Twitterの活路は法人向けカスタマー対応プラットフォームか?

Twitterは新CEOであるJack Dorseyの下、 新しいプロダクトの展開を実現するための施策を推し進めている。

Twitterは新CEOであるJack Dorseyの下、 新しいプロダクト展開を実現するための施策を推し進めている。明日開催予定の開発者カンファレンスFlightで、それらの戦略に勢いが付くことだろう。TechCrunchは、Twitterが将来的に目指す分野の一つはB2Cの法人向けツールであり、具体的にはカスタマーサービスに注力する考えであると認識している。つまりブランド企業がそのユーザーとやりとりするための便利なプラットフォームという立ち位置を目指すということだ。

Twitterを利用するユーザーにとってカスタマーサービスに進出することは驚くような内容ではないかもしれない。ユーザーがブランドに苦情を伝えたり、賞賛したり、質問したりする場として、Twitterはすでに十分なトラフィックを得ている。

また、カスタマーサービスに特化したプロダクトを開発していない状態でも、B2Cブランドに向けたツイート数は毎年50%の割合で増加している。これはTwitterが8月に公表した統計データであり、その時に同社はカスタマー対応を行っていくことも発表している。

TwitterはSprout SocialとOracleの2社が、Twitterのプラットフォームをカスタマーと関わる場として利用するための法人向けソリューションとインテグレーションを開発していると伝えた。Gnip(Twitterが2014年に買収したビッグデータ企業)のChris Moodyが記した声明文で、OracleとSproutは、Gnipチームが製作した新たな法人レベルのデータの管理機能を活用していると伝えた。

(50%の統計データは、Twitterが法人向けサービスへの進出に向けて発表したものだ。Twitterは目がしょぼしょぼするようにな 122ページに及ぶ白書を発行し、Hilton、T-Mobile、Nokiaといった企業のケーススタディを取り上げ、SNSがカスタマーサービスの取り組みの一環として活用されていることを示した。)

8月の発表は少しばかり注目を集めた。私たちが聞いたところによると、Twitterと彼らのパートナー企業(他の企業もあるかもしれない)は、カスタマー対応を主軸とする正式なビジネスツールの開発を秘密裏に進めているとのことだ。

それはどういう意味を持つのだろうか?私たちはTwitterが検討している取り組みをいくつか聞いた。一つはTwitterに関連する企業や個人の間で、Twitterをリアルタイム性のある強力なツールとして認知を高めることだ。そうすることでカスタマー対応の社員が、それぞれのカスタマーの感情を理解したり、そのカスタマーと自社ブランドとの関わりの経緯を把握したりすることに繋がる。(例えば、ユーザーの電話の接続状況に継続的な問題があることを特定したり、正当な理由もなく例えばUnited AirlinesやUberといったブランドが嫌いと主張する個人にIDを振ったりすることもできる)。

もう一つの取り組みは、Twitter経由のユーザーからの依頼内容に適切な優先順位を付けることだ。それにはユーザーが他のユーザーらとのエンゲージが強い場合(それも否定的に波及することが考えられる場合)バイラルに広がってブランドに傷が付く前に早急にツイートに対応するといった対策も含まれるだろう。

(個人的にはこれには課題があると考えている。Twitterの素晴らしい点は、誰でも平等に他の誰かに連絡できることだ。エンゲージメントによる優先順位を付けるということは、無意識的にTwitterに投稿したクレームがバイラルに広がったことがない場合、あるいは最小限のフォロワーしかおらず投稿を見る人が少ない場合、依頼は山の中に埋もれ、無視されてしまうことも考えられる。)

3つ目の取り組みは、カスタマーとの連絡を構造化することだ。最初の連絡をTwitterから行ったとしても、その後他の担当者からメールを送ったり、電話をしたりするのが一般的なカスタマー対応の流れだ。この取り組みの目標はTwitterのプラットフォームを離れなくても、担当者とユーザーが連絡をセキュリティーで守られた環境で個別に行い、ユーザーの依頼内容に応えるという流れを実現することだ。

Twitterが公式に発表した内容の他に、同社の役員はTwitterの将来的なビジネスの方向性としてカスタマーサービスが重要な分野であると伝えている。

今月の始め、役員で前CEO、そして共同ファウンダーのEv WilliamsはRe/codeのイベントに登壇し、Twitterはこれまでも長い間カスタマーとのやりとりをする場として機能してきたが、将来的にもそこに大きなビジネスチャンスがあると話した。

「2008年、2009年頃、私たちがマネタイズを始める前にも関わらずスターバックスをフォローする人たちが100万人もいました。これは素晴らしい商業的な価値です」と彼は話した。「小さな企業から大企業まで、本格的なコミュニティーチャネルを持っていないブランドにとってTwitterはユーザーとつながる場になりました。今では、Twitterはカスタマーサービスとマーケティングの主要な場になっています。そこにしっかりとしたビジネスを構築できます。ビジネスが成長するほど、それらを活用することが多くなるため、Twitterにとっても重要な分野です」。

Twitterが上記の取り組みを行う理由は明白だ。

Twitterの利用を検討する企業にとって、これらの取り組みは法人向けサービスの領域で幅広く活用できて代替のないプレーヤーとしてTwitterの立ち位置を示すことができるだろう。このプラットフォームは様々なB2Cのやり取りを網羅し、カスタマーサービス、マーケティングや広告、そして今後は商品の販売まで担うことができるようにもなるだろう。

より多くのブランドがTwitterをカスタマー対応のチャネルとして利用するほど、コンシューマーにとってもTwitterは使い勝手も良くなるだろう。ユーザーは結果的にTwitterを多く開くことになる。

クレームを伝えにTwitterを訪れ、Vineや最新ニュースのために滞在する。メインストリームのユーザーを惹きつけることができないと批評されてきたプラットフォームにとって、カスタマーサービスという奇策がエンゲージメントを高めることにつながるかもしれない。

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter)

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