「cakes」CEO加藤貞顕さんと松浦茂樹ハフィントン・ポスト日本版編集長が徹底対談
出版社でベストセラーを手がけた後、自らデジタルコンテンツ・プラットフォーム「cakes」を立ち上げた加藤貞顕さんとハフィントン・ポスト日本版の松浦茂樹編集長が、ハフポスト日本版オープン目前の4月30日に緊急対談。思想家の東浩紀さんがプロデュースする知的空間「ゲンロンカフェ」(東京・五反田)を舞台に、これからのメディアに求められる「編集力」とは何かを徹底的に話し合いました。その論点をまとめてご紹介します。連載最終回は、対談を終えて、会場からの質問「今後のメディアにとって、映像とテキストが融合する形でないとユーザーがついてこないんじゃないかと思っていますが、いかがでしょうか?」に2人が答えます。
加藤:おっしゃる通り、映像はすごく大事だと思っていて、現状まだそんなにやってないのは、そこまで手が回ってないっていうのが正直なところなんです。僕は電子書籍を始めた2010年くらいから――それまで出版関係の人とばっかり飲んでたんですけど――それくらいから映像関係ゲーム関係あるいは技術者の人とばっかり飲みにいくようになったんですね。かなり近いところでやってるメディアなんですけど、今やってる分野でどうやったら映像と組み合わさってうまいこといくのかなって話しをすると、ひとつはものを教える分野で、映像とテキストが組み合わさったものは相性がいいなと思ってます。
実際、NHKの教育テレビなんて映像を見ながらテキストを見るわけですよ。あれは既に映像とテキストのミックスメディアを一部やってるわけですよね。ああいうことってむしろウェブでやったほうがいいくらいのもので、ここにくるとコンテンツと教育が融合していく世界になると思うんですが、実はかなりやりたいなと。ケイクスでも少しはやろうかなと思ってるんですが、もしかしたら若干違うフレームワークでやる必要があるかもしれない。ケイクスが今やってる分野っていうのはコンテンツが小さく安く早くなった時に、いいマッチングとマネタイズの仕組みを作るっていうのが実は課題なんですよ。それは本から見て小さくなったコンテンツ。映像が組み合わさったコンテンツは本から見ると大きくなったコンテンツなんですよね。こっち側はこっち側であるなと思っていて、これはもうちょっとしたらやりたいなと思っています。
松浦:僕は映像とテキストって競合するものではない、と思っていて、競合するように作ってしまうと、なんでも競合してしまうと思うんですね。新聞もテレビも雑誌も、たとえばストレートニュースっていう範疇でいうんだったら、新聞もテレビも最速のニュースを作ろうと思えばできる。そこで一緒にやるとおかしくなるので、それぞれのいいところでやればいい。そこが差別化と思っていて。
僕は、今でも1分間にまとめられたもので、ものを言うんだったら映像が最強だと思うんですよ。ぱっと見て1分間の情報量でいうと、テキストとか雑誌は映像にはかなわない。やっぱりテロの現場映像とか、テキストがなくても一発で何が起こってるかわかる。そういう部分は映像にまかせつつ、テキストとうまく融合するべきところはウェブ上でも存在すると思っていて、そこの組み合わせが今後、肝になってくるんじゃないかなと思ってますね。
(おわり)
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