最近バイオテクづいているY Combinatorからまた一つ。20nは、UCバークリーの教授と一人のポスドクの着想から生まれたスタートアップだ。
Saurabh SrivastavaとJ. Christopher Andersonが数年がかりで開発したソフトウェアは、遺伝子工学により特定の化学物質を作り出す微生物を設計する。彼らはUCバークリーのDARPAが支援しているラボで、アセトアミノフェン(医薬商品名タイレノール(Tylenol))を生産するバクテリアを作った。
単に遺伝子工学で化学物質を作り出すだけでなく、彼らのスタートアップはソフトウェアプラットホームでもあることが、独特だ。特定の化学物質をを生産するバクテリアを作る方法をライセンスしている会社はいくつかあるが、そういう微生物の作り方を見つける過程が時間的にとても長くてかったるい。
それに対し20nはデータマイニングを活用することによって、これまでより100倍も多い種類の化学物質をを得ることができる。上図はそんな可能性を図解している。
企業は、得たい物質の分子構造を指定し、20nはそれができる微生物を設計する。ただし得たい物質は、有機化合物にかぎる。
スペシャリティケミカルズ(specialty chemicals, 化学物質のオーダーメイド)は1兆ドル産業だ、と言われる。これらの微生物のライセンス料は、安くても数十万ドルはする。20nはすでに、いくつかのライセンス契約を商談中だ。
“もっともありふれた化学物質でさえ、その市場規模は数十億ドルにもなる”、とSrivastavaは語る。
社名の20nは、ユニバーサルジェネティックコードが指定している標準アミノ酸(蛋白質を構成するアミノ酸)が20種類であることに由来している。蛋白質は通常、300から500のアミノ酸の配列で、20nは同社が対象とするそのその組み合わせの集合の元の数だ。
Srivastavaはコンピュータ科学でPh.Dを取り、AndersonはUCバークリーの終身教授で、合成生物学を17年研究している。
二人の専門分野の違いから、ときどき、笑えるコミュニケーションエラーが生ずる。たとえばAPIはプログラマにとって”application program interface”という意味だが、生物化学では”advanced pharmaceutical intermediate”になる。
“生物学者とコンピュータ科学者が共に理解できる言葉を、発明しないといけないね”、とAndersonは言っている。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))
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(2015年2月27日TechCrunch Japan「化学物質を生産する微生物を遺伝子工学で作り出す20nがY Combinatorから孵化」より転載)