16日、トヨタは北米輸出用の小型車「ヤリス(日本名ヴィッツ)」の生産をフランスで始めたと発表した。トヨタが欧州拠点から北米に輸出するのは初めてのことである。北米に年間2万5000台程度の輸出を見込んでいる。
これまで「ヤリス」は、日本の工場で組み立てられ、北米に輸出されていた。何故、トヨタはフランス工場からの輸出に切り替えたのか。
Invest in Frane Agentよると、フランス工場からの北米輸出は、2012年には決まっていたようだ。
円高による採算悪化に対応するため、現在日本で行われている北米向け生産を一部フランス工場に移管し、米国、カナダ、プエルトリコ向けに輸出する。年間で約25000台となる見込み。これに伴い、北フランス、ヴァランシエンヌ工場には800万ユーロが投じられ、4月より北米向けヤリス生産仕様を備えるために着工されている。
(Invest in Frane Agent 2012年6月25日)
記事にもあるとおり、フランス工場での輸出用自動車の生産は、2012年当時は円高のためとされていた。
それでは、現在のような円安になっても、対応できるのだろうか。
Automotive Newsによると、トヨタのスポークスマンが語った他話しとして、輸出物流経路についても、欧州から北米への輸出を日本から北米への輸出と比較しても「とても自然なことだ。」と紹介している。
このところの円安を背景に、燃料油価格が上昇。カナコロは、東京汽船の決算発表での伊藤英津生常務の話として、下記のように報じている。
日本車を輸出する自動車船は「自動車メーカーが円安で生産拠点を国内に回帰させる動きがあるが、実際に輸出されるまでには時間がかかる」(伊藤英津生常務)との見通しを示した。
(カナコロ 2013年5月16日)
フランスから北欧へ輸出されるヤリスは、まずはガソリン車であるが、フランスの工場では、ハイブリッド(HV)車も生産されている。利益の薄い準小型車だが、メルセデスらとは違い、トヨタは準小型車をハイブリッド化することで、付加価値を提供してきた。
日本からの輸出と、欧州からの輸出。どちらがより利益が上がるのか。その時、各国の雇用はどのように変わるのか。
企業の一つの戦略ではあるが、その企業に属さない者にとっても、今後の各拠点の輸出量から目が離せない。
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