山積するパラリンピックへの課題...例えば、車いすフェンシングに必要なコストと人材育成

限られた予算や人材を残された時間や条件に鑑みながら、パラリンピック成功に向けて綿密なスケジュールを引かなければならない。改めて、そんな課題に気がつきました。

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

朝から晩まで盛り沢山の1日で先ほど帰宅したのですが、

本日は朝に見学した車いすフェンシングの報告をば。

以前に車いすバスケは体験しましたが、パラリンピックを盛り上げて

障がい者政策を推し進めていくと宣言している以上、もっと幅広い種目を

知らねばならぬと思い、斉藤りえ区議とともに上記の見学に行って参りました。

まったく無知で申し訳なかったのですが、

車いすテニスや車いすバスケと同様に、フェンシングも動きまわって

やるのかと思っていたら全然違くて、固定された車いす上で競技をするんですね。

「ピスト」と呼ばれる車いすを地面に固定する特別な器具で

それぞれの車いすを固定し、上半身や腕の技術で競い合います。

実に高度で複雑な競技だということがわかったのですが、

まずこの「ピスト」と呼ばれる器具が高い&希少で、日本に6セットしかありません。

1セット約100万円、最新型のカーボン製だと約180万円するそうです…。

この金額だとなかなか小さな自治体は手が出ないためか、

6セットあるものは現在すべて京都市が所有するもので、

東京都が1セットをレンタルしている状態とのこと。

そしてこの「ピスト」、実際に設置するところを見ましたが、

片方をセットするのに2名ずつ、1セットで合計4名が必要とされる上、

かなりの慣れと練習をしないと迅速にセッティングすることはできません。

選手一人ひとりはそれぞれ違う車いすに乗っているので、

このピストは試合で選手が入れ替わる度に設置しなおす必要があります。

現在、これが迅速にできる熟練スタッフは日本にはほとんどいないそうです。

そして実際の車いすフェンシングの国際大会では、

試合を展開する場所が同時に8箇所、パラリンピックでは16箇所。

ピットをセットする人は一試合会場に4名で、合計64名。

休憩やシフトを考えればその倍の128名が必要となり、

2020年までにその人材育成がマストになります。

車いすフェンシングを普及していくためには、

ピストとそれを扱える人材育成が必要。そのためには、

予算も人材も必要で…と考えると、なかなかハードルは高そうです。

スポーツにはそれなりにインフラを整えるのが難しい競技は多いですけど、

パラリンピック種目には特に配慮が必要なものが多いように思われます。

特にこの車いすフェンシングの「ピスト」は、

リオ五輪後に規格が変更されるかもしれないらしく、

選手のために増やしたいがなかなか購入に踏み切れないとのこと。

うーん、全国に6セットだけ(しかもうち5セットは京都)では、

なかなか競技の普及や人材育成は厳しいですよね…。

限られた予算や人材を、残された時間や条件に鑑みながら、

パラリンピック成功に向けて綿密なスケジュールを引かなければならない。

改めて、そんな課題に気がつくことができました。

今後も折にふれて、様々な競技に触れながら

パラリンピックや障がい者スポーツについて勉強していきたいと思います。

それでは、また明日。

(2015年10月24日「おときた駿公式サイト」より転載)

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