しました。なぜなら、地域の大多数を占める中小企業の成長が重要で、地域のチャレンジの源を担える、と考えたからです。セキビズは、地域の人が頼りに思えるような場所にし、地域の皆さんと一緒にチャレンジしていきたいと思います。

そして、5つの町が合併して生まれた新上五島町。長崎県沖合いに位置する五島列島の一部だ。人口2万人強という小規模な地域で公募を通じて選ばれたのは、平義彦さん。長きにわたる地元新聞社での勤務をへて、直近では急成長する食品関連企業で広報担当として活躍していたなかでの転職。現在は、富士市産業支援センターf-Bizでの研修の日々だ。

なぜこの仕事に取り組むのか:

これまでの仕事でも地域に関わり続けてきました。新聞記者、ムラおこし雑誌、食品会社での食育など。自分自身、あらためて地域づくりの仕事を生業にしたいと考える中で、小規模事業者の売り上げアップを図ることにより、地域浮揚を実現する具体的な挑戦に魅力を感じました。

自身の経験をどういかすのか?

新上五島町でのこれからには、不安よりやりがいを感じます。地域の中小企業に最も足りないのは戦略的かつ継続的な情報発信だと思います。。地域に入るポイントはこれまでの仕事で培ってみました。これまで一貫して情報発信に取り組んでた経験をいかして行きます。

広島県福山市では、問い合わせ多数で公募期間を現在延長

こうした動き続々と続いている。これらの市町に続き、向こう半年の間に数地域で新たな立ち上げの動きが進んでいる。

広島県福山市では市政100周年を機に、周辺市町とも連携し新たにFuku-Biz(福山ビジネスサポートセンター)の開設の準備を進めている。やはりセンター長人材は公募を行っており、100件を越える問い合わせを受けて活況だ。急遽申込み期限も1週間後ろ倒しにし、6月7日までの締切となっている。(Eメールでの申込みも可能)

書類選考・面接選考によって選出された相談員は、その後2ヶ月程度のf-BizでのOJTを経て、実際の中小事業者のサポートへと入っていくとのこと。

天草・関・新上五島町と各地の相談員を見なおしても、中小企業診断士などの資格や大企業OBといった経験によらず、資質や柔軟性なども重視している点も、これまでの相談所にはなかったことだ。

中小企業支援という地方創生のど真ん中でいま起きている新たな潮流の先にあるミライは一体どのようなものだろう。ますます注目していきたい。

秋元祥治

NPO法人G-net代表理事・滋賀大学客員准教授・OKa-Bizセンター長

ではでは。

注目記事