CRISPRがまたやった。この留まるところを知らないゲノム編集システムを使って、MITの科学者たちが作ったのは、過去に起こった事象の強さや長さを記録する機能を付加したヒトの細胞だ。
これまでにも科学者たちは事象の発生を細胞に記録するシステムの構築を行ってきた。例えば細胞がある種の化学物質にさらされた場合など、それに伴ってDNAの一部が反転することで事象の発生を記録するシステムが構築されてきたが、今回のものもこのシステムの延長線上にある。
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しかし、今回のものはこれまでと異なり、細胞に記録される情報に刺激の長さと強さが加わったことだ。
これまでの多くの研究はバクテリアを使ったものに甘んじていた。MITの電子工学、コンピュータ科学、生物工学の準教授であるTimothy Luによると、今回このテクノロジーをヒト細胞で可能にしたことによって様々な可能性が開かれるが、とりわけ病気に強い影響を与える細胞内の事象、例えば遺伝子制御など、を研究するのに特に有用だろうということだ。
さらに今回の研究はこれまでよりさらに改良が加えられ複数の対象を同時に記録することが可能だ。本研究では、抗生物質であるドキシサイクリンとラクトース様分子であるIPTGが使われている。
こういった情報が得られれば、感染がもたらす影響やガンなどの疾患に関したより詳細な研究が可能となる。また、胚が成体に発生する過程で特殊な細胞が分化に果たす役割を追跡するのに有用だろう。
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(翻訳:Tsubouchi)
(2016年8月19日「ヒト細胞のDNAに「記憶」を記録することが可能に」より転載)
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