「ハリー・ポッター」ファンに朗報だ。改めてシリーズ7作を楽しむ機会がやってきた。すなわち、Appleが自らのプラットフォーム専用のシリーズをiBooks Storeで扱いはじめたのだ。そして今回販売開始となるシリーズでは、J.K. Rowlingのチームと共同で、「拡張版」を販売することとなった。ページ中にアニメーションが埋め込まれていたり、オリジナルの著者注が入っていたり、また独自のフォントやドロップキャップが用いられていたりもする。
これまで、ハリー・ポッターシリーズの電子版はPottermore Shopのみで扱われていた。こちらでの価格は各巻8ドル99セント(訳注:日本語版は1100円)で、購入後にKindleやiPhone、iPad、Nook、Kobo、などに転送して読む形式となっていた。扱っているのは英語版、ドイツ語版、スペイン語版、フランス語版、イタリア語版、日本語版、およびポルトガル語版となっている。
今回リリースされたiBook版は英語版だが、32ヵ国から購入できるようになっている。価格は9ドル99セントで、11月9日にはフランス語版、ドイツ語版、そしてスペイン語版が公開されることになっている。
Appleが自ら販売するのは、これがePub形式のものではないからだ。iBooks Author(IBA)のフォーマットで、これはAppleプラットフォーム専用となっているのだ。プラットフォームを限定することで、文字装飾やイラストレーションの入れ方も細かく設定することができるようになっており、またアニメーションやオーディオ、あるいはインタラクティブな仕掛けを入れ込むこともできるようになっている。
このフォーマットは2012年1月に発表されたものだが、この形式のメリットを活用した書籍というのはあまり数が多くはなかった。iBooks形式のみにしか通用しない要素を入れ込むことに対して、出版社にも躊躇いがあったわけだ。今回のハリー・ポッターシリーズはIBAフォーマットの魅力を伝えるサンプルともなるもので、もしかすると他にも追随する出版社などが出てくるかもしれない。
多くの人が感じているように、ハリー・ポッターシリーズはふつうに本で読んで楽しめる作品だ。しかしiPhoneやiPadの上に、新たな魅力とともに現れてくるのなら、それもまた試してみたいと感じる人が多いことだろう。
小説自体はこれまでにPottermore.comで売られていたものと同じものだ。しかし小説中に挿入されている新たなコンテンツはいずれも魅力的なものばかりだ。新しいフォーマットの電子書籍は90MBないし150MBの容量となっている。一般の電子書籍と比べればはるかに大きなものとなっているが、それでもiPadゲームなどと比べれば小さなものだ。
この容量いっぱいに、ハリー・ポッターの魅力がつまっているのだ。
(訳注:日本で利用可能なのかどうかの確認は行なっておりません)
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(翻訳:Maeda, H)
(2015年10月9日 Techcrunch日本版「オリジナルアニメーションや著者注のついたiBooks専用の「ハリー・ポッター」シリーズが登場」より転載)
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