評価される研究者の皆様へ

大学が集まって作った認証評価機関は、当然と言えばそうかもしれませんが、傷をなめあうことが多いという意見があります。

国立大学のローカルルールの撤廃と統一ルールも新年度から始まります。

リサーチマップへの統合も移行期間をおいて始まります。

研究者による事務方の評価に関しても、文科省が検討を始めました。

アカハラに関しては、内部だけで対応できないことがはっきりしてきたので、外部できちんと対応することを検討しています。

さらに研究者をどう評価するかということについても検討しています。

そういう中で一つ、非常勤講師などで、大学と「委託契約」をしている方がいたら、差し支えない範囲で実情をお知らせください。

さて、今日の本題です。

大学の評価です。

JABEEに関する評価についてはご意見をいただいています。ただし、これはそれぞれの大学による任意のものなので、ちょっとわきに置いておきます。

大学を評価するしくみがいくつかあります。本当に、こんなに必要なのだろうか、あるいは、これらが機能しているのだろうか、と疑問に思っています。

第一に、学校教育法に基づく設置審査の「アフターケア」と呼ばれるものがあります。

大学設置基準を守っているかを審査するもので、守られていないとペナルティがあります。

本来なら、設置基準に関してみればよいはずですが、評価する側がそれ以上のことに突っ込んで留保事項を増やすといったことがあるようです。

第二に1998年から始まった学校教育法に基づく自己点検・評価があります。

自己点検と言いながら、努力義務で外部評価が求められているので、大学が第三者委員会を立ち上げて評価をしてもらうもので、法的には時期は定められていないと思いますが、ほとんどの大学で毎年行われているはずです。しかし、特にペナルティはありません。

第三に、2003年に始まった国立大学法人法に基づく国立大学法人評価です。科研費の分類に沿ったと思われる各分野から総勢800人ちかくの研究者による評価です。

私立大学を除き、対象になり、その評価が運営費交付金に反映されます。

独立法人は5年に一度、評価されることになっていますが、国立大学法人はなぜか6年に一度、しかも、ほぼすべての国立大学法人が同じ年に評価されます。6年に一度、多くの国立大学、公立大学が評価の年を迎えるのは、何年に一度、大量発生するセミのようです。

ちなみに暴力団の暴対法による指定も、再指定を迎える暴力団が多い年がサイクルで回ってきます。(閑話休題)

これは各大学が定めた中期目標、中期計画に基づく評価をすることになっています。

第四に、2004年に始まる学校教育法に基づく認証評価があります。

7年に一度、文科省が認証した4つの認証機関と一つの独立行政法人のいずれかに評価をしてもらいます。

法的に必須ですが、ペナルティはありません。

一応外部評価ということになっていますが、大学が集まって設置した認証機関もあります。

一説によると、問題ない大学は独立行政法人の評価を受け、後はそれぞれのレベルに応じた認証機関の評価を受けるようです。

つまり、レベルごとに大学が集まって評価機関を作ったという説明をする人もいます。

アメリカも同様にやっているという説明もありますが、アメリカではだからこの大学評価は信頼できないという有名なペーパーが出されることになりました。

第五に、大学と同様に、2004年から、専門職大学院の認証評価が始まりました。

専門職大学院を持つ大学は、5年に一度、認証評価機関の評価を必須で受けなければなりません。

しかし、専門職大学院の中には、そのカテゴリーで一つだけという大学院もあります。そういう大学院の場合、評価できる機関がないので、自分で評価機関を作って評価を受けているようです。

第六に、法科大学院の適格認定があります。

これも法的に必須で、法科大学院を持つ大学は、認証機関又は日弁連の評価を、5年に一度、受けることになります。

適格認定なので、不適格と認定されることもあります。

第七に、2016年から始まった国立大学3類型に基づくKPI評価があります。

早く言えば、財務省に言われて文科省がやっている評価で、文科省が設置する有識者委員会が毎年、国立大学を評価をすることになっていて、運営費交付金に反映されます。

第一と第三、そして第七の有識者は重複していることも多いようです。

大学が集まって作った認証評価機関は、当然と言えばそうかもしれませんが、傷をなめあうことが多いという意見があります。

多くの評価の場合、どういう項目で評価するかということはありますが、例えば五段階評価の時、何をもってどう評価するかが定まっていないものもあるようです。

こんなにたくさん大学の評価が必要なのでしょうか。五年に一回、六年に一回、七年に一回のセミがある年、そろって地上に出てくるようなことがあったらどうするのでしょうか。

きちんとした評価を一つ、しっかりやればよいのではないでしょうか。

800人の研究者は、この評価をやることをどう思っているのでしょうか。

実際に、この業務に携わっている、あるいは携わったことがある方のご意見や評価をお聞きしたいと思います。

もし、あなたがかかわったことがある、又はかかわっていたら、ぜひ、ご意見をお寄せください。

(2017年3月22日「衆議院議員 河野太郎公式サイト」より転載)

注目記事