橋下徹維新の会代表が、石原慎太郎氏と石原信雄氏に反論【党幹部の動き】

日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は、19日、2人の石原氏に反論した。一人目は日本維新の会共同代表の石原慎太郎氏であり、もう一人は石原信雄氏だ…

日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は、19日、2人の石原氏に反論した。一人目は日本維新の会共同代表の石原慎太郎氏であり、もう一人は石原信雄氏だ。

まず一人目の石原慎太郎氏に対して、石原氏が橋下氏のこれまでの慰安婦発言に対して「大迷惑」と批判したことに対し、発言は間違っていないと反論した。

石原慎太郎氏は18日、日本維新の会の支持率低迷は橋下氏の責任と批判。これまでの発言について、仲間に対して、テレビカメラの前で釈明することを求めた。19日の登庁時ぶら下がり記者会見で、この点を指摘された橋下市長は、石原共同代表の考える「仲間」が、一般の有権者にも及ぶ点を指摘。国会議員や今選挙を戦っている仲間に対してはメッセージを出すという回答はしたが、一般の方向けにメッセージを出すというのとは違うと回答した。

「議員や候補者だったりにとって逆風になっていることは間違いないので、頑張っていきましょうねというメッセージを党の代表として出す必要があるということだったら出しますよといったんですけれども。どうも石原代表がイメージされている「仲間」というのは、議員とか候補者だけじゃなくて、支援者も含むということだったわけで。

ただ、内部的な文書だったり、内部的なビデオメッセージでは(言いたいことが)届かないよという話だったので、テレビカメラの前での釈明という話になり、それは支援者というのは、有権者向けへのメッセージになってしまいますので、候補者や、今実際に選挙をやっているメンバーに対する話と、趣旨が変わってきます。

有権者の皆さんに対しては、これまで僕が発言したことを丁寧に発言していくしかないと思っています。」

(「【2013.6.19】 橋下徹 大阪市長 登庁時 ぶらさがり取材」より。2013/06/18)

また、石原共同代表が、橋下氏を批判したのが公の場であったことについては、「これが日本維新の姿です。」と答えた。「日本維新の会では、お互いの批判を陰でやらずに、表でやろうと話したことがある。」「石原氏はああいう方ですから、思っていたことそのままいわれたのだと思う。」「僕に対する考えに違う人もおり、僕が発言したことに対して歯止めがかかるようになっている政党だとして、いいのではないか。」などとも述べた。

慰安婦問題に関する主張を撤回することはないのかという点については、「慰安婦問題に関しては僕は間違ったというふうには思っていません。これは、有権者の皆さんに理解を求めるように、しっかり説明をしていきます。」と回答。ここから、2人目の石原氏である、石原信雄氏への反論に移っていく。

橋下氏は19日の毎日新聞朝刊に掲載された石原信雄氏のインタビューを例にあげて、河野談話に関する自身の考えを説明した。

「毎日新聞から石原信雄さんのインタビュー記事が出ていて、あとでツイッターで石原信雄さんには反論しようと思っているんですけれども、石原信雄さんがああいう事実認定をしたのであれば、それを河野談話で書けばよかったんですよ。」

石原信雄氏は、竹下内閣から村山内閣まで、7つの内閣で、内閣官房副長官(事務方)を務めた官僚である。河野談話が発表された1993年の宮沢内閣の時には、河野談話の作成に携わっている。河野談話は、従軍慰安婦について、日本軍がどのように関与したかについて、当時の官房長官であった河野洋平氏が述べたものである。

「慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。」

(「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」より。 1993/08/04)

河野談話が作られた当時のことについて、宮沢内閣の外政審議室は、慰安婦を強制連行したかどうかの点などを、警察庁、厚生省、労働省、防衛庁、国立国会図書館、さらに、沖縄やアメリカの公文書館など、徹底的に調査したと、石原信雄氏は慰安婦問題とアジア女性基金のインタビューで語っていた。

「結局、通達とか司令とかいう文書的なもの、強制性を立証できるような物的証拠は見つけられなかったのですが、実際に慰安婦とされた人たち一六人のヒヤリングの結果は、どう考えても、これは作り話じゃない、本人がその意に反して慰安婦とされたことはまちがいないということになりましたので、そういうことを念頭に置いて、あの「河野談話」になったわけです。その調査団の報告をベースにして政府として強制性があったと認定したわけです。韓国側は、彼女たちがその意に反して慰安婦にされたということを日本政府が認めたということで、そのときはそれで矛を収めたわけです。」

(「慰安婦問題とアジア女性基金/デジタル記念館ホームページ「石原信雄氏 インタビュー」より。)

19日付の毎日新聞の石原信雄氏へのインタビュー記事では、日本政府なり軍部なりが強制的に慰安婦を募集せよと言ったことはなく、委託料を支払った業者が、ノルマを達成するために行ったというようなことが書かれている。

この石原信雄氏の認識を、河野談話に書けばよかったと、橋下氏は指摘する。

「(従軍慰安婦は)軍が直接やったことではなかっただろうと。民間業者に関与させて、そのなかで、慰安婦の方の意に反するようなことがあったと。ああいうふうにきちっと書けばはっきりするのに、河野談話は、どういう加担のしかただったのかをのすごく曖昧にしているから、国家の意志として、組織的に拉致、人身売買したと、外国には伝わってしまっているんです。石原さんが、認定した事実と、河野談話によって、世界に伝わってしまった事実が、全然乖離してしまったわけです。」

「93年の河野談話を非常に抽象的に曖昧に書いてしまったがゆえに、石原信雄さんは、あいまいじゃないと言うんですけれども、世界の認識は石原信雄さんの認識とぜんぜん違う。アメリカにおいては河野談話の中身を、日系人の強制収容所とか、ホロコーストというようなところに、国家が大量に女性を無理矢理に拉致し、施設に送り込んで、そういう仕事につかせていたと認識しているんで、これは完全に河野談話が誤解を生んでいるというか、そこは石原信雄さんの認識を改めて貰わなきゃいけないと思います。

石原信雄さんが認定した事実を、河野談話によってしっかり表現すればよかったのに、河野談話は表現不足であったことはまちがいないです。これは石原信雄さんを始め、河野談話を作成した人たちの大罪だと思いますよ。」

歴代内閣は、村山談話だけでなく、河野談話も踏襲してきた。これは、石原信雄氏がいうように、政府としての総意による内容だからであろう。

「いまあの河野談話について、慰安婦問題にそもそも反対する人たちが、とんでもない談話を発表した、けしからんと言って、誰がどうしたというようなことを言うのですが、あの表現は官邸のなかでみなで相談して、最終的にきめたものなのです。当然外務官、厚生省、労働省など、関係する省庁には全部連絡して決めたわけですから、あれは内閣の意思でして、特定の人の意見ではない。内閣の責任で出した談話だということは間違いありません。」

(「慰安婦問題とアジア女性基金/デジタル記念館ホームページ「石原信雄氏 インタビュー」より。)

5月24日に、安倍内閣も、河野談話を引き継ぐと閣議で決定している。これは、外交的・政治的な判断だろうと見られている。

安倍首相は2007年の第1次安倍内閣で教育基本法を改正したが、その際、日本の子どもたちはアメリカや中国に比べて、自分に自信が持てていないということに対して危機感を抱いていたという。子どもたちが学校において日本という国が貶められていたら、自信など持てないと話している。中学校の教科書全てに従軍慰安婦のことが掲載されていたことに対し、これはおかしいと考えていたという。

昨年12月の、安倍首相就任直後においては、安倍内閣も河野談話の見直しを視野に入れていたが、5月の閣議決定を受けて、従軍慰安婦の問題については争点にならないと見られているが、維新の会は、公約に「歴史的事実を明らかにし、日本国及び日本国民の尊厳と名誉を守る」などを盛り込むと報じられている。

安倍首相が「自身を取り戻す」というキャッチコピーを使い続ける限り、この問題は忘れられているわけではないと考えておくのがよさそうである。また、もともと安倍氏と親しい維新の会であるだけに、今後この2党がどのような方向に動くかも、注目すべき点であろう。

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※訂正:文中の誤字「相違」を「総意」と訂正いたしました。

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