グローバル化するなかで、議員外交の必要性は高まっています。
その議員外交のツールとしての委員派遣は、今後、ますます重要になります。
しかし、無駄撲滅PTの調査の結果、現在の衆議院の委員派遣の派遣先の選定が、やはり恣意的に行われていることがはっきりしました。
これを改め、今後は戦略的に派遣先を選定することが必要です。
また、三権の長として、プロトコール的にも高位にあるはずの衆議院議長が外交のツールとして機能していないのも問題です。
過去10年間に委員派遣で訪問した国は72か国・地域。
その72か国をのべ270回訪問、平均すると1か国あたり3.72回訪問したことになります。
しかし、実際には、72か国のうち10年間に1回しか訪問していない国が30か国あります。
他方、過去10年間に4回以上訪問した国が22か国あり、そのうちの11か国は7回以上訪問しています。その11か国は、アメリカを除くとすべてヨーロッパ。
同じ過去10年間に4回以上訪問した国の中でアジア・中東はインドネシア、トルコ、クウェート、シンガポール、タイだけで、アフリカ、中南米、大洋州にはないことがわかりました。
委員派遣で過去10年間に32回もフランスに訪問しているのに対し、、同じG8でもカナダのように過去10年間に、委員派遣で3回しか訪問していない国もあります。
G20の大半にも過去10年で3回以下しか訪問していません。
この10年間に国会議長が衆議院を訪問した国は42か国あるが、そのうち、衆議院議長が答礼に訪問したのは1か国だけです。
衆議院議長は、外交上の重要なツールのはずなのに、会期中は海外出張ができないという理不尽なルールのせいで、議長外交が機能していません。
議長が海外出張中は、副議長で対応できないのでしょうか。
また、議院運営委員会の委員派遣は、議長外交を補完するべきではないでしょうか。
同様に、会期中の海外出張が難しい常任委員長、特別委員長の海外出張についても同様の検討が必要です。
また、委員派遣の報告書が一般に公開されていないのも大きな問題です。委員派遣の目的を事前に明確にして、報告書をネットでも公開すべきです。
すべての委員会が、2年に1回というように、同じように委員派遣をしているのはニーズからではないのは明白で、必要に基づいた委員派遣になるように、派遣の仕方を改めるべきです。
さらに委員派遣のコストおよびその負担方法も検討課題です。
以下、過去10年に委員派遣で訪問した国ごとの訪問回数です。
フランス32
ドイツ 17
イギリス14
イタリア14
アメリカ12
スペイン10
スウェーデン8
チェコ 7
フィンランド7
ベルギー7
ロシア 7
インドネシア6
ギリシャ6
デンマーク6
オーストリア5
トルコ 5
ハンガリー5
クウェート4
シンガポール4
スイス 4
タイ 4
ポルトガル4
アイスランド3
ア首連 3
ウクライナ3
オーストラリア3
オランダ3
カナダ 3
韓国 3
中国 3
ニュージーランド3
ノルウェー3
ブラジル3
ベトナム3
アフガニスタン2
エストニア2
スーダン2
ペルー 2
ポーランド2
マレーシア2
南アフリカ2
メキシコ2
アイルランド1
アルゼンチン1
イスラエル1
インド 1
エクアドル1
エチオピア1
オマーン1
カザフスタン1
キプロス1
キューバ1
キルギス1
サウジアラビア1
ザンビア1
ジブチ 1
シリア 1
スロバキア1
タジキスタン1
チュニジア1
バーレーン1
フィリピン1
ブータン1
ブルガリア1
ミャンマー1
モロッコ1
ヨルダン1
ラオス 1
ラトビア1
リトアニア1
ルーマニア1
ルクセンブルグ1
訪問回数合計270
(2013年10月24日の「河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」から転載しました)